アストリッド様と「行くわよ愉快な下僕たち!」:episode01

アストリッド様と「行くわよ愉快な下僕たち!」 記事用ヘッダー

アストリッド様と「行くわよ愉快な下僕たち!」

旅は道連れ編:ヴェガルド語り_episode01

「ちょっと、さっさと元気に歩きなさい!」

「……」

 ボクは今、慣れ親しんだ森を出ようとしている。

 幼い頃からずっと暮らしてきた、この森から。

 目の前には、長い縦ロールを何本もたらした女が、颯爽とした足取りで歩いている。

 態度は偉いそうで、高飛車で、そして怖い。

 何故そんな怖い女と一緒に歩いているのかを、これから話そうと思います。

 みなさん初めまして。ボクの名前は、ヴェガルト・イプセン。13歳になったばかりなんです。

 家族は、父と母がいましたが、幼いころに死んじゃいました。

 住んでいた村が、神々の戦いに巻き込まれて、木っ端微塵に吹っ飛んじゃったの。ボクは近くの森で遊んでいたから助かったけど、村が吹っ飛んだ光景は、今でも忘れられない。

 だって、本当に文字通り吹っ飛んじゃったんだよ。

 ボクはそれを、森の入口で、友達の動物たちと見ていたから。

 何故村は、神々の戦いに巻き込まれたかって?

 ボクの住むこの世界ヴィンドフロトは、光の神々の住む世界アルスキールスキンと、闇の神々が住む世界デュープルマニョールの間に存在する世界なんだ。そのため神々は中間世界のヴィンドフロトで戦闘を始めちゃう。

 これは神話なんかじゃなく、今もずっと続いている、本当のお話。物心着く頃には、両親からずっと聞かされてきたんだ。この世界に住む人間たちは、誰もが知っていることだって。

 一応神々と人間との間に、この場所で戦ってはいけないよ、という協定だか盟約みたいなものがあるそうなんだ。だって、ところかまわずドンパチ始めちゃったら、力のない人間は死に絶えちゃうでしょ。

 でも、ボクの住んでいた村は、盟約の場所には入ってなかったのかなあ。あっけなく一瞬で吹き飛ばされちゃった。おかげで、お父さんもお母さんも、村人たちの死体すら見つけられなかったんだ。

 一人ぼっちになってしまったボクは、遊びなれたこのヒュトネンの森で、たくさんの動物たちと一緒に暮らすことになったの。

 人間は誰もいないけど、動物たちはみんな優しくしてくれたんだよ。

 ボクをいじめる子は居ないし、お腹がすいたら食べ物もとってくれる。寝るときも水浴びするときも一緒だし、言葉やいろんなことも教えてくれた。

 だから人間がボク一人でも寂しくないし、怖くなんかない。

 怖くなんかない。

 ……ナイ、はずだったんだけどぉ…。

「ちょっとアナタ、あたくしが通るこの粗末な道に、獣の糞(ふん)が落ちているじゃない。なんで掃除しておかないの!」

 けたたましい声とともに、この女が突如現れた。

 木の上でのんびり昼寝をしていたら、いきなり怒鳴られて。それで目が覚めて、地面に落ちたらこの有様なんです。

「えっと、避けて通ればいいんじゃ…」

「このあたくしが、道を譲らないといけないというの!? ハッ! 信じられないわ? 誰に向かってモノを言っているのかしら?」

 このヒュトネンの森は、あまり人が通らない。たま~にこうして旅人が通ることが、稀にあるくらいなんだけど。

 たいていは、糞(ふん)なんて避けて歩いていくものだと思う。だって、ここは森だよ!? 動物たちの住む場所なんだよ!

 って、さっきから言っているんだけど、この人、全然話を聞いてくれないんだっ。

「下賤の田舎者は、これだから躾がなっていないのよ」

 目の前のこの女、ボクよりちょっと年上な感じ。顔は小奇麗なほうだけど、とにかく態度が居丈高だ! 目つきもインケンそのもの!

 ちょっと濃いめなピンクの髪の毛だけど、前髪部分だけが少し色が薄くて、長い髪は縦ロール。服装も赤や黒やピンクな派手さで、都会(?)の人って、こういうファッションセンスの人が多いのかな。

「さあ! 道を綺麗にしなさいっ!」

 女は腕を組んで、ふんぞり返って、ビシーッとした口調で怒鳴った。

旅は道連れ編:ヴェガルド語りepisode01 つづく

フッター
関連記事
オリジナルファンタジー小説

Comments 0

Leave a reply