アストリッド様と「行くわよ愉快な下僕たち!」:episode17

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アストリッド様と「行くわよ愉快な下僕たち!」

旅は道連れ編:ヴェガルド語り_episode17

「え、あ」

 目的のお店の前に着いてたみたい。ここは、鞄屋さんだって。

「えーっと、大きな鞄を1個買いなさいって書いてある」

「そうでしゅね。ヴェガルドしゃんの好きな鞄を選びましょう~」

「んー、でもなんで鞄を?」

「これから旅をするから、必要なものを入れて持ち歩ける鞄が必要になるからでしゅよ」

「そっか、色んなもの入れる鞄、ボク持ってないものね」

「でしゅでしゅ」

 お店の扉を開けて中へ入ると、白髪のおじいさんが出迎えてくれた。

「いらっしゃい、坊や」

「旅に使う大きな鞄が欲しいんだけど」

 そう言うと、おじいさんはフンフン頷いて、店の右奥を指した。

「あっちに目的の鞄があるよ。勝手に見ていい」

「ありがとう」

 おじいさんの示した棚には、色んな形や色の鞄が置いてある。

「ヨナス、どんなものがいいんだろう?」

 好きに選べと言われても、よく判んない。

「そうでしゅねえ~、手に持って歩くと片方の手が塞がってしまいましゅし、重いものを入れると手が疲れちゃいましゅ。こういう、肩にかけられるタイプの鞄が良いと思いましゅよ~」

 棚の高いところに置いてある鞄を、ヨナスが小さな手で掴んで持って来てくれた。ヨナスって凄い力持ちなんだ。

「こうやって掛けるの?」

「そうでしゅ、そうでしゅ」

 長い紐を肩にかけて、腕を通してみる。斜めに紐がかかった感じ。

「服の色にも合いましゅし、お似合いでしゅよ」

 ニコニコっとヨナスに言われて、ボクもこれでイイなと思った。

「ではこれを、あのおじいさんに渡して、お金を払うんでしゅ」

「うん」

 ボクは言われたとおり、おじいさんに鞄を渡して、鞄の代金を支払った。高いのか安いのかは、正直判らない。でも、ヨナス曰く、ちょうどいいくらいの値段なんだそう。

「値札は外しておいたから、肩にかけていくといい」

「うん、ありがとう」

 今日からボクの旅のお供になる鞄、よろしくね。

「次は、細々としたものを買いにいきましゅよ~」

「はーい」

 両手いっぱーいに買い物をして、宿に戻る頃には夕方になっていた。お昼ご飯は、街頭販売のサンドイッチってものを食べた。お肉や野菜をパンで挟んであって、食べやすくて美味しかったよ。

「ただいま~」

「ただいま戻りましたでしゅ~」

「二人共、おかえりなさい」

 テーブルに広げていた地図を見ていたアストリッド様とヘリュさんが、笑顔で出迎えてくれた。

「お買い物はどうでしたか?」

「ヨナスが色々教えてくれたから、メモのものは全部買えたよ」

 紙袋に入れてあったものを、ベッドの上に並べる。

「うん、ちゃんと買えてますわね。ヨナスもご苦労様でした」

「えへへでしゅ~」

 下着の替え、洋服の替え、日用品色々、護身用のナイフ、携帯ランプや燃料、水筒、携帯食料少々、寝袋、お財布、地図、大小の袋、毛布、テント一式、お薬各種、あとボクが欲しくて買ったお菓子。

「ねえアストリッド様、こんなにいっぱい、この鞄には入らないよ」

 下げていた鞄を、ボクはアストリッド様に示す。すると、アストリッド様はにんまりと笑った。

「悪くないデザインですわね。物もしっかりしているようですし、ちゃんとファスナーもついてる。良い鞄を選びましたね」

「ヨナスが選んでくれたの」

「なら、問題ありませんわ」

 そう言ってクスッと笑うと、アストリッド様は自分の鞄から、小さな紙切れを出した。

「鞄を貸してちょうだい」

「はい」

 下げてた鞄を取って、アストリッド様に渡す。

 小さな紙切れに何かを呟いて、鞄を開けると、鞄の中にその紙切れをくっつけちゃった。

「さあ、これでいいわ。ベッドの上の物を、この鞄の中に入れてご覧なさい」

「う、うん」

 首をかしげながら、ボクは一つずつ鞄に入れてみた。

「えっ!?」

 あ、あれ? アレアレ? なんか、スルスル鞄の中に入っていくのに、鞄は少しも膨らんでこないし、どんどん入るよ!

 ビックリしているボクの様子に、ヘリュさんがケラケラ笑った。

「種明かししてやれよ、ビビってんぞ」

「しょうがありませんわね」

 アストリッド様も面白そうに、クスクス笑っている。

「さっき貼り付けた紙切れはね、この鞄の中を亜空間と繋げましたの。もちろん範囲限定ですけれど。だから、これだけ沢山の物を仕舞えて、しかも重たくならないんですのよ。便利な魔術でしょう」

 すっごーい!

「取り出したいものを心に念じれば、すぐに取り出せますわ」

「魔術師は色々な物を持ち歩くし、だけどコンパクトが信条だからな。オレもそうしてる」

「魔術は万能ではありませんけど、便利に応用出来るものですわ。これで、明日からの旅の備えは出来ましたわね」

「はい、ありがとうアストリッド様」

 えへへ、何だか嬉しいな。

「さあ、お夕飯を食べに行きましょうか」

「はいっ!」

旅は道連れ編:ヴェガルド語り_episode17 つづく

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