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片翼の召喚士-ReWork-:episode545

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片翼の召喚士-ReWork-

 アン=マリー女学院からの依頼編:episode545

 皆の予想を裏切り、キュッリッキが全速力で向かっていたのはハーメンリンナだった。

 常に身につけている通行証を見せてハーメンリンナに入る。ハーメンリンナの住人として登録されているキュッリッキは、ボディチェックもなくすんなりと丁重に通された。そして地下通路に入ると、案内板を見ながら真っ直ぐ走る。

 地下を走るリニアを、なんとなく怖くて避けているキュッリッキは、自らの脚で広大な地下通路をひた走った。

 途中から息が切れてきて、フェンリルが狼形態に身体を戻し、キュッリッキを乗せて地下通路を駆け抜ける。すれ違う人々が大きな狼の姿にギョッと慄くが、それもスルーしてひたすら目的地へ向かう。

 やがて地上に躍り出たフェンリルから飛び降り、キュッリッキは大きな建物に飛び込んだ。そして身体を小さく戻したフェンリルに案内してもらい、一際大きな扉を勢いよく開いた。

「ベルトルドさんいるっ!?」

 室内からザワッと騒然とした声が漂ってきた。扉のところに立つキュッリッキに、室内全ての視線が集中する。

「リッキー?」

 部屋の上座にいるベルトルドが、間の抜けた声を出す。その横に立っていたリュリュも、垂れ目をぱちくりさせてキュッリッキを見ていた。

 軍服を着た居並ぶ人々を見渡し、上座にベルトルドを見つけたキュッリッキは、迂回もせずにテーブルに飛び乗って駆け出した。そしてベルトルドの前に到着すると、しゃがみこんでベルトルドの襟元を両手で握り締めた。

「ベルトルドさん! アタシのお願い聞いてくれたら一発ヤラせてあげる!!」

 行儀の悪い行動よりも、その発言に室内が固まった。

 沈黙のステップが室内を一周した頃、ベルトルドが無言のまま静かに席をたった。そして、テーブルの上でしゃがみこんでいるキュッリッキを、素早く腕に抱き上げる。

「さあリッキー、お願いを言ってみるがいい!!」

 顔は真剣そのもの、ただブルーグレーの両眼だけが、ギラギラと熱をもって燃え盛っていた。興奮のためか、鼻の穴が膨らんでいる。

「今すぐブロムストランド共和国に飛んで、悪い奴をやっつけちゃって!!」

「任せろ!」

「ちょっとベル!?」

「会議は適当に勝手にやっておけ!」

 そう言いおくと、キュッリッキを腕に抱いたまま空間転移してしまった。

「…………」

 空間転移の余波で、書類が数枚ヒラヒラと床に落ちる。

「いやあ、相変わらず、股間に正直な方ですねえ」

 ブルーベル将軍がニコニコと言う。その一言で金縛りが解けたリュリュは、ハッとなり、きぃいいっと手にしていた書類を噛んだ。

「一体ナンナノヨっンもおおお!」

 書類を噛みちぎると、リュリュは会議室を飛び出していった。

アン=マリー女学院からの依頼編:episode545 つづく

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