アストリッド様と「行くわよ愉快な下僕たち!」:episode20

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アストリッド様と「行くわよ愉快な下僕たち!」

旅は道連れ編:ヘリュ語り_episode20

「どんなに頑張って歩いても、次の町までは3日かかる」

「そうなんだ~、じゃあ、3日の間テントだテント~」

 語尾に音符でもつきそうな、ご機嫌なヴェガルドを見て、あることに気づいた。

 こいつ、ずっと森で生活してたんだよな。

 まあ森にもよるだろうが、野宿ならヴェガルドは天才じゃねえか。急に頼りがいがあるように見えてきたぞ。見た目は軟弱な優男なんだがな!

 イマテラを出たオレたちは、まっすぐ南へ向けて足を進めた。

 日が暮れる頃に、オレたちは野宿しやすい場所を探し、森の中にある川のほとりにキャンプした。

「ほーんと、森ばっかりなんだね~」

 薪拾いに行かされたヴェガルドが、両手いっぱいに薪を持って帰ってきた。さすが森育ち、薪拾い上手いじゃん。オレは石を積んで、竈もどき作成担当だ。

「ご苦労様でしたヴェガルド、そこへ薪を置いてくださいな」

「はーい」

「この世界は大半が森だからな、人里も時には周辺の森を伐採していかないと、すぐに飲み込まれちまう」

「へえ~、そうなんだあ」

「神々の力の破片(ラザネイト)は常に世界に漂っていますから、森の成長速度は尋常ではありませんのよ」

「昨日ヨナスに教えてもらったよ」

「ハイでしゅ」

「人間がどんなに必死に伐採しても燃やしても、森はその成長を止めません。だから、遠慮なんてするのが間違いというもの」

 そこまで言って、急にアストリッドが凄絶な笑みを浮かべた。

 うっ……なんか、イヤな予感が……。

「今夜のおかずを炙り出せ! ファレッグ!」

 いきなり右手の甲を顔の高さに上げ、アストリッドが叫んだ。その瞬間、キャンプの周りを囲むようにして、火の壁が出現しやがった。そして、獣の絶叫が辺に轟く。

「アストリッドさまあ……」

 ヴェガルドがしくしくと泣き出した。おそらく、住んでた森を焼かれたトラウマか!?

 まだ日がそんなに経ったわけじゃねえもんな、同情するぜ。

「そろそろいいかしら。盛る火を鎮めよ、フィエル」

 すると、火の壁が消火され、木の焦げた臭いと、獣の肉の焦げた臭いが漂ってきた。

 この女……。

「さあ、お夕飯にしましょうね」

 にこっと笑って、アストリッドはスタスタと肉の焦げた臭いのほうへと行き、2メートルはありそうなでけえイノシシの焼死体を、片手で担いで持ってきやがった。

 なんちゅー馬鹿力。顔を上げたヴェガルドが、ギョッと目を見開いている。そりゃそうだろ…。

 ドサッとイノシシの死体をその場に下ろし、腰に下げていた鞄からサバイバルナイフを取り出すと、更に笑みを深めた。その表情(かお)マジ怖いからヤメレ!

旅は道連れ編:ヘリュ語り_episode20 つづく

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