アストリッド様と「行くわよ愉快な下僕たち!」:episode19

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アストリッド様と「行くわよ愉快な下僕たち!」

旅は道連れ編:ヘリュ語り_episode19

 エサ・フプリ。もうとっくに引退した老魔術師。オレにとっては育ての親で、魔術の師匠でもある。

 エサ爺はカード魔術の達人だったけど、元々防御や強化の魔術に特化してて、オレ好みの戦闘魔術は疎かった。なので、実を言うと、オレの得意な魔術は防御と強化系だったりするんだな。そこは、まだアストリッドにゃ言ってねーけどっ。

 何とか攻撃系魔術を覚えたくて、エサ爺からエレメント魔術の手ほどきは受けた。ンが、弱いんだ……。自分で言いたかないけど!!

 なーんか、魔術にも相性があるらしくって、エサ爺曰く、オレは防御や強化系魔術とは相性がいいらしい。だから、オレを引き取ったって死に際に言いやがった。まあ、おかげでそっち系の魔術は結構スゲーんだが。オレ的には、エレメント魔術がスゲーと嬉しいんだがよ。

 だから、アストリッドの手助けをする、となると、防御や強化になるだろうな。果たして神々相手に、オレの魔術が通用するか、サッパリ想像できねーけど。エサ爺仕込みとはいえな。

 けど、自分で選んだことだからな。戦うときは、しっかりやるぜ。

 それに、アイツの、アストリッドの強さもこの旅を通じて判るだろう。

 いくらオレのエレメント攻撃とは言え、魔術単体の時間を止めたり、あの「でしゅ~」って喋る羊の使い魔といい、並大抵の力じゃねえ。

 惑星霊を召喚したってことだが、あの若さでだぞ? 大人顔負けだろう。土星(アヴァトロン)ってことだから、時の神の力だ。惑星には神が宿り守護するもんだ。その力を引き出して扱ってるんだから、相当な実力を持っているってこと。

 かのイーヴァル・スヴェンセンの血筋、侮れねえな。エサ爺からスヴェンセン伯爵家の話を聞かされたときは、手合わせしたいとは思わなかったが。エサ爺が死んじまって、独りになったときによ、箔みたいなモンあると仕事しやすいだろうなって思ったから、魔術協会で話を聞いて、すっ飛んでったんだ。跡取りのお嬢様お一人旅なら、倒せるんじゃないかってな。

 けど、港町では思いっきりスルーされ逃げられて、イマテラでは勝負を挑んで負けた。情けないくらいあっさりと。

 弱いオレが言っても説得力ゼロだが、神と対等に渡り合えるだけの修行を収めた、ってのは嘘じゃねえ。だが、それでも自身が不安に思っているほど、やっぱ神を捕らえるってことは、並大抵じゃないんだな。

 神を探して歩き回るよか、さっさとエインヘリャル・コントローラを見つけ出す方が懸命だぜ。

 お、町の出口が見えてきた。あんま広い町じゃねえし、宿からすぐだ。

 ファァ~~~ア……、あー…ちっきしょー、アクビが止まんねえ。

「ヘリュさんアクビばっかりしてる」

 くすくすとヴェガルドに笑われた。

「夜ふかしせずに、ちゃんと寝るようにと言ったのに」

 口を尖らせた顔で、アストリッドにまで鼻で笑われた。なんか、ムカつくな、ブス。

「ねえ、ねえ、今日は野宿になりそう?」

 地図を広げながら、ヴェガルドがはしゃぐように言う。昨日旅の道具を一式揃えてもらって、楽しそうだ。テントで寝てみたいとか言ってたな。

「そうですわねえ……、この地図通りなら、恐らく野宿ですわね」

「わーい、テントで寝られるね~」

「そうでしゅね~」

「テントで寝ることに、喜びを感じてもらえてケッコウですわ」

 若干肩を下げて、アストリッドはため息をついた。まあな、テントが楽しいのは、寝て5分ってとこだ。場所にもよるが、別に安全ってわけじゃねえし、片付けがめんどいんだよ。それに、アストリッドと一緒なら、宿のランクは下げないだろうし、下僕だからタダ飯ありつけるしな~。そこだけは、感謝する!

旅は道連れ編:ヘリュ語り_episode19 つづく

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