夢の時間(とき)

オリジナルの異世界ファンタジー小説【ALCHERA-片翼の召喚士-】連載中です。

ALCHERA-片翼の召喚士- 131 最終章:永遠の翼 優しい夜 

 

後半性描写シーンが出てきます。不快に思うヒトはご注意です。

そこまでヤラしくは書いていないつもりだけど、ベルトルドさんのときといい、全力全開放送禁止用語もバシバシ並べてエロく書くわけにもいかないから苦労しました(笑)

サブタイトル通り、優しいイチャラブシーンになっているはず、です。




ALCHERA-片翼の召喚士-
最終章:永遠の翼  優しい夜 131



 キュッリッキはバスルームに隣接したドレッシングルームでドレスと下着を脱ぎ捨てると、温かい湯気の立つバスルームに飛び込んだ。キュッリッキがいつでも使えるように、すでに湯がはられている。

 ふと、湯気でくもった大きな鏡に映った自分に気づいて、キュッリッキは握り拳を作ると、鏡のくもりをゴシゴシと拭う。

 じっと見つめていると、鎖骨や肩、よく見ると腕や胸にも、赤い痣のようなものがある。なんだろうと胸にある痣に触れた瞬間、キュッリッキはゾワッと顔を強ばらせ、その場にしゃがみこんだ。

「こ……れ……ベルトルドさん…の……」

 あの時、ベルトルドの唇が触れて、激しく吸いたてられた場所。己の所有物と言わんばかりに顕示した証。

「い、いや…」

 細っそりした身体がカタカタと震えだし、キュッリッキは両手で腕(かいな)をぎゅっと握り締めた。

 つい今しがたまで忘れていた。それをはっきりと思い出し、涙があとからあとから溢れてくる。

 思い出した瞬間、ベルトルドの唇や舌が身体をイヤらしく這っていった感触も、そして、身体の中へと入ってきた感触も、全部思い出してキュッリッキはその場に吐いた。

 怖くて、怖くて、そして気持ちが悪い。

 胃が締め付けられるほど苦しくても、とにかく吐くだけ吐く。そうして涙と吐き気が落ち着いてくると、身体の震えも少しずつおさまってきた。

 萎えた足でゆっくり立ち上がると、シャワーのハンドルを倒して湯を出す。吐瀉物を洗い流し、嫌な味のする口内をすすいで、キュッリッキは身体を洗うスポンジを取った。

 薔薇の香りのするソープをスポンジに沢山出して、泡をたてると身体を擦り始める。

 シャワーを出しっ放しにしているので、泡はすぐに流れてしまう。それでもまたソープをスポンジに出して、身体を擦った。

 繰り返し繰り返し、何度も同じことを続けた。もうボトルからソープは出てこない。

「なくなっちゃった……」

 ぽつりと呟いたあと、水気を吸ったスポンジで、痣のところを擦りだした。手に力を込めて、ゴシゴシと強く擦る。

「メルヴィンに見られないようにしなくちゃなの」

 一生懸命擦った。

「痣を見たら、メルヴィンはきっと嫌な思いをするの」

 たとえメルヴィンが許してくれても、これはメルヴィンを裏切った証なのだ。

 ベルトルドに身体を与えてしまった証。

「消しちゃうんだから」

 必死に擦り続けた。すると、次第に皮膚が赤みを増し、ついには擦り切れて血が滲みだした。それでもキュッリッキは手を止めず、痣のある部分を徹底的に擦り続けた。

「アタシはメルヴィンのものなの……メルヴィンだけのものなんだもん」



 主が変わるということで、ベルトルドの私物などは整理され、きれいに掃除されてはいるが、まだベルトルドの残り香のする部屋で、メルヴィンは入浴を済ませてホッと息をついていた。

 入浴中にセヴェリが置いていってくれただろうウィスキーをグラスに注ぎ、一口含んでため息をつく。

 椅子に座ってベッドの方を見ると、キュッリッキがいきなりベルトルドにキスをして、大騒ぎになったことを思い出して苦笑する。

 あれからまだ半年も経っていない。

 短い間に、なんと色々なことが起こったのだろう。そのことに思いを馳せ、メルヴィンはベルトルドやアルカネットを失った痛みを、改めて噛み締めた。

 今回の件がなければ、彼らは恐ろしくても、頼りになる後ろ盾だった。厳しい言動や態度が多かったが、特にベルトルドの場合は、その中に愛情のようなものも感じられた。

 好かれていたのかと思うと気持ちは複雑だが、キュッリッキとのことを認めてもらえていたのだと判ると、亡くしたことが悔やまれてならない。

 歳は11離れていて、自分とキュッリッキと同じだ。

 おっかないアニキといった感じであり、キュッリッキのためにもまだ生きていてほしかったと、今はそう思えた。

 グラスの中のウィスキーを飲み干して立ち上がると、バスローブ姿のまま部屋を出た。

 キュッリッキの部屋を出て、かれこれ1時間は経っている。

「待ちくたびれてるかな…」

 少し急ぎ足でキュッリッキの部屋へ向かい、ノックもそこそこに部屋へ入ると、まだバスルームからは出ていないようだった。

 ソファにある青い天鵞絨張りのクッションの上には、仔犬姿のフェンリルとフローズヴィトニルが、仲良く並んで丸くなっている。

 数時間前、巨大化した狼姿の二匹を見ているだけに、なんとなく引き気味になってしまう。

「キュッリッキはまだ出てきていない」

 突っ慳貪な口調でフェンリルに言われて、メルヴィンは焦って苦笑った。

「判りました。ありがとうフェンリル」

 今回の件があるまでは、言葉も交わしたことがなかった。でも今こうして話しかけてくれるのは、少しはキュッリッキの恋人として、認めてもらえたのだろうか。

 ベッドに腰を下ろし、キュッリッキが出てくるのを待っていたが、刻々と時間は過ぎ、あっという間に30分が経った。

「おかしいな…」

 いくらなんでも長風呂過ぎる。もしかしたら貧血でも起こしたのではと、急に不安を覚え、メルヴィンはバスルームへ向かった。

 ドレッシングルームの扉を開けると、シャワーの音が聞こえてくる。

 奥の磨ガラスの向こうには、キュッリッキの姿がぼんやりと見えた。それに安堵して、ドア越しに呼びかける。

「リッキー、あまり長湯をすると身体に悪いですよ。そろそろ出てきませんか?」

 しかし返事はなく、シャワーは一定の水音を出したままだ。

「リッキー?」

 メルヴィンは眉をひそめると、ドアノブに手をかけた。

「ごめん、開けるよリッキー」

 ドアを開けてメルヴィンはギョッとした。

 床にぺたりと座り込み、頭からシャワーをかぶったまま、ノロノロと手を動かし身体を洗っている。しかし、その白い肌を伝って、赤い筋がいくつも流れ、湯に溶けて床を流れていく。

「なんてことっ」

 メルヴィンは慌ててハンドルを上げてシャワーを止めると、ドレッシングルームにある大きなバスタオルを取って、キュッリッキの身体を包み込んだ。

「リッキー」

 キュッリッキは顔を上げると、涙ぐんだ目でメルヴィンを見る。

「アタシは、メルヴィンだけのものなの……ベルトルドさんのものじゃないの」

「リッキー…」

「ベルトルドさんのつけた痣、全部洗うの」

「とにかく出ましょう、身体に障ります」

 メルヴィンはキュッリッキを抱き上げると、急ぎ足でバスルームを出た。



 メルヴィンとキュッリッキのためにソファを明け渡したフェンリルとフローズヴィトニルは、足元で不安そうにキュッリッキを見上げていた。

 真っ白なバスタオルに包まれ、キュッリッキはメルヴィンの膝の上に抱きかかえられて泣いていた。顔を伏せて、小さな声で。

 バスタオルには、所々赤い染みが点々とついている。

 キュッリッキの血だった。そして、バスタオルの隙間から覗く胸元は、無惨なほど赤く擦り切れている。

 止血と痛みを和らげるために、シビルを呼んで、応急処置をしてもらった。

 事情を察してシビルは何も言わず、止血したあと手早く薬を塗って、癒しの魔法をかけてメルヴィンを励ますと、すぐに部屋を出て行った。

 ベルトルドの死後、その死を受け入れられずに目を背けたキュッリッキは、不安に感じるほどの明るさを見せていた。でも一人にすれば、こうして信じられない行動に出てしまっている。

 精神が追い詰められていて、もう限界なのだ。

 フリングホルニの戦いで、キュッリッキはずっと気を張っていた。だから思い出さずにいたが、戦いから解放され、こうしてベルトルドの愛撫の痕を見ると、陵辱されたことを思い出した。

 このままにしておいたら、自傷行為がエスカレートしてしまうだろう。それに、ヴィヒトリに診せたところで、状況は変わらないように思う。

 なんとかして、救ってやりたかった。

(今のオレに、できること…)

 腕の中の少女を見つめながら、色々と考える。

 やがてメルヴィンは意を決したように一度目を伏せ、そして開くと、キュッリッキを抱いたまま立ち上がった。

 ゆっくりとベッドまで歩いていくと、そっとキュッリッキを寝かせて、その隣に腰を下ろした。

(逆効果になるかもしれない…拒まれるかもしれない。でも…)

 暫しキュッリッキを見つめ、耳元に顔を寄せる。

「抱いてもいいですか? リッキー」

 そう言って、キュッリッキの横顔を見つめる。

 耳元で囁くように言われて、泣いていたキュッリッキは一瞬きょとんとした顔をメルヴィンに向けた。

「前に言いましたね、リッキーが汚れたと感じたところは、オレが消毒するって」

 レディトゥス・システムから助けられた時に、メルヴィンからそう言われたことを思い出す。

「消毒したいと思いますが、いいですか?」

「消毒…」

 消毒とは、一体どうするんだろう? そう不安そうにメルヴィンを見つめていると、メルヴィンが覆いかぶさってきた。その瞬間、メルヴィンの姿にベルトルドの姿が重なって、キュッリッキは喉を引きつらせて、顔を強ばらせて震えだした。

 固く目を閉じて、必死に悲鳴をこらえる。

(怖い…怖いの…)

 すると、身体がふわっと浮いて、キュッリッキはびっくりして目を開く。抱き起こされて、キュッリッキはメルヴィンと同じ目線の高さにいた。

「すみません、余計に思い出させてしまいましたね」

 心底申し訳なさそうに落ち込んだ表情をするメルヴィンを見て、キュッリッキは身体の力を抜いた。

「オレは男だから、どれだけ怖かったか正直判らないです。単純に、オレがリッキーを抱けば、それでちょっとは気が楽になるのかな、なんて考えちゃったんですが」

「メルヴィン……」

 万策尽きたようにため息をつくメルヴィンを見つめ、キュッリッキは口元をほころばせた。

 自分の気持ちばかり考えていた。メルヴィンの気持ちを考えようともしなかった。

 無理やりとはいえ、メルヴィンを裏切ってしまったことにショックを受け、同時に、メルヴィンは許してくれないと考えてしまった。信じると決めた心の中で、言わないだけで本当は許していないのではと疑ってもいた。でも、こうして自分を癒そう、慰めようとしてくれている。全てを判った上で、メルヴィンなりに自分のことを考えてくれているのだ。

 許してくれているのだ。

 そのことに、ようやく確信を得た。

 ――メルヴィンさんは大人の男でしょ! あんたがいつまでもそんなオコチャマじゃ、可哀想じゃないのっ!

 ファニーにそう言われたことを思い出し、キュッリッキは心の中でため息をつく。本当にその通りだ。

 メルヴィンを愛しているから、触れられても怖くない。それなのに、抱かれるのは怖いと思ってしまう。でもこのままでは、いつまでもメルヴィンを怖がったままになってしまう。一歩も先に進めなくなる。

(メルヴィンが消毒してくれれば、アタシきっともう大丈夫)

 メルヴィンの優しさと愛があれば、乗り越えることができる。

 キュッリッキはそっと両手を伸ばし、メルヴィンの頬に触れた。

「リッキー?」

「 アタシはメルヴィンだけのものだもん。メルヴィンに抱いて欲しい……。アタシをメルヴィンでいっぱいにしてくれる?」

 強がって無理をしながら言っているわけではない、本当にそう思って言っているのだと判って、メルヴィンは優しく微笑んだ。

「今夜は寝かせません」

 そう言ってキュッリッキをそっと抱き寄せると、柔らかな唇に優しくキスをした。



 キュッリッキを横たえて膝立ちになると、メルヴィンはバスローブを脱いだ。

 バスローブの下には何もつけていない。鍛えられた逞しいメルヴィンの裸身を見て、キュッリッキは顔を赤らめる。普段肌の露出する服を着ていないので、こうして改めて裸を見ると、そこに男らしさを感じてドキドキ胸が高鳴った。

 すると、急に自分の胸の小ささが気になり出して、見られるのが恥ずかしくなり、おずおずとした動作で胸を隠す。

 いきなり胸を隠したキュッリッキに、メルヴィンは小さく首をかしげる。

「隠さないで、見せて」

「……だって……小さい、もん…」

 尻すぼみに言って、拗ねながら恥ずかしがるその様子に、メルヴィンはクスッと笑い、キュッリッキの上にかぶさりながら、その細い手首をそっと掴む。

「知ってます」

 何事かを言い募ろうとする愛らしい唇を、メルヴィンはすかさずキスで塞いだ。

 無駄な抵抗を抑えるように、舌を忍ばせキュッリッキの舌を絡めとる。

 夢中で舌を絡め合っていると、段々と頭の中が真っ白になってきて、キュッリッキは観念して手の力を緩めた。

 優しく手をどけると、メルヴィンは両手でそっと乳房の輪郭をなぞるように手を這わせ、掌に包み込む。

「あっ」

 突起にメルヴィンの舌がねっとりと絡みつき、唇にくわえられ、優しく吸い立てられる。その瞬間全身に恍惚とした波が広がり、キュッリッキは目を見開いてシーツをギュッと握り締めた。

 吸いたてられている間も、舌が突起の先端を刺激して、敏感に感じて息遣いも段々と早くなっていく。

「キスして…メルヴィン」

 うっとりとした目でせがまれて、メルヴィンはすぐに身体を起こして唇を重ねた。

 ほっそりとした背中に手を回し、ぎゅっと抱きしめる。キュッリッキもメルヴィンの肩に手を回して、しっかりと抱きしめた。

 二人は息が苦しくなるまで何度も貪り合い、やがてメルヴィンは唇を離し、キュッリッキを見つめた。

 初めて出会った頃より、ほんの少し大人びた顔をしてきた。もとから美しい顔立ちだったが、今はそれ以上に美しい。

 綺麗な輪郭を描く頬にそっと片手を添えると、艶かしく半開きになる唇に再び吸い付いた。そしてもう片方の手を下肢に伸ばし、キュッリッキの秘所に手を忍ばせた。

「ンっ…ン」

 指が触れただけでキュッリッキの身体は電撃を受けたように弾かれ、思わず腰を浮かせる。

 メルヴィンの指がリズムを刻むように蠢くと、腰から力が抜けていって、緩やかに脚が開けていった。

 指先に絡みつく蜜の感触に喜びを感じ、愛らしい声を聞きたいと思って唇を解放する。すると待ちかねたように、キュッリッキの甘く愛らしい喘ぎ声が溢れ、その声に刺激されて、メルヴィンも次第に息が荒くなった。

 一旦秘所を解放し、メルヴィンは再び覆いかぶさると、キュッリッキの喉から肩にかけて、ゆっくりと口づけていった。

 目の端に擦り切れて赤くなった患部が、痛々しく映った。

 この柔らかで白い肌に、ベルトルドも夢中になって吸いたてたのだろう。甘くて優しいキュッリッキの体香。この匂いを嗅いで、性欲を刺激されない男はいないだろうと思う。でもこの肌を独占していいのは、メルヴィンただひとりだ。

 メルヴィンは労わるように、滑らかな肌に優しくキスをしていく。腕に、手に、胸に、お腹に、太ももに、足の甲に。メルヴィンがキスをしていくたびに、唇が触れた部分から、幸せの奔流が身体中を駆け巡る。そして、身体中がメルヴィンの色に染め上げられていく。それが心の底から嬉しい。

 身体が悦びでわななき、もっと、もっとと、心と身体がメルヴィンを求める。

「はぅっ!ン…ああっ」

 秘所にメルヴィンの舌が触れ、そっと舐め上げられて、キュッリッキはたまらず大きな声を上げた。ベルトルドにされたとき以上に、強烈な快感がつま先まで伝っていって、思わず足を突っ張る。

 キュッリッキの様子に気づいて、メルヴィンはそっとキュッリッキの足を撫でた。そして、太ももの内側にも舌を這わせる。

「メルヴィン……メルヴィン…」

 うわ言のように狂おしくメルヴィンの名を呟き、キュッリッキはすすり泣く。

 気持ちが良すぎて、頭がどうにかなってしまいそうだった。今自分がとても恥ずかしい姿をしていて、それをくまなくメルヴィンに見られている。それなのに、心は喜びを感じてやまない。

 メルヴィンの舌先が、蕾にそっと触れ、舌先がそよいで甘美な刺激が襲う。

「あンッ」

 シーツを強く握って上体を仰け反らせ、ハァ、ハァ、と荒く息をついてベッドに沈み込む。

 絶頂を迎えてしまったのだと気づいて、メルヴィンは小さく微笑んだ。

 不本意な初体験を済ませて、まだそんなに時間が経っていない。愛する人とのセックスは、これが本当の初体験なのだ。

 メルヴィンは身体を起こして、キュッリッキの背に腕を回すと、優しく抱きしめてキスをした。

「大丈夫ですか?」

 とろんとうっとりした目で、キュッリッキはコクリと頷く。

「とっても、気持ちがいいの……」

「そう言ってもらえると嬉しいです」

「そう、なの?」

「ええ。オレはルーファスさんほど女性経験が豊富というわけじゃないから、その、上手に出来てるかなって思っちゃうから」

 メルヴィンは上目遣いになって、照れくさそうに言った。あんまり豊富すぎても、それはそれで問題が、と心の中でセルフツッコミをする。

「大丈夫だよ! とっても気持ちがいいもん!」

 力んで励まされて、メルヴィンは苦笑した。

 先程までの甘美で色っぽい雰囲気が、一気に吹き飛んでしまった。

「あなたってひとは、どうしようもなく可愛くって、困ってしまいます」

 にっこりと笑うと、キュッリッキの耳元に口を近づける。

「あなたの中へ入りたいんですが、いいですか?」

 そう言ってキュッリッキの手を取ると、己の股間へと誘い、その小さな手にそっと握らせた。

「あっ」

 手の中に熱くて硬いものがあり、キュッリッキはメルヴィンの言葉の意味が判って、怯えた表情を浮かべた。

「怖かったら、無理をしなくてもいいですよ」

 キュッリッキの表情を見て察し、メルヴィンは優しく言う。まだまだ痛みを伴うだろうし、暫くは愛撫のみでもいいかなと思っていた。ただ、キュッリッキが望むなら、最後まで果たそうとも思う。

 小さく横に首を振ると、キュッリッキはメルヴィンの首に手を回して抱きしめた。

「大丈夫なの。メルヴィンだから、大丈夫なの」

「リッキー」

「でも…」

「でも?」

「あんまり、痛くしないで、ね」

 本音を白状したキュッリッキに、メルヴィンは優しく微笑み、額に、頬に、そして唇に愛おしさを込めてキスをすると、身体を起こした。

「苦しかったら、我慢しないで言ってください」

 緊張した面持ちで、少し涙ぐんでいるキュッリッキを見て、メルヴィンはそっと頬を撫でてやる。

 脚を広げさせてその間に入ると、花心に指を忍ばせて位置を確認した。その感触にキュッリッキが小さく声を上げる。

「きて…メルヴィン」

 甘くせがむようなその声に、メルヴィンは弾かれたように己を沈めていった。

 キュッリッキは目を大きく見開くと、メルヴィンの手首をギュッと強く握った。大きく広げられた足が突っ張る。

(メルヴィンが、アタシの中に…)

 痛みはあった。

 初めてベルトルドにされた時のように、とても痛かった。

 でも。

(アタシ、幸せなの……)

 涙がとめどなく流れていったが、それは痛みのためじゃないと判る。

 幸せだから、嬉しいから涙が出るのだ。

 メルヴィンはキュッリッキの奥深くまで沈めきると、キュッリッキの背に手を回して抱き起こした。

「メルヴィン」

 片手でキュッリッキの身体を支え、もう片方の手で涙を拭ってやる。

「ありがとう、オレを迎え入れてくれて」

 メルヴィンの顔を見つめ、キュッリッキははにかむように笑う。

「メルヴィンと一つになれて、アタシ嬉しいの。幸せなの…」

「オレもです」

 そう言って、キュッリッキの喉元にそっと口付ける。

「あなたはもうオレのものです。愛も、心も、身体も全て、オレだけのものだ」

「うん。アタシはメルヴィンだけのものなの」

 メルヴィンはそっと腰を揺り動かした。ハッとしてキュッリッキはメルヴィンにしがみついたが、心からその行為を受け入れた。

 メルヴィンと全てが結ばれ、キュッリッキは少女だった自分を卒業して、初めて大人の女としての悦びを感じるのだった。



最終章:永遠の翼 優しい夜 つづく



130 第九章:戦い 遺してくれたもの

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コメント

 

今晩は^^/

うわぁっっ!一生の不覚っ><!!
この日を指折り数えて待っていたのに、「遺してくれたもの 」は当日なろうで読んで、でも色々あってコメ残す時間も無くて(近日中にお知らせできると思いますが、ある企画に急遽参加させて頂いていてバタバタしてました)、やっと落ち着いて来てみたら24日に更新していたなんて(;'∀')

前回御大たちの死を受け入れられないリッキーを痛々しく思ってましたが、二人に残された遺産に、いよいよかと構えていたのも事実でしたが、ここまで進んでいるとは思わず、読んでみて本当に良かったなって(∩´∀`)∩

御大の印を消そうと必死のリッキーが痛々しかった。
けど、メルヴィン頑張った♪
そうそう上書きできるのはメルヴィンだけだものね♪
作品傾向と発表しているのなろうだしガッツリって中々書けないのも分かります。
でも、頑張って描写を書いてくださっていたのが分かって嬉しかった^^
やっとやっと互いのものになれた二人。
末永くお幸せに(⋈◍>◡<◍)。✧♡

次回は朝チュンあるのかな?

涼音 #PaK5/ZHM | URL | 2017/03/31 04:05 | edit

Re: タイトルなし

涼音さんおはようございますヽ(・∀・)ノ

>うわぁっっ!一生の不覚っ><!!

ツイッターのほうでちょろっと企画参加の云々って見ましたよw

流れ的にスタスタ進んで書けたんですが、どうにも御大の死んだ場面を読み返してると泣いちゃうんですよねまだ(;´д`)
このあとキュッリッキさんの番だから、再び手が止まってますorz

>けど、メルヴィン頑張った♪

自分の性欲抑えて、ちゃんと慰めてあげてましたしw
後日談の方で張り切りすぎてキュッリッキさんに背中向けられちゃうってお話があるんですが、本編完結したら、後日談とかその後とかで、二人の様子書きたいですw

>作品傾向と発表しているのなろうだしガッツリって中々書けないのも分かります。

TLじゃあないし、R18でストレートに書けちゃったらラクなんですが、下品にならないようイメージを大切に、境界を意識しながらで苦労しました><

>次回は朝チュンあるのかな?

めっちゃメルヴィン爆睡してます(笑)

ユズキ #mQop/nM. | URL | 2017/04/01 05:47 | edit

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