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アストリッド様と「行くわよ愉快な下僕たち!」:episode08

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アストリッド様と「行くわよ愉快な下僕たち!」

旅は道連れ編:アストリッド語り_episode08

 鑑定、値段交渉、精算するまで、だいたい30分くらいで終わったわ。比較的大きめの専門店だったから、あまりケチらず買い取ってくれて嬉しい。町の賑わい方から見ても、割と人の往来が多いので、羽振りがいいのね。

 必要になる旅の資金は実家から出ているんだけど、所持金は多いほうがいいから、あたくしはこうして所持金を増やしているの。食い扶持が増えたし。

 良家の子女だって、甲斐性あるんだからっ!

「さて、ヴェガルドの服を買いに行きましょう」

 毛皮を胴に巻いただけの姿は、人目を惹きまくっていて、あたくしのほうが恥ずかしいんですもの。なまじ顔がイイだけに、余計よ!

「このままじゃ、ダメなの?」

「ダメに決まっているでしょ!!」

 不満そうに言ってくるヴェガルドを一喝して、さっき見つけておいた仕立て屋に入りました。

「いらっしゃいませ」

 ニコニコと営業スマイルを浮かべた店主が、ススッと寄ってくる。

「この子の旅装をお願いしたいの」

 ヴェガルドを前に出すと、店主はギョッとした顔をして、しかしすぐ営業スマイルに戻す。この切り替えの速さは、さすが商売人ね。

 まあ、ね、この反応は正しいわ。今時毛皮を胴に巻いただけの客とか、ビックリしないほうが驚くわよ。

「最近大都市のほうから入荷した、ステキなお服があるんです。少々お待ちを」

 店主は一旦奥へ引っ込むと、何着かの服を腕に携えて戻ってきた。

 胴だけのマネキンに、持ってきた服を着せて、あたくしたちに見せました。

「いかがでございましょう~」

「あら、素敵なデザインね」

 東の大陸のセンスも、悪くないわね。男物だけど、いいですわね~、これ。

「はい~。生地もしっかりしたものを使っており、過酷な旅でも傷まないお仕立てになっておりますよ」

「ふむふむ」

 あたくしは4着ある服を、一つ一つ生地の頑丈具合などを確かめました。旅は安全なものではないし、常に危険と隣り合わせ。しっかりした生地と仕立てじゃないと、お金は出せないわ。

「うん、とてもいい服ね、生地も縫い取りもしっかりしているし。――ねえヴェガルド、あなたどれが着てみたい?」

 ぽつんと取り残されたような顔をしていたヴェガルドは、あたくしに促されて、マネキンの前に立った。暫く迷いながら、2体目のマネキンを指差す。

「うーんと、……コレがいいかなあ」

 ベージュ系で配色された生地に、黒いラインがオシャレに入っているジャケットと、ズボンのセット。うん、そうね、悪くないかも。

「これをいただくわ。ついでに、下着もいくつか見繕ってくださいな。そして、奥で着せてきてあげて」

「ありがとうございますお嬢様。ささ、おぼっちゃま、奥でお召かえしてきましょう」

「はあ…」

 選んだ服をマネキンから脱がせ、困惑気味のヴェガルドを引っ張るようにして、店主は奥へ消えていった。

 これで、ヴェガルドの衣服は一件落着。

「魔獣使い(フラフトストラ)を下僕にするなんて、さすがごしゅじんさまですね~」

「ただのフラフトストラじゃないのよ。あの伝説級になった、イプセン一族の末裔なの」

「ひえええ~~」

「どこかの大都市に寄ったら、魔術協会に報告しなくちゃね。いつかは、ちゃんとしたフラフトストラに弟子入りして、立派なフラフトストラにならないと、せっかくの貴重な才能が台無しになってしまうわ」

「えへへ、ごしゅじんさまは、そういうところはお優しいでしゅね~」

 ほんわか褒められると、気恥ずかしいわよ。あたくしは照れ隠しに、明後日の方向に視線を泳がせた。

 あたくしも魔術師の端くれ、その程度の常識は弁えていてよ!

 でも、暫くはあたくしの下僕(しもべ)。

「お待たせしました~。見違えましたよ」

「おー」

「ホントでしゅね~」

 ちゃんとした服を着せられたヴェガルドは、美少年度を90%はアップさせたわね! これはもう、連れ歩くのには合格よ! 羨む女たちの視線を想像して、あたくしは心で握り拳を作ったわ。

 でも当のヴェガルドは、服に馴染めないのか、襟元をいじったり、袖をまくろうとしたり落ち着かない様子。

 無理もないわね、10年近くも野生動物のような生活レベルだったんですもの。そこは諦めて、慣れてもらうしかないわ。

「替えのシャツとかも欲しいかしら。――お支払いするわ」

「毎度ありがとうございます」

 店主にお代を支払って、あたくしたちは店を出ました。

「もうお夕飯時ね。お腹がすいたわ」

「ボクもお腹すいた」

 窮屈そうな表情(かお)で見上げてきて、ヴェガルドはお腹をグウ~っと鳴らした。

 あたくしは思わず「ぷっ」と吹き出しちゃったわ。こういうところは、素直でよろしい。

「くつろげる、美味しいお料理のお店を探しましょう」

「それならもう、バッチリでしゅ。こっちですよ、ごしゅじんさま~」

 ヨナスはパタパタと西の方へと飛んでいった。

 あたくしの好みを知り尽くしているヨナスだから、もう目星をつけていたのね。さすがは、あたくしの使い魔。

「行きましょう」

「うん」

 ヨナスの飛んでいった方へ、あたくしたちも続きました。

旅は道連れ編:アストリッド_episode08 つづく

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