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アストリッド様と「行くわよ愉快な下僕たち!」:episode22

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アストリッド様と「行くわよ愉快な下僕たち!」

旅は道連れ編:アストリッド語り_episode22

「アストリッド様すごいよー! 箱が走ってるっ!」

 吹き抜けていく風に髪を踊らせながら、ヴェガルドはずっと窓枠の外に首を出して大喜び。

「落ち着きなさいヴェガルド、危ないですわよ」

 何度も注意しているのですけれど、全然聞いちゃいませんわ。――まあ、無理もありませんけどね。ヴェガルドにとっては、初めての乗り物ですから。

 あたくしたちは宿場町イマテラを出発して、3日ほどの距離を歩いて、タリントという観光が目玉の町に着きました。ここからはいくつかある峡谷を越えるために、トロッコ列車に乗って移動です。

 東の大陸を南下するためには、遠回りをせず、タリントの町から南へ続くクオファラ山地をトロッコ列車で抜けるのが早道。歩いていけなくもないですけどね、あたくしの類まれなサバイバル能力なら。でもヴェガルドとヘリュもいることですし、たまには優雅でラクチンな旅もいいかしら。

 観光のために改装された車両は2両編成で、内装が木目を活かしたカントリー風のデザインに統一され、座席はアイボリー系の色柄のパッチワークカバーがかかっています。

 窓には半分だけガラスが貼られていて、外の風を十分取り込んでくれます。峡谷を走るとき、橋には手すりなんてついていませんから、乗客が落ちないように工夫しているんですのね。なので、窓ガラスは固定されていて、全部開けられないようになってました。

 ヴェガルドはその上半分から顔を出して、ところかまわずはしゃいでいるのです。幸いなことに、乗客はあたくしたちだけでなにより。

 相変わらず緑ばかりが目立つ景色ですけど、クオファラ山地は観光地としても有名だとか。ゆっくりと走るトロッコ列車から眺める峡谷は、風光明媚で美しいですわ。よく晴れた青空のもと、緑と切り立った岩肌が織り成す自然美。道々に続く森の中で見る風景とは、ちょっと違って見えます。

「あら?」

 そこになにか、場違いなものを見つけた気がして、あたくしは目を凝らしました。

「……え?」

 あたくしの反応に気づいたヘリュが、あたくしと同じ方向を見る。そしてなんとも言えない表情を浮かべた。

「なあ、アストリッド」

「なんでしょう」

「オレは目が疲れてるのか?」

「あたくしのほうこそ、目が疲れているのだと思いましてよ…」

 あたくしとヘリュは、揃って目をゴシゴシと擦った。そして改めて窓の向こうを凝視しました。

 そう、アレをどう説明すればいいのかしら? その説明に困るものが、こちらに颯爽と近づいてきましたわよ!

「ご機嫌よう~、美しいレディたち」

「……」

「……」

「どうしたの?」

 反対側へ行っていたヴェガルドが、戻ってきて不思議そうに窓の外を見る。

「うわわわわわっ!?」

 ええ、そう。その驚きの反応が、一番正しいんですのよ!

「てっ! アナタここどこだとお思いなの!?」

旅は道連れ編:アストリッド語り_episode22 つづく

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