夢の時間(とき)

オリジナルの小説とイラスト等を掲載。新連載【片翼の召喚士-ReWork-】開始。

当ブログについて 

 

いらっしゃいませ

初めまして、または、いつもありがとうございます。ユズキです。
当ブログでは、オリジナルの創作物をメインに、小説とイラスト、雑文などを掲載しています。時々マンガっぽいものとかも。
4年目に突入し、超不定期でマイペース更新ですが、緩々とよろしくお願いします。
※この記事は常にTOPに掲載されます。最新記事はこの記事の下から続きます。最新記事情報は、右サイドバーを見てください。

●作品傾向●
基本は架空の異世界を舞台にしたファンタジーものです。トリップや転生ではありません。R-18に抵触する表現(残酷・性描写等)が登場する作品もあります。書いてる当人が意識していないから、女性向け、男性向けなどの線引きはしていません。
恋愛・魔法・異能力・シリアス・コメディ・バトル・ストーリー重視・ハートウォーミング等等。
まだまだ拙い文章表現ですが、筆者の頭が悪いため、難しい言い回しや漢字が使えないので、そういう意味では読みやすいかもしれません。

以下、メインコンテンツ紹介!

各コンテンツには、専用目次ページを設置しています。そこから小説やイラストなどお楽しみください。




片翼の召喚士キュッリッキのハードスペクタクル恋愛ファンタジー
新連載・長編
 R18 new
片翼の召喚士-ReWork-

背に2枚翼を持つアイオン族に生まれた18歳の少女キュッリッキは、生まれつき右片方だけしか翼がない。そのことで生まれてすぐ両親に捨てられ、美醜を重んじる同族からは出来損ない、みっともないと忌み嫌われ、蔑まれながら孤独に生きていた。
 アイオン族であり、片翼であることをひた隠しにして、フリーの傭兵をしているキュッリッキのもとを、ハワドウレ皇国副宰相ベルトルドと名乗る男が、自分が後ろ盾をしているライオン傭兵団にスカウトしてきた。ちょうど職にあぶれていたキュッリッキは、それを承諾する。

※現在本編の更新を、1日4回、0時、6時、12時、18時に行っています。今後必ず4回を継続できるかは判りませんが、投稿を上記時間にするように固定します。記事が結構早く押し出されてしまうので、こちらの目次をご利用下さい。(2017/10/13)

ALCHERA-片翼の召喚士-】の本編と番外編のリニューアル版です。大幅に修正加筆、追加エピソード、一部構成変更などを行い、もっと楽しく読んでいただけるように書き直していきたいと思います。※結末に変更はありません。

専用目次ページはこちら⇒【片翼の召喚士-ReWork-




てんやわんや冒険ファンタジー 長編
アストリッド様と「行くわよ愉快な下僕たち!」

アウレリア神聖国現筆頭魔術師スヴェンセン伯爵家、7代目次期当主アストリッド・グエナエル・スヴェンセンは、16歳の誕生日に当主である父から、エインヘリャル6枚を渡され、しきたりに則って、新たなエインヘリャル・コントローラを探すこと、そして自分だけのエインヘリャルを作る為の旅に出る。

人里以外は森ばかりの世界ヴィンドフロトを舞台に、魔術師アストリッドと、その旅に巻き込まれる個性あふれる面々の、楽しい(?)冒険が始まる。

専用目次ページはこちら⇒
アストリッド様と「行くわよ愉快な下僕たち!」



ハードスペクタクル恋愛ファンタジー ※本編完結済み
ALCHERA-片翼の召喚士-

当ブログ初の長編連載小説。R18
レアと言われる召喚スキル〈才能〉を持つ少女キュッリッキは、総勢15名しかいない世界最強を誇るライオン傭兵団に入る。もうひとりの主人公格ベルトルドと関わることで、様々な出来事に巻き込まれながらも、仲間たちとの絆、初めての恋を通じて成長していく。
3年以上に渡ってダラダラ書き綴った物語の他、イラストやぷちマンガなども公開中。

専用目次ページはこちら⇒【ALCHERA-片翼の召喚士-


おとぎ話風ハートウォーミング物語 ※短編・完結済み
眠りの果てに

その日の食事も満足に得ることのできないほど貧しい家庭に育った、15歳の少女インドラ。ある日幼い弟妹と 山へ薪取りへ行って帰ってくると、たくさんの金貨が詰まった袋が粗末なテーブルの上にあった。
「貴族のお城へ奉公へ上がってみる気はないか?」
そう父親に言われる。 貧しい家庭の事情と家族のため、奉公へあがることを決意する。
何故メイズリーク伯爵家は大金を支払ってまでインドラを買ったのか、伯爵家でどんな仕事に従事することになるのか。
おとぎ話風をイメージした、インドラの物語。

専用目次ページはこちら⇒【眠りの果てに



練習しながら綴る1話完結読み切り短編集
乗り換えまでには読み終わるかも?

短い文章に不慣れなので練習に書いている、1話完結の読み切り短編集です。ジャンルはとくに決めてません。アイデア思いつくまま。
今のところ、現代日本を舞台にしたものが並んでいます。シリアス・コメディ・ほのぼのといった感じです。

専用目次ページはこちら⇒【乗り換えまでには読み終わるかも?


※小説はSNSサイトへも投稿しています。端末や環境などで、読みやすい場所で読んでください。SNSサイトへのリンク(QRコード有り)は、各小説の目次ページに記載してあります。



イラスト展示

ブログに掲載したイラストをまとめています。サムネイルをぽちっとすると、lightboxでイラストが表示されます。※ラクガキ程度に描いたものは省いてます。

YUZUNOKI

オリジナルと版権二次絵をまとめた、イラスト展示のみに特化した別サイトを公開しています。
スマホなどの携帯端末でも見やすいかもデス。



企画モノ

キリ番・お題・他サイト参加作品などを、専用ページにまとめました。



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雑談:片翼の召喚士-ReWork-・2 

 



【片翼の召喚士-ReWork-】の更新を頑張っているから、雑談記事がモリモリ押し流されていくので、少しだけ固定して、波に戻そうかと思う・・・。

SNSならいいけど、ブログだと文字数制限系をやると、勢いが激しいな(´Д`;)


先日から、小説投稿サイトエブリスタのほうで、特集で取り上げていただいたり、ツイッターでご紹介いただいたお陰で、閑古鳥だった【片翼の召喚士-ReWork-】へ、読みに来てくれる人が一気に増えました。ありがとうございますありがとうございます!!

転生物とか移転物とかじゃないので、異世界ファンタジーとしては中々興味を持ってもらえないンですが、編集部の方々のお陰で、読んでもらえる機会を設けてもらえ、猛烈に嬉しいです嬉しいです♪

ここはスマホからの操作を主体にしているのかな・・・インスタグラムを3日で中断せざるを得なかった、必殺二段階承認があるため>< コメントとか書けなくて、スターを下さった方への個別お礼ができなくて、ほんと申し訳ないのです。いい加減スマホにしろってことでしょうか( ̄▽ ̄;)

そのスターという、これはブログでいうところの拍手?になるのかな、一人何個でも投げることができるようですが、もらえた数がある規定に到達すると、注目作品としてご紹介いただけるみたいで、【片翼の召喚士-ReWork-】もスターを投げて下さった方々のお陰で50個に到達して、★50のところに載せていただきました(^ω^)



これまでこうして、編集部&読者の両方から応援してもらえたことがないので、初めてのことだけに嬉しいです!

ありがとうございます! 大感謝ヽ(*´∀`)ノ チョーシに乗って更新頑張ります!


今ちょうど【ALCHERA-片翼の召喚士-】の2章エグザイルシステムのところを書いていて、【ALCHERA-片翼の召喚士-】のときに、ここは結構KIAIを入れて書いたので、余計な部分削除や手直しで、ほぼコピペですんでいるから、割と更新が早かったりします。

それに、2章は物語最初の見せ場なお話で、キュッリッキさんが初恋をするための、だいじな下準備的なものなので、とっても読んで欲しいなってお話です。【片翼の召喚士-ReWork-】で。

【ALCHERA-片翼の召喚士-】の時に、一度にライオン傭兵団を紹介されても覚えられない、判らない、と言われたので、【片翼の召喚士-ReWork-】ではバラバラに彼らを出してきていますが、今回のナルバ山の遺跡編で全員登場になります(・ω・) 正直、一度に出してもバラバラに出しても、流れ的に名前すら忘れられそうなキャラは、結構いると思ってます(笑) メルヴィン、ルーファス、ギャリーくらいは、さすがに覚えてもらえるはずです…。

まだ恋愛色が滲み出てませんが、もうちょい進むと嫌でも出てくるので、続けてよろしくお願いします。



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片翼の召喚士-ReWork-:episode132 

 

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片翼の召喚士-ReWork-
 混迷の遺跡編:episode132



 神殿の中、と言われて、キュッリッキの表情が咄嗟に強張る。その様子を怪訝そうに見て、ザカリーは首をかしげると、なにか思い当たったように頷いて頬を掻いた。

「あーなんか、神殿が怖いとか言ってるんだっけか」

「……」

 キュッリッキは身を固くしたまま、むっすりと更に黙り込んだ。

「だって、何もなかったんだろ? 例のエグザイル・システムらしきものだけがあったとかでさ」

 ザカリーがシ・アティウスに顔を向けると、無言の肯定が返ってきた。

「大丈夫だって。オレが一緒にいてやるからよ」

 にやけた笑顔を向けながら言うザカリーの顔を、キュッリッキは力いっぱい引っぱたく。そして腕の中から逃げ出した。

「ザカリーのバカ! 大っ嫌いなんだからっ!!」

 我慢の限界をありったけ声に乗せて、吐き出すように叫んだ。空洞の中に轟くような大声に、何事かと皆一斉に2人の方を向く。

 叩かれた頬に手をあてながら、さすがにザカリーもムッとして、キュッリッキを睨みつける。これまでの不満が、一気に感情を昂ぶらせた。

「ったく……何なんだよ、いっつもふくれっ面でよ! あのことは別に」

 そこまで言いさして、慌てて口を噤むと、内心で舌打ちする。

(やべっ…)

「おい!」

 ヴァルトが制止するように声をあげた。

 今まで怒っていたキュッリッキの表情が急に怯え出し、大きく見張った目からは大粒の涙が溢れだした。たよりなげな身体を震わせ、ポロポロと落ちた涙がフェンリルの頭で弾ける。

 フェンリルはキュッリッキの腕の中で、表情を険しくさせザカリーを睨みつけていた。

「いや……そんなつもりはないから、そのっ」

 慌てて取り繕うが、ザカリーは狼狽し、言い訳を必死に考えるが思いつかない。つい口走りそうになったことを激しく後悔した。まさかこんなに泣かれることになるとは、どうしていいか判らなくなった。

 2人のやり取りを、みな困惑を浮かべながら見ている。キュッリッキとザカリーがギクシャクしていることは知っていたが、泣かせているところは初めて見る。

 キュッリッキは一度しゃくり上げると、踵を返し神殿へと向かって走り出した。

「あ、おい」

 ザカリーの手は、キュッリッキの肩を掴み損ねて空ぶった。

 あれだけ怯えていた神殿に駆け込んでいってしまった後ろ姿を皆が唖然と見やり、何とも言いようもない空気だけが、無遠慮に空洞の中に流れていた。

 誰もが言葉を探すように沈黙を続けるその場に、突如地震のような振動が襲った。立っていた者たちが、思わずよろけるほど大きい。

「あわわっ地震!?」

 シビルが声をあげるとほぼ同時に、神殿からキュッリッキの悲鳴が聴こえてきた。

「キューリ!」

「キューリさん!?」

 キュッリッキの悲鳴に弾かれ、何事かと全員神殿に駆け込み、そこで一様に目を剥く。

「おい、なんだこれ!?」

 ギャリーは驚いて思わず声を上げた。

 それまで何もなく、縦長一直線だった暗い神殿の中には、いくつもの壁や柱が出現していて、複雑な様相を呈していた。

 突如様変わりした神殿内部に唖然と驚く一同に、更にキュッリッキの切羽詰まった悲鳴が届く。

 ハッとしたように、カーティスの急いた指示が飛ぶ。

「ケレヴィルの皆さんは外に出ていてください。キューリさんのお友達とブルニタルも。捜索は我々だけでやりましょう」

 みな黙って頷いた。

「作戦のときの班で別れて探しましょう。ルーファスとハーマンとランドンはメルヴィンの班へ移って。急ぎますよ!」

 カーティスの指示で3班に分かれると、それぞれ神殿の内部に突入した。


混迷の遺跡編:episode132 つづく

episode131

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片翼の召喚士-ReWork-:episode131 

 

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片翼の召喚士-ReWork-
 混迷の遺跡編:episode131



 キュッリッキの背後から、ザカリーがニヤニヤ顔で話に割って入ってきた。シ・アティウスは小さく首をかしげたが、キュッリッキは殆ど条件反射のように肩を怒らせると、噛み付くような顔でザカリーに振り向いた。

「なによっ!」

「ホラッ」

 ザカリーはからかうように、身体をヒョイッと避けてみせる。

(何で話に入ってくるのよ)

 キュッリッキは忌々しそうにザカリーを睨みつけた。その目を真っ向から受けて、ザカリーは内心苦笑する。

 あの日、キュッリッキの秘密を覗き見したことで、以来話しかけても応じてくれず、声をかければそっぽを向くか、無視をされ続けていた。もちろんザカリーには秘密をバラす気など、そんなつもりは毛頭ない。だが、キュッリッキが自分を信用していないことだけは判っていた。

 秘密を見てしまったのだから、それはしょがないと思う気持ちと、そろそろお怒りを解いて欲しいと願う気持ちで板挟みになっている。

 可愛い子専を自負するザカリーは、10歳も年下のキュッリッキを、本気で好きになっていた。

 背も小さく華奢で、本人は全く自覚していないが美少女である。アジトの近所でもすぐ評判になった。手を出そうとする輩も多い界隈に、ザカリーとしては気が気じゃないのだ。最も、ライオン傭兵団の一員と知って、手を出す強者は居ないが。

 あの細っそりした身体を、そっと抱きしめてみたい。柔らかな肌に触れながら、桜貝のような色の唇にキスをしてみたかった。そしていつかは、全てを自分のモノにしたい。

 好きだという気持ちを自覚してからは、求める気持ちがどんどん強まっている。笑いかけて欲しくて必死にちょっかいを出すが、なかなか成功しない。こうしてからかったときくらいしか、顔を合わせてくれようともしないので、ザカリーとしてはキュッリッキを怒らせるしか手段がなかった。

 一方、キュッリッキはザカリーに話しかけられるたびに、心底ビクビクしていた。アイオン族であること、片翼のことを、みんなにバラされるんじゃないかと。彼は秘密を話すんじゃないか、その不安が態度を頑なにさせている。

 ザカリーのことは、好きとか嫌いとかじゃない。ただただ不安で不安で、その存在自体が怖くてたまらない。ヴァルトも秘密を知る者だが、同じ種族で事情も知っていることから、無闇にバラすことはないだろうと思える。

 まさかザカリーが自分を本気で好きになっているなど知る由もないので、不安を隠すために、態度が強気になり険悪になる。

 ザカリーの乱入のせいで、キュッリッキとの話が中断されたシ・アティウスは、ヤレヤレといった気分で肩をすくませた。その様子を見ていたカーティスは、ザカリーとキュッリッキが揉めているのを見かね、口を挟んだ。

「あんまりキューリさんを、からかわないで下さいよ」

「別にからかっちゃいないよ。だってよ、退屈なんだもん。なあ」

 ザカリーは強引にキュッリッキの肩を抱き寄せる。あまりにも素早い行動に、キュッリッキはビックリした顔で、ザカリーの腕の中に抱き寄せられ目を見張った。

(ヤダ…)

 足元から嫌悪感が這い上がってきて、吐き気を覚えて顔をしかめる。

「ザカリー、そのくらいにしておいて下さい、嫌がってますよ」

 理由は知らないまでも、ザカリーが話しかけるとキュッリッキの態度が意固地になるのは、カーティスにも判っていた。目を合わせようともしないし、話しかけられても無視している。今も、本気で嫌がっているのが、露骨に顔に出ているのだ。

「退屈だしさ、神殿の中で楽しいことしようぜ」


混迷の遺跡編:episode131 つづく

episode130

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片翼の召喚士-ReWork-:episode130 

 

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片翼の召喚士-ReWork-
 混迷の遺跡編:episode130



「召喚士というのは君かね?」

「ふにゅ?」

 突然話しかけられふくれっ面のまま顔を向けると、衣服が血まみれの無表情な男がキュッリッキを見おろしていた。顔や頭の血は拭われていたが、白衣にはべっとりと黒々とした血が染み付いていて、その姿にギョッとする。

「私はアルケラ研究機関ケレヴィルの研究員をしている、シ・アティウスという」

 差し出されたシ・アティウスの手を握り返し、キュッリッキは僅かに首をかしげた。

(アルケラ研究機関?って、なんだろう…)

 不思議そうに見上げてくるキュッリッキを見下ろしながら、シ・アティウスはベルトルドから中継された、ソープワート王国軍を消し去った、凄まじい召喚の光景を思い出していた。

「太古には、この世界に実在していたという神の国アルケラ。突如国ごと姿を消し、今となっては召喚スキル〈才能〉を持つ者だけが、アルケラの実在を確認できるだけにとどまっている。もはや空想世界のことだと思われ伝説化されてるが、アルケラが存在していた形跡がこれら遺跡には遺っていてね。そうしたものを調べることを仕事にしている研究機関のことだ」

 キュッリッキの疑問を見透かしたように、シ・アティウスは淡々と説明する。

「アルケラのこと、信じてくれているの?」

 ぽつりとした呟きに、シ・アティウスは大きく頷いた。

「もちろん信じているとも。そうでなければケレヴィルなどに、勤めたりはしない」

 ちょっと考える素振りを見せたあと、キュッリッキは抱えていた小さなフェンリルを持ち上げて、どこか必死に訴える。

「あのね、あのね、アルケラは、ちゃんとあるんだよ。この子だってアルケラから来たし、小鳥たちもだよ。幻じゃないの、アルケラはあるの」

 その様子に、初めてシ・アティウスは相好を崩した。

「もちろん我々も信じて研究をしている。そうでなければ、危険な思いをしてまでこの遺跡を調べに来たりしない」

「うん、そうだよね」

 キュッリッキも破顔した。

「この皇国には、召喚スキル〈才能〉を持つ者たちがそこそこ集められている。君は宮廷のどの召喚士たちよりも、強い力を秘めているようだね。正直召喚士がそんなに凄いことができるとは、知らなかったくらいだ」

 シ・アティウスの背後にひっそりと控えていた他の研究者たちも、そうだそうだと頷きあっていた。

 他の召喚士たちを知らないキュッリッキには、やはり違いがピンとこなかった。自分と同じようにアルケラを視て、住人たちと話ができて、通じ合い、こちらの世界に招き寄せられるものだと思っていたから。

 いずれ他の召喚士に、会ってみたくなっていた。

「帰ったらケレヴィルの研究施設で、色々調べさせてもらいたい」

「そしたら、他の召喚士とも会うことができる?」

「ああ、会わせてあげるよ」

「うわあ」

 キュッリッキの顔が喜びで輝いた。

 喜ぶキュッリッキを見つめながら、シ・アティウスはアルカネットから見せられた、彼女の報告書を思い出していた。

 不遇な過去を持つこの少女が、フリーの傭兵に身を落とし、類まれな力を振るっている。宮廷の召喚スキル〈才能〉を持つ者たちに、今すぐ見せつけてやりたい。同じスキル〈才能〉でありながら、雲泥の差があるということを。

「こんな狼っ子調べてたら、噛み付かれちゃいますよ」


混迷の遺跡編:episode130 つづく

episode129

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片翼の召喚士-ReWork-:episode129 

 

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片翼の召喚士-ReWork-
 混迷の遺跡編:episode129



「なんだか急に、賑やかになったわね…」

 ファニーは傍らのハドリーにそっと囁く。無言で相槌を打つと、ハドリーは遺跡の中を見渡した。

 突如ソレル王国兵に捕らえられ連行されてしまった、ハワドウレ皇国のケレヴィル研究者たちを救出するため、副宰相の命令で送り込まれてきたというライオン傭兵団。たった一日で作戦を成功させ、今こうして団員全てが集結している。戦闘員は一人で一個大隊・一個師団級の戦闘力をほこると噂されていた。

 装備、武器など、パッと見ただけでも、相当の品だと判る。その上チートスキル〈才能〉者だらけときた。魔法やサイ《超能力》を持つ者たちが、しかも高ランクが一つところに集まるなど非常に稀だ。

 ライオン傭兵団は全ての傭兵たちにとって憧れであり、嫉妬の対象でもあるのだ。

 そんな連中の所に、親友のキュッリッキが入った。

 元々フリーでチマチマ稼ぐには、勿体無いスキル〈才能〉の持ち主なのだ。本来なら国に召し上げられるほどの、貴重なスキル〈才能〉である。

 しかし当人はそれについては全く意識しておらず、仕事は選ばず依頼があれば受け、小さい傭兵団でも期間限定雇用でもなんでも入っていった。それは友人であるファニーの影響が強いせいもあったし、キュッリッキは自分が特別なスキル〈才能〉を持つ存在だという意識がまるでないからだ。

 ようやくそのスキル〈才能〉に相応しい場所に入れたのかと安堵して、ハドリーはつい親のような気持ちになってしまい苦笑する。

 盛り上がっていた彼らは、今は幾つかの輪を作って談笑している。所在無げにファニーと隅に座って眺めていたハドリーのところへ、ルーファスが笑顔で歩いてきた。

「やあ、キミたち、キューリちゃんの友達なんだってね」

「ああ」

「それにしてもさっ」

 ルーファスは素早くファニーの隣に座ると、すかさず擦り寄り強引に手を取って握る。そのあまりにも唐突な行動に、ファニーはビックリした顔を向けた。

「ファニーちゃんって言ったっけ、こんな可愛い子を縛って窖に放り込んでおくとか、ソレル王国兵も酷いことするよねー」

「そ、そうね」

「ねね、どこに住んでるの? 仕事終わったら飲みに行かない? オレ凄くイイ店知ってるんだよね~」

「えっと…」

 顔を近づけてきて囁くように言うルーファスを、ファニーは顔を引きつらせながら少しずつ避ける。ハドリーは素知らぬ顔で明後日の方向を向いていた。

 キュッリッキほどの美人ではないが、大きい目と愛らしい顔立ちに、ボンッと大きな胸で、ファニーもかなりモテるのだ。

 ルーファスは申し分のないハンサム顔なのだが、ハドリーだけは知っている。

(コイツの好みじゃねーんだよな…)

 それをはっきり言うわけにもいかず、ハドリーはヤレヤレと内心で溜息をついた。

 一方キュッリッキはその様子を遠巻きに見ながら、少しふくれっ面になった。

(ファニーがちょっとくらい胸おっきいからって……)

 ルーファスは巨乳専と豪語するだけあって目敏い。ファニーに目を留めると、すぐにちょっかいを出し始めている。ファニーにちょっかいを出すのは全然良いけれど、キュッリッキには顔を見るなり、頭をクシャクシャと撫で回して褒めるだけ。殆ど子供扱いに等しい。

 ファニーはキュッリッキより3つ年上だが、その扱われ方の差に、なんだか酷く不満があるのだった。


混迷の遺跡編:episode129 つづく

episode128

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片翼の召喚士-ReWork-:episode128 

 

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片翼の召喚士-ReWork-
 混迷の遺跡編:episode128



 ライオン傭兵団は全員が顔を揃えると、遺跡の前で大きな輪を作って、各部隊の武勇伝を披露し合っていた。しかしいざ戦闘の話になると、バトル3馬鹿はキュッリッキのチート支援の話題に集中した。

「カーティス、今度戦闘のある仕事が入ったら、ボクにはキューリを支援につけてくれ」

 おかっぱに切りそろえた黒髪を揺らしながら、タルコットはカーティスを軽く睨む。

「それはダメだろう。俺と組むんだ」

 隣に立つキュッリッキに、ガエルは凄みのある笑顔を向ける。

「キューリは俺様に支援をすればいい!」

 向かい側に立つヴァルトは、ぎゃーすか喧しく喚きたてた。

「モテ期ですね、キューリさん」

 キュッリッキの足元で、シビルが肩をすくめた。

「だいたいガエルがボクたちより数を稼げたのは、全部キューリの支援のおかげだろう。ボクたちと同等の支援じゃない限り、今回の数は無効だ」

「そーだそーだ! そのトーリ!!」

「確かに支援はこちらが優秀すぎたが、それを巧みに活かしての戦闘だ。間違いなく俺の勝ちだ」

「カーティスのしょぼい強化じゃなきゃ、俺様が負けるはずねえ!」

「ヴァルトと違ってボクは、防御もしっかりしながらの戦闘だった。それでこれだけの数を稼いだんだから、当然ボクの勝ちじゃないと納得できない。それに、ヴァルトは跳ね返した弾で倒した数も足してるぞ」

「入れてねーよ! テメーも見てただろ」

「知らないな。ズルはよくない」

「ナンダト~~!」

 盛り上がる3人を冷ややかに見やって、カーティスはゲッソリと溜息をついた。

「毎回苦労して強化魔法を施し、回復や弱体支援をしている私に向かって、なんて言い草でしょうかね全く…。まあ、3馬鹿はほっといて、今後の通達事項ですよ」

「カーティス、たいへんなんだね…」

 キュッリッキも呆れ顔で薄く笑った。

「まあ、いつものことだ」

 タバコをふかしながら、ギャリーも薄く笑う。輪のあちこちから、同意する頷きや苦笑が飛び交っていた。

「ケレヴィルの方々は、もう少し調査を続けたいそうです。恐らくソレル王国軍は、再びナルバ山に攻め込んでくるでしょう。遺跡は死守して欲しいとのことなので、麓で迎撃することになります」

「夜間攻めて来ることはなさそー?」

 手を挙げてルーファスが言うと、

「多分、今夜は無いと思います」

 かわってブルニタルが答えた。

「そーだよね。散々暴れてきたから、すぐ立て直し出来ても、夜間中に奇襲は無理かあ」

「ただ、探りを入れに来ることはあるかもしれません。夜通し警戒を続けるのは必須だと思いますが」

「そうですね。全員疲れていると思いますが、グループ分けをして警戒に当たりましょうか」

 ブルニタルの発言を受けて、カーティスが決定する。

「それなら、みんなにもこれ渡しておくね」

 キュッリッキは掌に乗せていた綿毛を、軽く宙に放る。

「なんでえ、それ?」

 不思議がるギャリーたちに、ブルニタルが素早く説明した。

「本当に召喚士というのは、すごいものなんですねえ」

 カーティスは満足そうに頷き、小さな綿毛を頭に置いた。


混迷の遺跡編:episode128 つづく

episode127

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