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アストリッド様と「行くわよ愉快な下僕たち!」:episode18

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アストリッド様と「行くわよ愉快な下僕たち!」

旅は道連れ編:ヘリュ語り_episode18

 朝8時、宿屋の前に揃ったヴェガルドとオレを見ながら、アストリッドは握り拳を太陽に向けて掲げると、もう片方の手を腰に当てた。

「さあ、気合入れて行きますわよ!」

 見るからに居丈高を丸出しにした女アストリッドの下僕(しもべ)に自ら下った、オレの名はヘリュ・フプリ。エレメントを操るリボン魔術師だ。こんな喋り方をするが、ちゃんと女だぜ。歳は16だ。

 今日からオレたちは、大陸の南を目指し、旅を始める。

 目的地はヴェンター王国の南に位置するレヴァル地方だ。アストリッドが師匠と言う魔術師から占ってもらった場所を地図で確認したが、だいたいレヴァル地方を示していたんだ。その辺に、エインヘリャル・コントローラになる適正者がいるらしい。

 この宿場町イマテラからレヴァル地方までは、だいたいひと月くらいの道程になるだろう。途中、山あり谷ありだしな。汽車の通っているところもあるが、何せ森が多い世界だ。汽車でショートカット出来たとしても、やっぱりひと月は見ないとなんねえ。

 まあ、ここ東の大陸はオレも土地勘があるから、旅の役には立つだろう。案内出来る場所も多いしな。

「ちょっとヘリュ、ぼーっとしてないで、早く行きますわよもう」

 半分眠ってる脳みそに、あの高慢ちきな声はノイズにしかならん。

 あーあ……朝は苦手だ。所謂低血圧、ってやつ。ちっちぇーガキんちょの頃から、朝だけは苦手なんだよ。けど、アストリッドの下僕になっちまったから、これから毎日たたき起こされるんだろうなあ…。だりぃぜ。

 途中で拾ったっていうヴェガルドは、すっかり餌付けされた感じがする。

 聞けば魔獣たちと森でずっと暮らしていたそうだから、人間世界の飯は美味いだろう。実際よく食べてたしよ。それに、相変わらず服が窮屈そうだが、じき慣れるだろうな。

 魔獣使い(フラフトストラ)の才能を持っているらしいコイツを、アストリッドはいずれ、ちゃんとしたフラフトストラの元へ預けるつもりらしい。フラフトストラは数がそう多い方じゃないし、そのほうがいいだろう。それに、アストリッドが成人したら、正式に後見人に就くことも考えてるそうだ。

 世界的に有名な、由緒あるスヴェンセン伯爵家の後継が後見人なら、ヴェガルドの将来は安泰。羨ましくはないが、良かったと思う。

 しかし、衝撃の事実だったよなあ。まさか、アストリッドの旅が過酷なものを秘めているたあ、オレでも想像がつかなかった。

 光か闇の神をふん捕まえて、エインヘリャルってえカードに封じる。しかも、歴代の当主たちが捕らえたところから、レベルを下げるわけにはいかねえ。同等かそれ以上の格を持つ神じゃねえとな。

 格下の神ですら、オレには無理だ。オレは、そこまで強くねえ。

 オレが生まれたのは、この東の大陸にある王国の一つ、ハミナ王国ってところだ。

 林檎が名産品ってだけの、のどかで小さな国だ。そしてオレの親父は宮廷付きの魔術師だった。

 まだオレが3つの頃に、親父は死んじまった。死んだ理由は、単に病死だ。元々心臓が悪かったらしい。オフクロはオレを産んですぐ逝っちまったそうだから、親父が死んだ時点で、天涯孤独になったんだ。親類縁者はいなかったって話だ。

 親父は魔術師としては並で、宮廷でもとくに地位が高かったわけでもない。オレも優れた実力を示せていなかったのもあって、家は断絶された。没収される財産もほとんどなかったって。そして孤児院に送られる寸前で、ある魔術師に引き取られた。

旅は道連れ編:ヘリュ語り_episode18 つづく

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