片翼の召喚士-ReWork-:episode533

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 アン=マリー女学院からの依頼編:episode533

 ヴィプネン族の治める惑星ヒイシには、17の小国と5つの自由都市がある。しかし、8月に起こったソレル王国、ベルマン公国、エクダル国、ボクルンド王国の4国が、ハワドウレ皇国に反旗を翻し、圧倒的な力で鎮圧され、国名は削除された。

 現在は13の小国と5つの自由都市となり、4国は皇国の一地方県となった。

 ウエケラ大陸は南半球にある大陸で、トゥルーク王国はこのウエケラ大陸にある。

 大陸の約3分の1の国土を有し、織物の生産が盛んで、裁縫スキル〈才能〉を持つ者が多く生まれることでも有名だ。

 綺麗で品質のいい布地が沢山あり、この惑星ヒイシに留まらず、惑星ペッコ、惑星タピオにも輸出されている。そして、人気の服飾デザイナーも多く輩出していた。

 トゥルーク王国の首都ヴァルテルから汽車に乗り、2本乗り継いでノーテリエ山地に着く。そこから駅馬車を乗り継ぎ、アン=マリー女学院のあるシエンという街まで2日。やや強行軍で計3日をかけ、メルヴィンたちはシエンの街に到着した。

「さすがに休憩なしのノンストップ移動は、身体に堪えるな……」

 腰をトントンと叩きながら、ルーファスがゲッソリと言う。

「普段女のケツばかり追いかけて、鍛錬を怠るからそうなる」

 タルコットから素っ気なく言われて、ルーファスはしょんぼり肩を落とした。図星だから反論のしようがない。

「まあ、鍛錬はともかく、ちょっと休憩を挟んでから、学院へ行きましょうよ」

 疲れたようにシビルが言うと、メルヴィンも頷いた。

「どこかでお茶でも飲みましょうか。我々が来た使いも出しておかないといけませんしね」

「あそこにカフェある、行こう」

 ルーファスが街の一角にある洒落たカフェを指差し、スタスタと歩いていった。

 標高はあまり高くないゼウダ山の麓に、シエンの街はある。なだらかな土地に合わせて街が作られたのか、ゆるやかな坂道が多い。

 アン=マリー女学院のほかに、2つの大学、裁縫スキル〈才能〉の専門学校などがあるせいか、とくに学生を意識した建物や店が多い。道の端々まで綺麗に舗装されていて、美しく賑やかな街並みだ。

 メルヴィンはカフェにくる途中で見つけたメッセンジャーボーイに手紙を渡し、アン=マリー女学院の院長へ届けるよう、つかいを出した。場所が場所なだけに、いきなり訪れるわけにもいかない。

 カフェで一息ついた頃、ほどなくしてメッセンジャーボーイは一通の封書を持って戻ってきて、メルヴィンに手渡した。

「すぐに読んでくださいだってさ」

 メッセンジャーボーイにチップをはずみ、メルヴィンは手紙を開いた。

「門の前に案内人を待機させるので、すぐに来て欲しいそうです」

「では行きましょう」

 シビルは椅子を飛び降りると、皆頷いて立ち上がった。

 街の南側の奥に、アン=マリー女学院は建っていた。

 手入れが行き届いているのか寂れた様子はなく、外観は白の漆喰に塗られた上品な建物だ。

 黒く塗られた大きな鉄の門の前に、一人の女性が立っている。四十あたりだろうか、濃紺の質素なドレスに身を包み、紅茶色の髪を後ろで一つにまとめている。表情は穏やかで、柔らかな笑みをたたえていた。

「あの人かな?」

「そうですね」

 女性に近づくと、あちらも気づいたのか丁寧に一礼してきた。

「ライオン傭兵団の皆様ですね。遠路御足労様でした。わたくしはこの学院の教頭をしている、クラーラと申します。院長がお待ちになっております、こちらへ」

 クラーラと名乗った女性は、手振りで学院の中に招いた。

 メルヴィンたちは頷くと、クラーラの後ろに続いた。

アン=マリー女学院からの依頼編:episode533 つづく

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