アストリッド様と「行くわよ愉快な下僕たち!」:episode28

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アストリッド様と「行くわよ愉快な下僕たち!」

旅は道連れ編:アストリッド語り_episode28

 結局あたくしたちは、ハフト村の宿に泊まることになりました。

 小さな宿ですけど、ちょうど3部屋空いていたので、ヴェガルドとヘリュ、ヴァルトとエイステインと部屋割りをして、当然あたくしは一人部屋です。

「あ~~、何だか疲れましたわ…」

 簡素なベッドに仰向けに倒れ込み、あたくしは大きく伸びをしました。

「お疲れ様でしゅ~、ごしゅじんさまあ~」

 使い魔のヨナスは、小さなテーブルの上に転がっています。あたくしが疲れると、呼応したようにヨナスも疲れてしまうんです。あたくしの魔力と繋がっていますから、当然なのですけど。そういう仕組みは、ちょっと可哀想になってしまいますわね。

「それもこれも、あんな変人を旅の同行者に招いてしまったせい…」

 そう、エイステイン・イヴァイセルなる、見るからに怪しすぎる謎の男!

 今後つきまとわれるのも腹立たしいので、一応同行者に加えましたけども。あんなの入れて、なんの役に立ってくれやがるのかしら?

 タダ飯喰らいのロクデナシよ!

 でもそれを言ったら、ほかの面々もそう大差ないのよね。自然とため息が漏れてしまうというもの。

 魔獣使い(フラフトストラ)の名家の生まれですけど、幼い頃から魔獣たちと森で育ったせいで、魔獣たちを使う、という意識がまるでないヴェガルド。彼の場合は魔獣使いとしての教育をまだ受けてない、かもしれません。

 ヴェガルドについては、彼の育った森を焼き払ってしまった後ろめたさがあったりしますわ…。アレは勢いとノリってものがありましたし!? これでも悪いなあ、ってちゃんと思ってますのよ!

 別に、あたくし鬼でも悪魔でもありません!!

 それに、イプセン一族の血を絶やすのは、とてもとても惜しいのです。国へ帰ったら、ちゃんとした魔獣使いの家に預けようと思ってます。魔術協会へ報告すれば、自然とそうなるでしょうし。

 責任はしっかりとらせていただきます。

 リボン魔術と呼称する、エレメント符術使いのヘリュ。まあ、威力はゴミ同然。

 あれはおそらく、彼女の魔術特性とは合わないんだと思うの。エレメント系魔術が。

 魔術師にだって相性は必ずあります。得意、不得意がちゃんとあって、得意な魔術を伸ばせばそれなりの使い手になれるというもの。

 ヘリュの気質だと攻撃系魔術が、って普通は思うのでしょうけど、多分、もっと似合わない系統が得意なのじゃないかしら? 防御系とか強化系とか。きっとそうなんだと思っていたりしています。

 異世界から召喚されてきた、自称格闘家のヴァルト。強いのか弱いのかは、現時点では判りません。

 見た目は本当に美しいのだけど、口を開くと、物凄く残念感が漂ってしまう人。

 彼らをノリと勢いでつい下僕に召し上げちゃいましたけど、何故そんなことをしてしまったのかしら。

 ベッドサイドの小さな戸棚の上に置かれた、ささやかなランプの灯りをぼんやりと見つめました。

 蝋燭の灯りって、あえて見つめていると、ちょっぴり感傷的な気分になりやすいって思いません?

 心にしまいこんだ、痛みを伴う記憶とかが、じんわりと蘇ってくるの。

 生憎、ご馳走は見えませんことよ?

 ――思えば、複数人でこんなに長い時間を過ごすのは、あたくし、初めてのことなのかもしれません。

旅は道連れ編:アストリッド語り_episode28 つづく

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