アストリッド様と「行くわよ愉快な下僕たち!」:episode21

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アストリッド様と「行くわよ愉快な下僕たち!」

旅は道連れ編:ヘリュ語り_episode21

「肉をさばくのは、だ~い得意なの」

 ふふふっと微笑しながら、ためらいなく切っ先をズブリとイノシシに刺して、見事な手つきで焼けた皮を剥ぐと、肉を綺麗に切り分け、大皿の上に乗せていく。

「な、なあ、随分と手馴れてるが、これも修行した……のか?」

 おっかなびっくり聞くと、アストリッドは胸を張った。

「もちろんですわ。こうしてあたくしが旅に出ることは、生まれた時から判っていること。なので、一人でも立派に旅ができるよう、サバイバル方面も、それはもう徹底的に仕込まれましたの。野宿の仕方、山歩き森歩き谷歩き、登山水泳、獲物の狩り方、獣や魚の捌き方、武器の扱い、戦闘各種訓練、毒植物の見分け方、野草の知識、夜間移動訓練などなど、スパルタ大好きサド嬢ベデリア先生に」

「あのヒトは、ごしゅじんさまを嬲り殺すかの如き所業で、徹底的にいじめ抜いてましたでしゅよ~」

 うんざりしたように、ヨナスはため息をつく。

 なるほど……、アストリッドのあの態度は、そのベデリアって先生から影響されたんだな、きっと。

 いや、絶対だな!!

「修業中は毎日が地獄でしたけれど、こうしてたくましく旅を続けられているのも、ベデリア先生のシゴキの賜物ですわね…」

 切り分けた肉を皿にてんこ盛りにして、骨と内蔵を草むらの焼け跡に放り投げる。ゴミ処理も大胆だな。ベデリア先生とやら、絶対会いたくねえ。

「さっきの町で買ってきたソースをかけて、食べましょう」

「はーい」

「いただきます」

 貴族出身のお嬢様が、こうもサバイバル慣れしてると、世も末だなって思っちまった。

 ま、肉、美味いけどな。

 食後はヴェガルドにテントの張り方を教えてやった。アストリッドは優雅に紅茶なんざ飲んでるが、飲み終わるとすげー速さでテントを組んじまった。な、慣れてやがる。

 ヴェガルドのテントを張り終え、オレもテントを張り、腰のポーチから盥を取り出した。

 こんな森の中で堂々と水浴びするのは危険だからな、テントの中で身体を拭くためだ。一応オレも女だし、身奇麗にしておかねえと。

「アストリッド様、ボクもう寝ていい?」

 テントの小窓から顔を出し、ヴェガルドが眠そうにアストリッドに呼びかけている。

「ええ、歯は磨きましたか?」

「うん。ちゃんと磨いたよ」

「では寝なさい」

「はーい。おやすみなさい、アストリッド様、ヘリュさん、ヨナス」

「おやすみなさい」

「おやしゅみでしゅ~」

「おう、オヤスミ」

 ヴェガルドが寝たあと、なにやらバラの匂いが漂ってきた。アストリッドのやつ、ソープまで使ってやがんのか…。余裕あるな。

 バスタブ持ち歩いていたって、オレは驚かねえぞ。

 ってえ、ホントだったらマジ怖いわ。つか、ひくわ。

 オレはテントの中で寝そべりながら、どんな奴がエインヘリャル・コントローラになるんだろうと、少しワクワクしながら、そのうち眠りについた。

旅は道連れ編:ヘリュ語り_episode21 つづく

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Comments 2

八少女 夕

ご無沙汰してごめんなさい。

「アストリッド様……」再開、待っていました。
こちらも書き直しつつ、再発表なさっているんですね。
バスタブを鞄の亜空間から取り出すのっていいなあ。こういう便利な魔法があったら、旅も面白いでしょうね。
大事な下僕のトラウマを深くしつつ、森を行くアストリッド様一行ですが、もうじき前回の更新が止まったところまで行きそうですね。
その先もとても楽しみにしています。

2018-07-08 (Sun) 01:34 | EDIT | REPLY |   

ユズキ

Re: タイトルなし

> ご無沙汰してごめんなさい。

いえいえヽ(・∀・)ノこちらこそご無沙汰しています!
大嫌いで苦手な夏が早々に到来で、ますますへばってる今日このごろです(;´∀`)

>こちらも書き直しつつ、再発表なさっているんですね。

掲載形式をSNSと同じく揃えようと思いまして。
さすがにまる一年過ぎたので><

あまり間を置かず、続きを載せていければと思います。
この暑さがどうにかなれば(T▽T)

2018-07-09 (Mon) 01:34 | EDIT | REPLY |   

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