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アストリッド様と「行くわよ愉快な下僕たち!」:episode07

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アストリッド様と「行くわよ愉快な下僕たち!」

旅は道連れ編:アストリッド語り_episode07

 下僕(しもべ)の主人として、衣食の面倒を見るのが責務。住は旅の途中だから、安定したものは無理だけど。

 それに美少年連れて歩くなら、それなりの格好をさせないと、あたくしの品位が疑われるわ! だって、何かの変態プレイと勘違いされたら困るじゃない。

 思わず拳を握ってしまいましたわ。

 そうこうしてる間に、目的地が近づいてきたわね。石で組まれた小さな橋の向こう側の道は、綺麗に舗装されている。空はもう濃紺色に染まってきているから、ラザネイトの道路灯が助かるわ。そして沢山の灯りが見える。

「ほらヴェガルド、町が見えてきたわ」

 東の大陸にある、宿場町の一つイマテラ。そこそこ大きくて、お店もいっぱいあるわね。

 街灯で明るい町の中は、旅人や町人たちで賑やか。ずっと人気のない所を歩いていたから、こういう場所へ来ると、ホッとできるってものね。

「さあってと、魔獣の素材を売り払って、お買い物しましょう」

 ヴェガルドは複雑そうな顔をしながら、袋をあたくしに寄越した。

 ふふふ、珍しい種類の魔獣が沢山いたおかげで、貴重な素材がいっぱい。かなりの額になるわね。

 魔獣の素材を専門に扱う店は、宿場町には必ず一軒あるの。

 魔獣は主に森に生息するんだけど、旅の途中魔獣と出くわして、襲われたり襲ったり、素材を入手する機会があるのね。爪や角や骨なんかは日数を気にせず持ち歩けるけど、内蔵とか血とか皮とか、鮮度命な部位はすぐに売りたい。そこで必ず宿場町には、大小問わず専門店が置かれることになっているの。魔獣の素材は、薬、装飾品、武器、魔術アイテム、道具など、色々な用途があるから大人気よ。

 すぐ近くにある果物の露天のおじさんにお店の場所を聞いたら、町の東側にあるって教えてくれたわ。

「あっちみたいね、行くわよ」

「ごしゅじんさまああ」

「ん?」

 露天から離れた途端、可愛らしい声が空から降ってきた。この聴き慣れた声は…

「ヨナス!」

「ごしゅじんさまあ! ただいま戻りましゅた~」

 ピンク色の翼をパタパタさせて、アイボリーの毛玉が差し出した手の中に飛び降りてきた。勢いよく突っ込んできたから、掌の上でポンッと軽く跳ねる。

「お帰りなさい、ヨナス」

「ただいまでしゅ、アストリッドおじょうさまあ」

「うわあ、可愛い~」

 それまで黙っていたヴェガルドが、目をキラキラさせて、手の中のヨナスを見つめている。あら、興味があるのね。

「この子はヨナス、あたくしの使い魔なの」

「使い魔?」

「はいぃ~。アストリッドおじょうさまに作られた、おじょうさまにお仕えする下僕(しもべ)なのですよ~」

「キ、キミも下僕なんだ……」

 ちょっと、なに、その憐れみに満ちた目は! 失礼しちゃう!

「荘園の牧場で飼っていた羊が生んだ仔羊が、狼に襲われて死んじゃったの。その可哀想な魂を核にして、あたくしが作ったのよ、ヨナスを」

 魔術師は自ら使い魔を作り出すことができるの。ヨナスを作ったのは、あたくしが7歳の頃だったかしら。以来ずっと一緒、下僕以上に大事なお友達。

「いつもの定期報告、御当主さまに届けてきました」

「おつかいご苦労様」

 ヨナスは嬉しそうに、ピンクの翼をパタパタ羽ばたかせた。褒めてあげると、いつもこうして喜びを表現するのよ。

「ほんと、可愛いなあ~」

「えへへでしゅ~」

 普通の人間だったら、どんなに見た目が可愛くても、喋るとびっくりするものなんだけど。さすが、魔獣に囲まれて育っただけあるわね、この子。ヨナスを見ても、怖がるわけでもなく、気味悪がるわけでもなく。まっ、そのほうが助かるけど。

「ごしゅじんさま、それは戦利品でしゅか?」

 もう片方の手で持っていた麻袋に、ヨナスが目を向ける。

「ええ、そうよ、目ざといわね」

「魔獣の臭いが、プンプンしてましゅもの」

「ふふっ、これを売り払って買い物をするから、お店へ行くわよ」

「ハイでしゅ~」

旅は道連れ編:アストリッド_episode07 つづく

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