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片翼の召喚士-ReWork-:episode543

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片翼の召喚士-ReWork-

 アン=マリー女学院からの依頼編:episode543

 真面目の塊であるメルヴィンに、いきなり名前を呼び捨てにしろとは暴挙である。相手は少女とはいえ、身分の高い王女なのだ。しかし会話を促すために、あえてメルヴィンは思考を柔軟にしたようだった。

「では、その……イリニア」

 語尾がやや尻すぼみ調になりながらも、王女を呼び捨てにして、メルヴィンはため息をこぼす。

「はい!」

 対するイリニア王女は喜びに目を輝かせていた。瞳にまといつく虹色の光彩が一際輝く。

「敵に心当たりはありませんか?」

「心当たり……」

 イリニア王女はやや俯きながら記憶をたどる。

「院長先生は、叔父様やお兄様のことを可能性として挙げておりましたが、わたくしそれは信じられません。いえ、絶対に有り得ないと、断言してもいいと思ってますの」

 組んだ両手をきゅっと握り締め、イリニア王女は目を閉じた。

「叔父様は、わたくしから見ても、度が過ぎるほどと言ってもいいくらい、お父様に忠誠を尽くしておりました。わたくしにもとても優しくて、甘いほどです。お兄様――従兄弟のトビアス兄様も、わたくしを本当の妹のように可愛がってくださいます」

「でもそれは、偽りの仮面ということはないですか?」

「いいえ、いいえ!」

 イリニア王女は激しくかぶりをふった。

「確かにわたくし、世間知らずなのですわ。でも、人を疑うことも知っていますし、そこまで眼鏡が曇っているとは思いません。叔父様もお兄様も、絶対に違います」

 言い切るイリニア王女に、メルヴィンは優しく頷いた。

 今のところカーティスから報告は来ていない。ブルニタルとペルラが調査を行っているが、まだ明らかになっていないのだろう。

「敵の正体は掴めないですし、奇襲もヴェルゼッドまではないと考えていいかもしれませんね」

「そうだね。ヴェルゼッドまでは、あとどんくらい?」

 ルーファスはシビルに顔を向ける。

「あと2日ほど、かな。王女様も頑張ってくれてるから、このペースだと2日後の朝には街に着きそう」

 地図を見ながらシビルは頷く。奇襲がないぶん進みは早い。それに、もっと足を引っ張ると思われたイリニア王女が、根性を見せて頑張ってついてきてくれているのも大きかった。見た目の儚げな姿からは想像がつかないほど、しっかりしている。弱音も吐かないし、護衛相手としては理想的だ。

「恋する乙女パワーは、偉大だねえ」

 ぼそっと小声で言うルーファスに、シビルは疲れたように苦笑った。

アン=マリー女学院からの依頼編:episode543 つづく

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