片翼の召喚士-ReWork-:episode572

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 美人コンテスト編:episode572

「とてつもない音痴を披露しちゃってさ、キューリちゃん優勝逃すってコトあるかも~?」

 ルーファスが恐る恐る言うと、カーティスは苦笑いしながら首を横に振る。

「特技を披露するのは観客を盛り上げるための演出で、美人を競う点数には含まれていないようですよ」

「お~、じゃあ温泉は大丈夫だね」

「ええ。きっと、顔と歌声のギャップのインパクトは、最高だったと思います」

 いまだに耳がキンキンしていて、カーティスは口の端をひきつらせた。

「あのペチャパイめ! 俺様の鼓膜が破れるところだったぞ! 大メーワクだ!!」

 ヴァルトは眉を寄せて、腕を組んで吠えている。

「カラオケには絶対連れて行けねーな。《豪快屋》のカラオケコーナー撤去してもらったほうがよくね」

「キューリ連れて行く時は、あらかじめ言っておいたほうがいいだろうね…」

 キュッリッキが大好きなザカリーも、妹のように思っているタルコットも、さすがにあの歌声だけは受け入れられないようだった。

 彼女の意外な音痴を知ったライオン傭兵団は、酷評をぼやきながら結果発表の時間を待っていた。

 その他会場の人々もどうにか起き上がり、徐々に明るい賑わいを取り戻している。そして、誰が優勝かを予測して盛り上がっていた。

「おう、バカタレども」

 そこへ、不味い料理でも口にしたような表情を浮かべたベルトルドを先頭に、アルカネット、リュリュ、シ・アティウスが、ライオン傭兵団のいる観客席に合流した。

「おや、ベルトルド卿にみなさん、お揃いで」

 来るんじゃねーよ、と顔に書いて、カーティスが笑顔で応じる。ライオン傭兵団の面々も、同様な表情で出迎えた。

「リッキーの優勝する姿を、こっちで見ようと思ってな」

 気にしていないベルトルドは、フンッと鼻を鳴らす。

「あの超音波攻撃を振舞って、優勝ってできるんですかね?」

 能面のような顔に戻ったシ・アティウスが、淡々と疑問を述べる。

「阿呆、どんなに永久封印したくなるような超酷い音痴でも、それを乗り越えるほどの美人なんだぞリッキーは。優勝以外ありえん」

「……褒めてるんだか貶してるんだか謎ですね」

「最大級で褒めている!」

「きっと悪い夢でも見たのですよ…。集団幻覚、いえ、集団幻聴です」

 疲労困憊の表情で、アルカネットが切なげに呟いた。

「あーたも遠まわしに酷いこと言ってるわねン」

 リュリュにツッコまれ、アルカネットは情けない顔で口をへの字に曲げた。

 そこへ、ドラムの賑やかな音が鳴り響き、会場中がステージに注目する。いよいよ結果発表だ。

美人コンテスト編:episode572 つづく

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