アストリッド様と「行くわよ愉快な下僕たち!」:episode05

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アストリッド様と「行くわよ愉快な下僕たち!」

旅は道連れ編:アストリッド語り_episode05

 あたくしの名は、アストリッド・グエナエル・スヴェンセン。16歳になったばかりの、美しくて可憐な乙女よ。

 生まれは西の大陸にある大国の一つ、アウレリア神聖国。光の神々を敬い奉っている国のひとつね。

 アウレリア神聖国には、武力を行使する軍隊と、光の神から啓示を受けた聖なる乙女率いる神聖騎士団、国政を司る魔術師たちからなる評議会の3つの勢力があります。その評議会の筆頭魔術師の家柄でもあるスヴェンセン伯爵家が、あたくしの生家。

 あたくしは、そのスヴェンセン伯爵家の次期当主。

 何故そんな尊い身分のあたくしが、こーんな辺鄙で物騒なところを歩いているかって?

 スヴェンセン伯爵家は、かなり古い魔術師の家柄なんですけど、元は爵位も持たない家だったのですって。

 でも、イーヴァル・スヴェンセンという、伯爵位を賜った初代スヴェンセン伯爵が誕生したことで、スヴェンセン伯爵家は現在の地位を不動のものにしたと言われているわ。

 そのイーヴァル伯は稀代の天才で、しかも凄まじく強かったそうよ。並み居る名家の魔術師たちを退け、実力を世界中に轟かせ、時の国王すら逆らえなかったという。想像するだけで痺れちゃうわよね。

 そしてなによりも凄かったのは、新しい魔術を生み出したこと。

 古くから世界には色々な魔術があるけど、そこからまた新しく生み出すことは、本当に凄いことなの。昔から伝えられる魔術を、自己流にアレンジするくらいは誰でも出来るんだけど。どんなに天才と言われていても、実現は不可能に近いわ。だからイーヴァル伯は凄い人なのよ。

 ただ、ね……。

 新しく生み出されたその魔術、かな~~~り特殊仕様なのです。

 魔術というものは、本来魔術師しか扱えないものよ。魔術師の起源は曖昧な説しかないのだけど、魔術師の血を引いて、修行を収めた者だけが扱える。でも、魔術師ってそう多くはないの。国に仕える魔術師や野良魔術師など、全体の一掴みくらいしかいないわ。だから結構、国宝級だったりする。

 そのことをイーヴァル伯は憂いていたのか、単にこういう構造になったのか、そのあたりは知らないけども。

 エインヘリャル、そう名付けられたこの魔術は、魔術師には扱うことができない。

 ね、それだけ聞くと「は?」って滑稽でしょ。

 魔術というものは、魔力がないと発動しないの。魔術師と呼ばれる人々は、その魔力をもって生まれてきている。魔力があれば、魔術師になることはできるけど、持っていない人は一生魔術師にはなれない。そこでイーヴァル伯は、エインヘリャルを魔力ではないもので発動する仕様にした。

 なにで発動するか、それは、体力。

 更に笑えるでしょ、何故体力なの? と。体力なら魔術師だって持っているわよ。

 でもね、イーヴァル伯は標準的に備えている体力では、扱えないレベルに作り上げてしまったの。

 年齢は18歳から29歳までで、底抜けのアホレベルの体力じゃないと、エインヘリャルは発動しない。そういう制限を設けてあるの。つまり、もっとも体力が豊富なお年頃で、24時間ノンストップで肉体労働出来ちゃうくらいの体力量じゃないと、ダメってことね。

 まあ、自分で説明しておいてなんですけど、魔術師よりも使える人が限定されると思うのよね…。しかも、恐ろしく希少だと思うわ。国宝級を通り越して、すでに天然記念物よそんな体力持ちなんて!

 エインヘリャルの使用規格は激しく敷居が高いけど、エインヘリャル自体は素晴らしいモノなの。

旅は道連れ編:アストリッド_episode05 つづく

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