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片翼の召喚士-ReWork-:episode423

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片翼の召喚士-ReWork-

 エルアーラ遺跡編:episode423

「頂点に立ちたかった、それだけよ」

 リュリュは身をくねらせ、冷たい視線を老人の死体へ注ぐ。

「他国を煽動して踊らせたのは上出来だったけど、計画性もなく穴だらけ。ウチの軍を翻弄してくれたのは、コイツの力量ではなく、付き従っていた臣下たちの実力」

「夢を見た挙句、ここに手を出し、貴方を敵に回したのが最大の敗因ですかね」

 ドールグスラシル内を隅ずみまで入念にチェックしながら、シ・アティウスが淡々と呟いた。

  小国とはいえ、すでにソレル王国という国の頂点に立っていた。真摯に自国と向き合っていれば、世界征服などという恥ずかしい夢など浮かぶはずもなかったのだ。

 飢饉や天災に見舞われ、国が立ち行かないなどということは一切なかった。内乱もなく、他国に侵略されたわけでもない。

 国民に目を向け、耳を傾け、心を砕いていればよかったのだ。

 くだらない夢を実行しようとした挙句がこの有様。すでに終結宣言も発し、手配してある専任の部下たちが、戦後処理に回るだろう。そして数ヶ月も経てば、ソレル王国、ボルクンド王国、ベルマン公国、エクダル国の4カ国は、国としての資格と名を剥奪され、ハワドウレ皇国の地方一県として併呑される。新たな知事の人選を急がねばならない。

 暫くはモナルダ大陸の事後処理に忙殺されるだろうことを思い、ベルトルドは深々とため息をついた。

「シャワー浴びたい」

 血の臭いに飽いたようにしかめっ面をするベルトルドに、シ・アティウスの無表情が振り向いた。

「職員たちで使用している、生活ブロックへ行けば使えます」

「そこの位置を出せ!」

 カメラの機材を片付けていたシ・アティウスは、ベルトルドに急かされて腰を上げた。

 室内の中央には、脚のない台が置かれている。8人で囲むとちょうどいい広さのテーブルくらいのサイズで、これも青い光を放つ水晶のような材質で作られていた。

 シ・アティウスはその台の前に立つと、片手をゆっくりと滑らせるようにかざす。

 すると手の動きに合わせるように青白い光が浮かび上がり、光は台の表面全てを覆い尽くした。

「このメインパネルだけは、いじられずにすんだようで良かった」

 濃い茶色のレンズを青色に染めながら、シ・アティウスは安心したように呟いた。

「そこを起動させるのは、お前と俺しか権限がないからな。壁際のモニター下のサブシステムからアクセスしていたんだろう」

 足元に転がったままの死体をつま先でつつきながら、ベルトルドは嫌味な笑みを浮かべた。

 操作マニュアルなどを作ってはいたが、システム起動はシ・アティウスかベルトルドが必要だった。生体キーとしてシステムに登録してあるからだ。

 緊急措置として、2人がいなくとも動かせるようサブシステムが構築されていたが、メインシステムを全起動させるためには、どうしても2人のどちらかが必要になる。

「生活ブロックはここです」

 メインモニターにフリングホルニの内部構造が映し出され、ベルトルドが飛びやすいように映像も映された。

「アルカネット、一緒にこい」

「あらん、アタシが一緒にいくわよ?」

「来・ん・なっ!!」

 本気で嫌そうにベルトルドは叫ぶと、アルカネットの腕を掴んで即転移した。

 2人の消えた空間をしみじみ眺めながら、リュリュは片手を頬に当てて、切なげにため息をつく。

「アタシが身体の隅ずみまで、丁寧に手と口を使って、官能的に洗ってあげたのに。あれでベルの肌って、女子みたいにすべすべしてて、舌を這わせやすいのよね」

 ンふっとリュリュはイヤラシイ笑みを浮かべた。とくにここ最近では、キュッリッキから生理的な面で嫌われるわけにはいかず、それはもう丁寧に手入れを欠かしていないから余計だ。オヤジ臭がする、とか言われた日には、ショックで立ち直れなくなりそうだ、と常々ベルトルドは必死だった。

「シャワーを浴びるだけなのに、何故アルカネットを連れて行ったんです?」

 リュリュの様子にはおかまいなしといった表情で、珍しくシ・アティウスが不思議そうに呟いた。

「ベルは一人でお着替えが出来ないからよん」

 至極当たり前のように言われ、たっぷりと間を空けたあと、

「ほう……」

 とだけシ・アティウスは声を漏らした。

エルアーラ遺跡編:episode423 つづく

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