片翼の召喚士-ReWork-:episode418

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 エルアーラ遺跡編:episode418

 ややうんざり気味に、ベルトルドは嘆息混じりに吐き捨てた。組んだ脚の片方をめんどくさそうにブラブラさせる。ショートブーツなのでブラブラさせたくらいでスポーンと脱げたりはしないが、いっそサイ《超能力》で無理矢理脱がせて、ブーツの踵がソレル国王のデコにヒットしないかな、などと思って、ベルトルドはニヤニヤ頬を緩ませた。

「勝手に記憶を覗いたのか!? この………痴れ者っ!!」

 シワの刻まれた顔を紅潮させて、ソレル国王は不遜な態度をとり続けるベルトルドを激しく睨んだ。

 その激しい視線を真っ向から受け、ベルトルドはつまらなさそうに、鼻息を「フンッ」と吹き出す。

「陛下もサイ《超能力》をお持ちなら理解出来るでしょうが、想いが強すぎると、勝手に思考や記憶が流れ込んでくるんですよ。正直迷惑も甚だしいんですがね。俺はとくに力が強すぎるから、それはもう遠慮なく流れ込んできます」

 本当に嫌そうに肩をすくめてみせる。

「サイ《超能力》を持つ者なら、透視は誰でもできる。相手の心、記憶、その場の残留思念、漂う思念、無機物や有機物などの記憶も視てしまう。視ようとしていないのに情報が勝手に流れ込んでくるんだ。あまり楽しいものじゃないが、今回ばかりは色々と役に立った」

 ソレル国王の眼光はやや衰えた。サイ《超能力》のレベルは最低ランク、ベルトルドが言うような、勝手に記憶や心が流れ込んでくることなど経験がない。サイ《超能力》を持たぬ者相手には十分強いのだが、同スキル〈才能〉を持つ相手を前に、己の力の貧弱さをまざまざと見せつけられ、それがより王としての矜持を傷つけた。

「歴史が好きだった、程度でやめておけば良かったものだが、色々首を突っ込みすぎたな。――皇国相手に牙をむいて、国民を無駄に死なせ、捨て駒扱いにした傭兵たちも、多く冥府へ送るようなことになった。趣味の延長線で権力を振り回した結果招いた戦争だ」

 ベルトルドは組んでいた脚を解き、ゆっくりと立ち上がった。

「多少は能のある王かと思いきや、世間知らずの貴族の生娘たちと寸分違わない馬鹿だったな。今時世界征服とか、恥ずかしくて考えるだけでもアホくさい」

 ソレル国王の前に進み立つと、ベルトルドはその老いた顔を覗き込んだ。美しい顔にゾッとするような、冷たい微笑みを浮かべて。

「強者に喧嘩を売るときはな、負けたときのことも考え、十分用意した上で仕掛ける方がいい。もっとも、この地上に逃げ場などないし、当然アイオン族もトゥーリ族も相手にしないだろう。孤独な老いぼれが哀れに死ぬだけさ」

 白い手袋をはめた手が、老人の喉を鷲掴みにした。

「ヒイッ」

 ソレル国王は空気の抜けていく風船のような声を上げて、目だけでベルトルドを見おろした。やすやすと身体を高く持ち上げられ、喉を締め上げる圧力に、ソレル国王の頭はパニックに陥った。しかしもがきたくとも手は重たくなって上がらず、足も動かずだらりとしている。

「王たるもの、戦争の尻拭いはきっちりするものだ。そうでないと、前線で命を散らす民が納得するまい」

エルアーラ遺跡編:episode418 つづく

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