片翼の召喚士-ReWork-:episode577

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 美人コンテスト編:episode577

 両手で掴んだグラスの中身には、琥珀色の液体が揺蕩っている。濃い目のウイスキーを睨みつけながら、マーゴットは憤然と呟いた。

「納得いかないわ。どうせあの人たちが、キューリを優勝させるように審査員を買収したのよ」

 あの人たち、とはベルトルドとアルカネットのことである。

「副宰相の地位にあるんだから、そのくらい簡単なんだし、キューリの優勝は反則なのよ」

 隣に座るカーティスは、うんざりしたように長々と息を吐き出した。

 毎年の恒例行事のようなものなので、さすがに慣れてしまった。しかし、慣れているからといって、いい加減にして欲しい気持ちのほうが特大である。

 美人コンテストに出場したマーゴットは、今年も入賞することなくビリで終わった。

 自分の容姿に絶対の自信を持っているため、優勝しなかったことに納得していないのだ。そして、キュッリッキやファニーは、自分と比べれば容姿も格段に劣ると思い込んでいるので、2人の、とくにキュッリッキの優勝は、ベルトルドらが審査員を買収して勝ち取ったものだと確信している。

 当然それはマーゴットの思い込みであり、ベルトルドたちは何もしていない。キュッリッキもファニーも、自力で勝ち取ったものだ。

「もう終わったことだから、そのくらいにしておこう」

「イヤよ! あとで不服申し立てをしてくるわ!」

「ちょっとあんた、いい加減にしなさいよね!」

 そこへ、ファニーが可愛い顔をムスッと歪め、マーゴットの前に立つ。

「どういう育ち方をしたら、そんな思い込みの激しいブスになるのかしら? 聞いてても見てても苦しすぎるんだから、ドブスだって気づきなさいよ」

「なんですって!」

 スチール椅子を蹴倒すようにして立ち上がると、マーゴットはファニーに向かって険しい顔を向けた。

「醜女とまでは言わないけど、並以下程度の顔で美人コンテストに出場しようとか、どういうおめでたい頭してるのか毎年不思議でしょうがなかったのよね。鏡マトモに見たことあるの? あんたの親はよほどの能天気かバカ親だったのね」

「フンッ! 精液まみれの臭い穢らわしい売女の分際で、偉そうに言わないでちょうだい! うちは由緒正しい資産家なのよ、お父様たちを馬鹿にするなんて許せないわ。貧乏人が生意気なのよ!」

「相手してくれる物好きな男がいてくれて、よかったじゃないブス! 貧乏でスミマセンね~。親のすね齧って、カレシのおこぼれで甘い汁啜ってるような能無しに、貧乏人とか言われると腹しか立たないわね」

 酒と肉を手にし、遠巻きに2人の様子を見ながら、ベルトルドは面白そうな毒舌合戦が始まったとニヤニヤしていた。

「マーゴットの酷い思い込みも、これで治るんじゃないか?」

「親からしてみたら、自分の娘は可愛いものでしょうから、可愛い、美しい、などと言われて育ったのでしょうね」

 ヤレヤレ、とアルカネットは鼻先で笑う。

「付き合うなら見た目、結婚するなら中身、って言うじゃないか。だが、どう考えてもどちらも当てはまらない気がするんだが、カーティスのモノ好きも極まったな」

「好みも人それぞれでしょう。――私には関係のないことです」

「まあな」

美人コンテスト編:episode577 つづく

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