アストリッド様と「行くわよ愉快な下僕たち!」:episode23

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アストリッド様と「行くわよ愉快な下僕たち!」

旅は道連れ編:アストリッド語り_episode23

 思わずあたくしは立ち上がって、喚くようにして怒鳴ってしまったわ。

「いえね~、天気があんまりイイもんだから、ついついサイクリングしてたら、トロッコ列車が見えるじゃないですか~」

 そうね、いい天気ですわね。サイクリング日和ですこと。

「そんで、3人のレディたちを見つけて、ふと寄ってみたわけなんですよ」

「オイ、コイツは男だぞ、一応」

 ヘリュがヴェガルドを指差して訂正する。

 い、いえ、訂正するところは、そこじゃありませんことよ!! そしてあたくしも、冷静にツッコミ入れてる場合じゃありません!!

「アナタどなた!?」

 そうよ、まずはココから解決しなければならないんです!

「ああ、申し遅れました。吾輩はエイステイン・イヴァイセル、今年40歳になったばかりの麗しいオジサンです。エイスたん、って呼んでね」

 クラウンが普通のものよりも高い、淡いパープルグレーのオペラハットを被り、その顔は綺麗な金髪に彩られた、とても若い顔立ち。40歳なんて言っているけど、まだ20代後半でじゅうぶん通りそうですわ。それにスラリとした体躯で、同色のテールコートを着込み、そう、自転車を漕いでいるんですの。

 前方の車輪がやたらと大きく、比例して後輪は小さいアンバランスな自転車を!

 なんというか、往復ビンタを見舞ってやりたいほど、美しい顔立ちをニコニコさせて、腹が立ってきますわ。

「あ、オレ知ってる、名前だけ」

「えっ?」

「クソの役にも立たない、奇妙奇天烈な発明をするバカ、って新聞で読んだことあるぞ」

 ヘリュは腕を組んで、大真面目な顔で断言した。

「酷いなあ~、クソとかバカとか、レディの口から言われると傷ついちゃう」

 傷ついている割には、ヘラヘラ笑ってますわよ。更にムカつきますわね…。

「発明家とかなんとか、書いてあった気がする」

 天井を見上げ唸りながら、ヘリュはひとり頷いている。

「そう! 吾輩は天才にして、偉大な発明家なんですよ~!」

 どことなく間の抜けた響きのある声で、ポーズだけは偉そうに右手を握って天に掲げてます。

 トロッコ列車は馬を普通に走らせたくらいの速度で走っていますけど、このエイステインの漕いでいる自転車は、もしかして魔術で動かしているのかしら。人間の脚で漕いでも、さすがにこの速度は出せません。

 となると、この男、魔術師なのかしら?

 ああ…、嫌だわあたくし、うっかり見落としています。あの男、線路を走っているわけではなく、宙を滑走しているじゃない!!

「アナタ魔術師ですわね!! そんな人間離れしたことをなさっているってことは!」

「違いますよ~、これ、吾輩の発明した空飛ぶ自転車なんですってば」

 語尾にハートマークでもつきそうな言い方っ!

「嘘おっしゃい! 魔術を使わず、空を飛ぶことなど出来ません!」

「だからこれは…」

「おだまり!!!」

 このあたくしに口答えも反論も、許しませんことよ!

「落ち着けアストリッド」

「アナタに言われたくないわ!」

「まあ、落ち着けっ!」

旅は道連れ編:アストリッド語り_episode23 つづく

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