夢の時間(とき)

オリジナルの異世界ファンタジー小説【ALCHERA-片翼の召喚士-】連載中です。

ALCHERA-片翼の召喚士- 133 最終章:永遠の翼 貴方に手向ける黄金の炎・後編  

 


ALCHERA-片翼の召喚士-
最終章:永遠の翼  貴方に手向ける黄金の炎:後編 133



 すでに壇に上がっていたリュリュに手招きされて、キュッリッキはゆっくりと階段をのぼった。一歩一歩のぼるたびに、心と身体が重く感じる。

 リュリュのもとへたどり着いたら、ベルトルドとアルカネットと、本当に最後のお別れになってしまうから。だから、ゆっくり、ゆっくりと歩いた。

 リュリュの傍らに立つと、泣きはらした目で、ガラスの柩をじっと見つめる。

 ベルトルドとアルカネットは、別々の柩におさめられていた。

 血の汚れも綺麗に清められ、軍服も新しいものを着せられていた。こうして見つめていると、二人はただ、眠っているだけのよう。

 ベルトルドがいつも望んでいたキスをしてあげれば、すぐにでも目を覚ますかもしれない。そんな風に思うと涙ぐんでくる。

 二人が死んで、まだそんなに日が経っているわけではない。

「ベルもアルも、綺麗になってるでしょ。ひと晩かけて綺麗にしてあげたのよ…」

 キュッリッキにしか聞こえないほどひっそりとした声で、リュリュは悲しげに呟く。

 どんな想いを持って、死体となった彼らと過ごしたのだろう。リュリュの横顔を痛ましく見つめた。

「……アタシね、ベルトルドさんに見せてもらったの。ベルトルドさん、アルカネットさん、リュリュさん、そしてリューディアの子供の頃の4人の思い出」

「そう…」

「リュリュさんが、一番辛いね」

「ふふっ、そうね……。長い分想いと記憶があって。でもね、うまく言葉に紡げないのよ。言いたいこと、沢山あるはずなのに」

「アタシは誰よりも付き合いが短いけど、ずっとずっと、昔から一緒にいたって思っちゃうくらい、二人がそばにいるのが、当たり前みたいに思ってた…。んーん、当たり前だった」

「とくにベルは、小娘と一緒にいる時が、一番幸せそうだった。あーたとメルヴィンがくっついたときは、そりゃもう花嫁の父みたいな表情(かお)して悔しがってたくらいネ」

 キュッリッキは引きつった薄笑いを浮かべた。

「さあ、お別れを言ってあげて」

 リュリュはキュッリッキの肩にそっと手を置いて、そして少し下がる。

 大広場に居並ぶ人々が、キュッリッキを静かに見守る。

「ベルトルドさん、アルカネットさん、アタシ、こんな時、どんな風に言えばいいのか知らないの。作法とか教わったことないし、……葬儀って初めてだし、判んない……」

 こぼれ落ちてくる涙を、手の甲で拭う。

「色んなこといっぱい言いたいけど、ちっとも整理できてない。だから、それはまた今度言うね。今は、ベルトルドさんとの約束を、果たそうと思う」

 俯かせていた顔を上げると、キュッリッキは前方の空間に、ひたと目を向けた。

 葬儀を行うと言われた時から、考えていたこと。

「絶対に、約束、守るの……」

 虹色の光彩を散りばめた神秘の瞳が、光をどんどん強める。

 キュッリッキの目は、アルケラを見ていた。

 幾重にも折り重なる厚い雲をかきわけ、光り輝く黄金の雲の間をくぐり抜け、やがてその姿を捉え、それぞれ目が合う。

「来てください、ティワズ様、トール様、ロキ様!」

 キュッリッキが叫ぶと、突如大広場の空間がぐにゃりと湾曲し、強烈な黄金の光が乱舞した。そして、大量の光の粒子を大広場に降り積もらせ、気づいた人々がギョッと目を見張るほどの巨人が3体、姿を現していた。



「やれやれ、我らをこんな場所に呼び出すとは、相変わらずキュッリッキは突拍子もない子だね」

 なんだか嬉しそうな表情で、ロキが笑った。

「ごめんなさい」

 肩をすぼめて、キュッリッキは素直に謝る。そして真ん中に立つ初老の男を、喉を反り返して見上げた。

「お久しぶりです、ティワズ様、トール様」

「キュッリッキよ、何用じゃ」

 大地も海も震わせることのできる、雷のようなずしりとした声でトールが言い放つ。

 ティワズは優しい瞳でキュッリッキを見つめ、小さく頷いた。

「今日はね、ティワズ様とトール様にお願いがあるの。そして、ロキ様はその証人になってもらうの」

「なんじゃとぉ?」

 モップのようにゴワゴワと垂れ下がる黒い眉毛の下から、紫電の光をまとわりつかせた漆黒の瞳が、ギョロリとキュッリッキを見据える。

「証人かあ、それは面白そうだね」

 対照的に明るい青い瞳のロキは、人懐っこい笑顔をトールに向けた。

「まずはトール様。そこにいるリュリュさんに、いっぱい謝って!」

 少しも怯まないキュッリッキが、細い人差し指を呆気にとられているリュリュに向ける。

「なぜ儂が、あの人間に謝らねばならん?」

 トールは不思議そうに目を瞬かせた。

「トール様のミョルニルが、リュリュさんのお姉さんを殺したからだよ」

 リュリュはハッとなってキュッリッキを見つめ、次いでトールを見上げる。

「人間たちの世界でいうと、31年前にキミが一発振り下ろしたあの雷だね」

 思い出せずにいるトールに、ロキが嫌味っぽい笑みを口の端しに乗せて言った。

「……ああ、禁忌を犯そうとした、あの娘のことか」

「そうそう、キミの咄嗟の判断で殺してしまった人間。そのせいで後になって我らの可愛いキュッリッキが、大迷惑を被ることになったんだよ」

「なにィ!?」

「アタシの大迷惑なんかどうだっていいのっ!! ちゃんと謝って、トール様!」

「ぐぬぬ…」

「ほらほら、謝りなよトール。じゃないと、キュッリッキに嫌われちゃうよ?」

「嫌っちゃうよ」

 ロキとキュッリッキに畳み掛けられ、トールは巌のような体躯を不快そうに揺すった。そして、ずっしりと鈍い動作で片膝を折ると、真っ黒な双眼でリュリュを見据えた。

「命を奪ったことは謝る。すまぬ」

 あまりにもサックリと素直に謝られ、リュリュは目をぱちくりさせて硬直した。

 神が非を認めて、人間に向けて謝った。

 目の前の巨人が、神であるということはイマイチ理解できていないまでも、なぜかリュリュは納得してしまっていた。謝ってもらったところで、リューディアは帰ってこないし、31年の時間も巻き戻ってこない。それでも、理不尽に姉を殺した真犯人が謝ったことで、ほんの少し、色々なことが報われたような思いも去来していた。

「あっはははは。神だって人間に謝ることあるんだよ。あのことは、やり過ぎだったって、トールも反省するトコがあったからね」

「そうなの?」

「ああ、対処法は色々あったのに、反射的に雷落としちゃったんだ。飛行技術をほかの人間の目に触れさせる前に、焼き捨ててしまおうとして、人間ごと…ネ」

 意外そうにするキュッリッキに、ロキが苦笑を滲ませ説明する。

「神でも、過ちはおかすものなのさ。でも、その過ちのせいで、後々キュッリッキが大変な目に遭ってしまって、キュッリッキにも謝らないといけないな、トールよ」

「むぅ…」

「アタシには謝らなくっていいよ。――ティワズ様には、お願いがあるの」

 先程から一言も発さないティワズを向いて、キュッリッキは真剣な眼差しを注いだ。

「人間たちに、飛行技術を返して欲しいの」

 リューディアの純粋な願い、ベルトルドの悲願。

「……1万年前の悲劇が、再びこの世に訪れるやもしれぬぞ?」

 低い優しさの溢れる声が、キュッリッキにそっと降り注ぐ。

「そなたもユリディスから見せられたであろう、1万年前の世界の有り様を。そして、彼女が被った悲劇を」

「そうだよキュッリッキ、人間たちは好奇心旺盛で、発明も開発も大好きな生き物だ。けど、それは時として負の副産物を撒き散らす。ただ自由に空を飛びたかった、それだけの願いも、邪な企みを抱く人間の手にかかれば、命を奪う兵器にもなるし、欲望を満たすためだけの道具に成り下がるんだ」

 ティワズとロキから穏やかに反対されたが、キュッリッキはキッと目に力を込めて神々を見上げる。

「だったら、悪いことに使うようになったら、また人間たちを作りかえちゃえばいいじゃない!」

 両手を腰に当てて、キュッリッキはふんぞり返る。

 1万年前の出来事に端を発し、その後の人間たちは自由に空を飛ぶ権利を、理不尽に奪われてしまった。閃きすら叩き折られてしまったのだ。

「アタシ難しいことはさっぱり判らないけど、空が飛べなくったって戦争も殺人も起きるんだよ。それに、魔法やサイ〈超能力〉で空は飛べるから、空からだって攻撃は飛んでくるんだもん。宇宙ってところは行き来できないけど、エグザイル・システムがあるから惑星間の移動だって楽勝だし!」

「……まあ、確かにそうだね…」

 足元の小さなキュッリッキの気迫に、思わず引き気味にロキが頷く。

「ユリディスの一件があったから、人間たちの能力を限定したって聞いた……そうまでしたのに、飛行技術だけ奪うの、おかしいと思うの。スキル〈才能〉に関係なく、空飛んでみたいよ…。アタシも、自分の翼で空、飛んでみたかったよ……」

 両翼を持つアイオン族。本来自由に飛べる民だから、青い青い空も思いのまま羽ばたける。キュッリッキもアイオン族だから、その翼で空を飛べるはずだった。

 人間たちの貪欲な手から逃すため、アルケラの巫女として生まれてきたキュッリッキの背から、片方だけ翼が取り上げられてしまった。

 空に憧れて、飛んでみたくて、飛行技術を閃いたリューディアは、命を摘み取られてしまった。

 どちらも、神々の思惑によって。

「ベルトルドさんは、リューディアの願いを叶えてあげたかったの。アルカネットさんはリューディアを返して欲しかったの。すごく無茶苦茶なことしたけど、でもでも、二人とも想いは純粋だったの。ただやり方がちょっと悪かっただけ。――お願い、ティワズ様、ベルトルドさんの、リューディアの願い、聞き届けて!」

 キュッリッキのまっすぐな視線を、ティワズはじっと見つめ返した。トールもロキも、ただ黙ってティワズを見つめた。

 ライオン傭兵団も、大広場の人間たちも、黙って見守っている。

 静かな時間が、大広場をゆっくりと流れていった。

 やがて、ティワズは目を閉じて顎を引くと、目を開いてキュッリッキを見つめた。

「次に閃く者が現れたとき、我々は黙って成り行きを見守ろう。キュッリッキよ、そなたが死して後、いつか生まれいでる巫女が、その運命に絡め取られたとき、どうするかは、そうなったときに検討しよう」

「ティワズ様……」

 花開くような笑みが、キュッリッキの顔に咲いていった。

「ありがとう、ティワズ様」

 ティワズの衣の裾にすがり、キュッリッキは喜んだ。

「やっぱりティワズは、キュッリッキに甘甘だね。――この件に関しては俺が証人だ。ついでに、トールもだぞ」

「ふんっ」

 意地の悪い笑みを浮かべるロキを、トールは忌々しげに睨みつけた。

「さてキュッリッキ、俺たちもう帰ってもいいかな?」

 ロキに優しく言われ、キュッリッキは頷いた。

「落ち着いたらアルケラに遊びにおいで。沢山、話をしよう」

「はい、ティワズ様」

 キュッリッキの了解を得たロキは、巨大な漆黒の翼を生やし、その翼でティワズとトールを包み込んだ。そして黄金の光に包まれると、神々は光の粒子を残してその場から姿を消した。

「良かった」

 キュッリッキが微笑んだ時、再び大広場がどよめいた。

「うん?」

 なんだろうと後ろを振り返ると、キュッリッキは大きく目を見張った。

「えっ? ベルトルドさん、アルカネットさん??」



 8月に見たこともない巨大な化け物を見せつけられた。そして今度は巨人である。

 召喚士の呼び出す様々なものに、人々は驚嘆させられっぱなしだ。

 巨人とキュッリッキのやりとりは、大広場の人間たちには意味不明であった。壇のそばに控えていたライオン傭兵団も、いまいち判っていなかった。しかし、次に現れたものに騒然と人々は沸き立った。

 見覚えがありすぎるからだ。

 蒼天の空のもと、太陽はまだ中天にある。そんな真昼間に、あれは…。当人たちの遺体が目の前にあり、しかしなんとよく見える姿だろう。

「あやつら、早々に化けて出てきおったわい…」

 壇から少し離れたところに設けられた特別席で、事の成り行きを見守っていた皇王は、怖がるどころか妙に納得したような顔で見つめていた。

「ベルトルドさん、アルカネットさん、どうして…」

 驚きの表情を浮かべるキュッリッキに、ベルトルドがにっこりと笑いかけた。

「ありがとうリッキー。俺たちの願いを叶えてくれて」

「感謝しますよ、リッキーさん」

 アルカネットも、いつも見慣れたあの優しい顔で微笑んでくれた。

 まさかの思わぬ出現に、とにかくキュッリッキは驚いた。

「ホントに本物の、ベルトルドさんとアルカネットさん?」

「ああ、世間で言うところの幽霊…かもしれんな」

「ちょ、あーたたち、化けて出てくるの早くってよ!?」

 リュリュはまろびつつ、身を乗り出し目を剥く。

「仕方なかろう、葬儀をこんな真昼間からやってるんだからな。夜まで待てなかったのか、しょーのない奴らめ」

 心外そうに表情を歪め、ベルトルドはリュリュを睨みつけた。

「っとにもー! あーたたちに言ってやりたいことが山ほどあんのよっ!」

「まあ、それはお墓の前でしてくださいリュリュ。私たちにはあまり時間がないのです」

 間に入ったアルカネットが、苦笑いを浮かべて言う。

「ロキとかいう俺たちの遠すぎる先祖が、ほんの少し、リッキーと別れの時間をくれたんだ。お前のようなオカマに割く時間はこれっぽっちもない」

「ぐぎぎぎぎぎ」

「リッキーさん、本当にありがとうございました。リューディアの願いを取り返してくれて」

「んーん、アタシはお願いをしただけ。決めたのはティワズ様だもん」

「可愛いリッキーがお願いしたんだ。そりゃあ聞き入れるだろう、神とて」

 ベルトルドは自分のことのように得意げに言うと、申し訳なさそうに表情を歪める。

「初めから、こうしてリッキーにお願いして、神に談判すればよかったんだがな…。リッキーを傷つけずに済んだのに」

「私の中の復讐心が、ベルトルドを進ませていたのです。本当に済みませんでした、リッキーさん」

「ベルトルドさん、アルカネットさん…」

 アルカネットはキュッリッキを抱きしめた。

 幽霊で実体がないのにアルカネットの感触がして、キュッリッキは懐かしさを感じて涙ぐんだ。

 いつもの優しい優しい、アルカネットのハグ。キュッリッキのよく知る優しいアルカネットのハグだった。

「ずるいぞアルカネット!」

 横でベルトルドが喚き、アルカネットは冷たい目でベルトルドを睨みつける。

「名残を惜しんでいるんです。邪魔しないでください鬱陶しい」

「お前が惜しむなお前が! 早く俺のリッキーを離せむっつりスケベ!!」

「えーっと…」

 いつものやり取りが始まって、薄笑いが漏れる。

 幽霊になっても変わらない二人。相変わらずなことに呆れてしまうが、もうこのやり取りさえ最後なのである。その事に気づき、キュッリッキの涙は止まらない。

「リッキー…」

 ベルトルドはアルカネットの手からキュッリッキを奪い取ると、キュッリッキを優しく抱きしめた。

「こんなに綺麗で可愛い顔を、涙でいっぱいにしてしまったな。リッキーを傷つけた俺たちのために、悲しんで泣いてくれて、本当にありがとう」

「…うん」

「俺自身の手で、リッキーを幸せにしたかった。それができないことが、唯一の未練だな。――自業自得だが…」

 自嘲を浮かべ、ベルトルドは本当に悔しそうに苦笑った。

「この先リッキーが本当に危機に陥ったとき、俺が必ず助けに来る。本当だぞ? 未来永劫、リッキーを愛し続ける。死していてもな」

「ベルトルドさん…」

「メルヴィンと幸せになりなさい、誰もが羨むほど幸せに。俺はリッキーを傷つけることしかできなかったが、誰よりもリッキーの幸せを願っている」

 いつもキュッリッキにのみ向けていた、穏やかで優しい笑顔でベルトルドに言われて、キュッリッキは大きくしゃくり上げた。

「幸せに……なるよ…メルヴィンと絶対に」

「ああ」

「ありがとうベルトルドさん、ありがとう、ありがとう…」

 あとはもう喉が詰まって言葉が出ない。言葉以上に涙が溢れて、視界が滲んでいった。

 ベルトルドはにっこり微笑むと、キュッリッキの額に優しく口づけた。そしてキュッリッキから離れると、今度はアルカネットがキュッリッキの頬に口付ける。

「これで本当にお別れです。どうかいつまでも幸せに」

「アルカネットさんも…ひっく…ありがとう」

 アルカネットもにっこりと微笑んで、ベルトルドの傍らに立った。

「あの世で、お姉ちゃんにヨロシクネ」

「ああ、ちゃんと伝えるさ」

「リューディアと再会出来るのが楽しみです」

「リューにも、すまなかったな。後片付け、頼む」

「ホントよ! もお、山積みなんだからっ」

「片付けが終わるまでは、絶対にこっちには来ないでくださいね」

「死んでる暇なんかナイワヨ!」

 本気で怒っているリュリュを見て、ベルトルドとアルカネットは苦笑した。

「さて、もう時間だな」

 天を仰いで、ベルトルドはぽつりと言った。

「リッキー、俺たちを送ってくれるかな?」

「お願いします、リッキーさん」

 キュッリッキは両手の甲で涙を何度か拭うと、涙でくしゃくしゃな顔で頷いた。

 アルケラへと向けられた神聖な瞳は、ウトガルドを飛び、ロギの姿を捉えた。

「全てを喰らい尽くす幻影の炎ロギ……」

 キュッリッキが両手を前に差し出すと、繊細な掌に黄金の炎が宿った。そしてその手の向こうには、微笑むベルトルドとアルカネットの霊体が立っている。更にその後ろには、二人の遺体がおさめられた柩があった。

 キュッリッキは泣き声を上げそうになり、堪えて口をワナワナと震わせる。その表情を見て、ベルトルドとアルカネットは、強く頷いた。

「…彼らの肉体を清め、その魂をニヴルヘイムへと導いてください」

 黄金の炎はキュッリッキの掌から離れると、ゆっくりと柩に向かい、突如大きな炎となって二人の柩を包み込んだ。

 熱は少しも感じない。青い空に映えるほどの黄金の色を煌めかせ、柩を燃やしていく。

「さらばだ! 愛すべき馬鹿ども!!」

 大広場にベルトルドの声が響き渡った。

 黄金の炎は更に勢いを増し、臭い一つたてず、あっという間に柩と遺体を燃やし尽くして、灰に変えてしまった。

 同時に、ベルトルドとアルカネットの霊体も消えていた。


最終章:永遠の翼 貴方に手向ける黄金の炎:後編 つづく



132 最終章:永遠の翼 貴方に手向ける黄金の炎:前編

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コメント

 

ううむ。

お葬式だけれど、なのになんだろう、この晴れ晴れとした感じは。
ご本人たちが出てきちゃって、しかも、いつもの調子でリッキーを取り合って、リュリュたんとも戯れているからかな。

御大との約束も果たせて、神様たちと人間との和解といったら言い過ぎなのかもしれませんが、リュリュたんにトール神は謝ってくれたし、飛行技術の事も将来的には解禁になるみたいだし、「よかった」と言っていいんですよね。

なんだか普通に成仏はしそうもないお二人ですけれど、彼らなりに今度はあの世からリッキーたちのことを守ってくれるのですよね。

ご冥福をお祈りします。

八少女 夕 #9yMhI49k | URL | 2017/04/09 06:41 | edit

Re: タイトルなし

八少女さんこんばんわヽ(・∀・)ノ

>お葬式だけれど、なのになんだろう、この晴れ晴れとした感じは。

しんみりムードが吹っ飛ぶ会話がポコじゃか流れてますしね(笑)
御大は、やっぱりあんな感じだよな最期まで、て思ってますw
キュッリッキさんも安定した状態で、ちゃんと当人たちにお別れができたので、上を向いて生きていけそうです。そういうところを、ロキはちゃんと見てますねw

>なんだか普通に成仏はしそうもないお二人ですけれど

死んで魂だけになっても元気一杯そうですよね・・・。
御大はとくに、キュッリッキさんが死ぬまでは、消滅しまいと頑張りそうです。
アルカネットさんはリューディアの魂が消滅したら、一緒に消えるかもですねえw

最終話まであと少しなので、最後までよろしくお願いします(^ω^)

ユズキ #mQop/nM. | URL | 2017/04/09 21:41 | edit

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