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アストリッド様と「行くわよ愉快な下僕たち!」:episode13

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アストリッド様と「行くわよ愉快な下僕たち!」

旅は道連れ編:アストリッド語り_episode13

「あれだけの戦利品でしゅものね~」

 ふふ、ヨナスはなんでもお見通しね。

「すごく美味しかった」

 生クリームで口のまわりをデコレーションしたヴェガルドが、可愛らしい笑顔で満足そうに言う。そりゃあ、ずっと野生生活だったもの、たぶん生肉とか食べていたんだろうし。

「それは良かったわね。ほら、これで口のまわりを拭きなさい」

 ナプキンでヴェガルドの口まわりを拭く。

「ヨナスは何も食べなくてもいいの?」

「わたくしめは、ごしゅじんさまの魔力をムシャムシャしているので、物は口にしないのでしゅよ~」

 不思議そうにするヴェガルドに、あたくしは頷いてみせる。

「ヨナスはあたくしの使い魔なので、あたくしの魔力と繋がっているの。なので、あたくしの魔力が枯渇しない限り、ヨナスは元気なのよ」

「ふ~ん、そうなんだあ」

 最後に出された紅茶をいただきながら、のんびりくつろいでいると、さっきのヘリュ・フプリが突然現れた。

「まだなにか、御用がおありなの?」

 思いっきり迷惑そうに言うと、ヘリュは拗ねたような表情で、目だけを明後日に向けている。

「お前、さ、なんでそんな強いんだよ」

 そう不満そうに言われましても?

「同い年のくせに、大人の魔術師みたいに」

 正直ヘリュが何を聞きたいのか判りませんけど、あたくしとの実力差の秘密でも知りたいのかしら。秘密なんてものは、ないですけどね。

「あたくしは、しきたりのために旅をしているの。無事与えられた課題をクリアするために、物心着く頃には猛烈な修行をしてきたわ。もちろん魔術の修行だけじゃなくて、ありとあらゆるコトを躾けられてきた。どんなものとも渡り合えるように。それでたぶん強いんじゃないかしら」

「しきたり…?」

「ええ、そうよ。スヴェンセン伯爵家のしきたり」

「そっか…」

「そういえば、あなた、何故あたくしのコトを知っていたの?」

 ふと気づいた、このヘリュ・フプリは、どうしてあたくしがスヴェンセン一族だと知っていたのかしら。今更間抜けなんだけども、急に気になったわ。

「ああ、オレの地元の魔術協会で知ったんだ。アウレリア神聖国のスヴェンセンの跡取りが旅に出たって。んで、容姿とか教えてもらって、港町で待ち構えてた」

 こ…個人情報ダダ漏れじゃない! これは早急に抗議を出しておかなくっちゃ。

 魔術師と認められた者は、子供でも大人でも、必ず魔術協会に登録をするの。魔術協会に登録しておけば、色々な便宜を図ってくれるし、困っていると助けてくれる。とくにあたくしのような名家の子女が一人旅なんかに出ると、必ずそのことを魔術協会に報告し、旅先で何かあったときは、魔術協会が間に入ってくれる。

「スヴェンセン一族は有名じゃん。だから、勝てばオレの名が一気に有名になると思ってさ。――どうせ、貴族のご令嬢サマだろ。魔術師とか言っても、ぜってえ弱いと思ってたんだが」

「ご想像とはかけ離れていて、申し訳ありませんでしたわね」

「オレの家、ハミナ王国の宮廷魔術師だったんだが、オレが3歳の時に親父死んじまってよ。オレ以外後を継ぐやつがいなくて、でもオレちっさかったから、家督を取り上げられちまった」

 なるほどね、それで名を挙げたかったってわけなのね。

 スヴェンセン一族を倒せば、そりゃ名はあがるでしょう。それがたとえご令嬢様でも、魔術師であればいいのだから。

 ハミナ王国といえば、この東の大陸にある国のひとつだったかしら。

 同情するのはタダだから、いくらでも垂れ流して差し上げるけど、倒されて宣伝に使われるのは御免こうむるわ。

「なあ、あんたの旅に、オレを加えてくれないか?」

 ブッ!

 あたくしは飲んでいた紅茶を、向かい側のヴェガルドの顔に吹き付けちゃったじゃない。ヴェガルドが迷惑そうにナプキンで顔を拭いている。しかし何故そうなるの!?

「あんたの旅についていったら、なんか強くなりそうでさ。頼むよ」

 ヨナスがニヤニヤと、あたくしのことを見ている。ヘリュは真剣そのものであたくしを見ていた。

 ううううん……、どうしましょう。

「ねえヘリュさん、アストリッド様についていくってことは、下僕(しもべ)にしてほしいってことなんだよ」

「下僕(しもべ)?」

「うん。ボクもヨナスも下僕なんだ。ヘリュさんも下僕になるの?」

 ならないならない。だって、プライド高そうですもの、無理よ、無理。

「判った、下僕になる」

 マジっすか!?

「やったー、下僕仲間が増えたね~、ヨナス」

「はいでしゅ~」

 ちょ、ちょっとっ! 何そこで話が進んでいるの!?

「よろしくな、アストリッド」

 あたくしを呼び捨てにしつつ、ヘリュは律儀に頭を下げてきた。

 嘘でしょ~~~~??

 紅茶のカップを握ったまま、あたくしは暫く硬直してしまいました。

旅は道連れ編:アストリッド_episode13 つづく

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