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片翼の召喚士-ReWork-:episode559

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片翼の召喚士-ReWork-

 アン=マリー女学院からの依頼編:episode559

 ベルトルドの悲鳴が遠のいていくのを聞きながら、アルカネットは心底満足そうにニッコリと微笑む。邪な計画を阻止できて大満足なのだ。

「お見苦しいところをお見せしてしまい、たいへん失礼致しました」

 これ以上にないほど優雅に頭を下げられ、イリニア王女とニコデムス宰相は呆気にとられて、条件反射的にコクコクと頷いた。先ほど怒鳴りつけられて心底恐怖したが、今の会話はなんなのだろうか。

「さて、突然で申し訳ありませんが、殿下には、我々と一緒に皇都イララクスにお越しいただきたいのですが、よろしいでしょうか」

「え?」

「それは一体……?」

 いきなりのことに、ニコデムス宰相は怪訝そうに目を眇めた。

「今回の一件では、首謀者一味を一網打尽にしましたが、まだブロムストランド共和国の首相の生死が定かではありません。安全が確認されるまでは、殿下の御身は危険なままです。次期女王として即位なさる前に、危険を根絶して、安心して玉座に就かれるがよろしかろうと存じます。そして我がハワドウレ皇国の社交界にも、誼を結んでおくと今後のためにもよろしいかと」

 実のところ、ニコデムス宰相はこの事件の詳細を知らされていなかった。

 国王夫妻が不慮の事故で逝去し、国葬のためにイリニア王女に首都に戻るように連絡を出した。場所が場所なだけに、戻るのには日数をようする。そして即位のこともまた連絡をしていた。旅の間に心の整理を促すためだった。

 ようやく学院側から、学院で雇った傭兵たちに護衛されながら、イリニア王女が出発したことを知った。何故学院が傭兵を雇ったのか訝しみ、すぐさま王宮から護衛を向かわせることにした。

 しかし護衛たちは王女とは合流できず、行方知れずだと連絡を寄越してきた。ところが今日になり、突如ハワドウレ皇国魔法部隊長官という肩書きのアルカネットと、副宰相兼軍総帥の秘書官リュリュという2人組が現れた。配下の傭兵たちが王女を護衛しており、そろそろ到着するだろう、と言うのだ。そして本当に現れたので心底驚いた。

 彼らからブロムストランド共和国が王女を狙っていると、簡単に説明は受けているが、正直ニコデムス宰相は困惑していた。こうして王女が無事到着したのは幸いだったが。更にアン=マリー女学院院長が縛り上げられているのにも驚いていた。

 突然両親を失い、命を狙われ、重責を担うことになる可哀想な姪に、いきなり問い詰めるようなことはできない。それよりも、まずはゆっくりと勞ってやりたかった。

 縛られたまま地面に転がされているシェシュティン院長を見つめ、暫く考え込んでいたイリニア王女は、判りましたと返事をした。そしてニコデムス宰相を振り向く。

「叔父様、わたくし行ってまいりますわ」

「殿下……」

「今回の事後処理、お任せ致します」

 ニコデムス宰相は眉を顰めたまま、ゆっくりと頷いた。

「判りました。殿下が安全に即位出来るよう、よく掃除をしてからお迎え致します」

「ありがとうございます、叔父様」

 ようやくイリニア王女は破顔した。

「護衛のためにトビアスをお連れください。――構いませぬな?」

 アルカネットに顔を向ける。単身向かわせるわけにはいかない。今度こそ信頼のおける護衛をつけなくては、安心できなかった。

「ええ、もちろんです」

 笑顔を崩さずアルカネットは了承した。

アン=マリー女学院からの依頼編:episode559 つづく

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