アストリッド様と「行くわよ愉快な下僕たち!」:episode15

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アストリッド様と「行くわよ愉快な下僕たち!」

旅は道連れ編:ヴェガルド語り_episode15

 宿の人が大きなお皿を沢山もってきた。

 わあ、いい匂い。焼きたてのパンの匂いが、食堂いっぱいに広がった。

 これまでのボクの朝ごはんって、木の実とか草とかをそのまま食べていたから、こんなふうにちゃんとした食べ物って、色んな味があって美味しい。

 この具がいっぱい入ったスープも美味しい! 鳥肉とか野菜がゴロゴロいっぱい入ってて、何杯でもおかわりできちゃいそう。目玉焼きも美味しいなあ。

 ボク、幸せだあ。

「オマエ、美味そうに食べてるなあ」

 フォークで目玉焼きの黄身を突っつきながら、ヘリュさんは眠そうに目を瞬いてる。食べないなら、ボクがもらっちゃおうかな。

「朝食を作って下さった、宿の方に失礼ですわよ。美味しいんですから、ちゃんと召し上がってくださいな」

「へーい…」

「ヴェガルド、このサラダも食べるのよ」

「うん」

 アストリッド様がボクの前に置いたお皿には、赤や緑や黄色い野菜がいっぱい入ってた。そこに、ドレッシングっていうものをかけてくれる。

 森で食べてた草と似た色だけど、味も食感も全然違って美味しい。この、ドレッシングっていうものが、美味しいのかなあ~。でも、野菜も色んな味があってシャキシャキ美味しい。

 こんなに美味しいものをいっぱい食べられて、ボク、アストリッド様に下僕にされて良かったかも。

 ゆっくり朝ごはんを食べたあとは、アストリッド様の部屋に集まった。

「下僕も増えたことですし、あたくしの旅の目的の詳細を、話しておかなければなりませんわね」

「そうだな、オマエの下僕になって、具体的にどうすればいいのか判んねえし」

 オマエ、て部分に引っかかったようだけど、アストリッド様は黙殺した。ヘリュさんもだいぶ目が覚めてきたみたい。目つきが全然違うっていうか、眠気のある目つきじゃなくなった。

 アストリッド様は腰に下げている鞄から、前に見せてくれたエインヘリャル? ってカードを取り出した。今度は6枚だ。

「これは、代々スヴェンセン伯爵家の当主が引き継いできた、エインヘリャルというものです」

 薄い青紫色のカードに、金色で綺麗な模様がいっぱい描いてある。そして、カードの表面には、色を失った不気味な人物画が描いてあった。なんだか、今にもカードの中から飛び出してきそう。

「す、スッゲエ、魔神か!?」

「さすがは魔術師の端くれ、お判りになったのね」

「端くれは余計だっ」

 ヘリュさんは身を乗り出して、食い入るようにエインヘリャルを見つめている。青い瞳がキラキラしだした。

「当主となる者はその代で、1枚エインヘリャルを作るの。そして、魔神や神を捕らえて、エインヘリャルに封じ込める。そうして、歴代の当主たちが作り上げたエインヘリャルがこの6枚。そしてあたくしは、7枚目のエインヘリャルを作るために旅をしています」

「マジか……。魔神とかと戦うのかよ…」

 心底驚いたように、ヘリュさんは顔を強ばらせた。正直ボクは、ピンとこないけど。

「神々と戦うための修行はおさめてきたわ。けど、難敵になればなるほど、危険レベルは計り知れない。だから、本音を言うと、先にエインヘリャル・コントローラを見つけ出したいの」

 真剣そのものの表情で、アストリッド様は抑えるように言った。なんだか無敵そうに見えるのに、アストリッド様でも怖いものってあるんだなあ。

「その、エインヘリャル・コントローラってのは、そのエインヘリャルを使う者だよな? どうやって見つけ出すんだ?」

「適正者が居れば、エインヘリャル自身が教えてくれます。この町の規模なら、町内にいれば反応するでしょう」

「なるほどな。じゃあ、暫く町に滞在して、適正者が現れるのを待つのか?」

「そう、悠長に構えているわけにもいきません。あたくしが受けた占いでは、この東の大陸の南を目指せ、とのことだったので、今日は疲れを取るためにこの町に。明日、出発します」

「判った。そのエインヘリャル・コントローラってのを見つけるもの、もう一つの旅の目的なんだな」

旅は道連れ編:ヴェガルド語り_episode15 つづく

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