片翼の召喚士-ReWork-:episode425

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 エルアーラ遺跡編:episode425

 次第に全員の耳にも、その羽音がハッキリと聞こえてきた。

「姿が見えないけど、迫り来る音ってホラーだよね~」

 朗らかに言うキュッリッキを、シビルとハーマンが前後から裏手ツッコミを入れる。

「とにかくだ、みんな走れ!!」

 ザカリーの声に、弾かれたように皆走り出した。

「先頭の蜂が見えました」

 律儀にメルヴィンが報告すると、皆の足はより早まる。

 黒い塊のように見えるその蜂たちは、ガエルの親指くらいある大きな蜂で構成されている大群だ。羽音が周囲の壁や天井に反響し、それは不気味極まりない大きな音を出していた。

 一同の先頭を走るカーティスは、もはや地図など見ていない。とにかく行き当たりばったり突き進んでいたが、それを止める余裕が一同にはない。どこまで続くかもわからない通路を、必死に走り回る。

「まぁ~っさかこんなぁ、近未来的な遺跡の中でぇ、蜂の大群に追い掛け回されるなんてね~」

 あははーっと陽気に笑うマリオンに、

「アルカネットが言ってた自動防衛システムなんじゃね、原始的すぎて笑えるが」

 とギャリーが真顔で続けると、

「ケレヴィルの連中が研究用に極秘裡に飼ってたんじゃ」

 ザカリーがうんざりしたようにため息をついた。

「アルケラの研究でなんで蜂飼うの?」

 不思議そうにキュッリッキがツッコむと、ザカリーが泣きそうな顔でガックリと下を向いた。

「そう真っ向から核心をつっこまないで」

「しっかしどこから入ってきたんだろうねえ? 地中に埋まってる遺跡デショここ」

 走りながらルーファスは首をかしげる。

「ていうか、あの蜂ども、妙にガエル目指してるように見えるんだが」

 普段あまり口を開かないタルコットが、綺麗な顔に爽やかな笑みを浮かべて言った。

 首を後ろに向けた一同の視線を一身に浴びて、ガエルは戸惑うように眉を寄せた。

「そ…そうか?」

「ガエルはちみつ大好きだからじゃない?」

 キュッリッキが思いついたように言うと、「ソレダ!」と皆叫んだ。

「おめーが呼び寄せたんだろガエル!! 毎日毎日はちみつばっかり食ってっから、蜂どもが復讐にきたんじゃねーの!?」

「なんかついこないだも、マックスなんとかってやつに、はちみつわけてやってたよな!」

「………別に俺が収穫してるわけじゃないんだが……」

 はちみつが好きで、食べただけでこんな大群に追い掛け回される羽目になる覚えはない。が、皆が指摘するように、確かにガエル目指して飛んできている気がしないでもない。

「追いかけられるほど蜂に愛されてるなんてぇ~、デンジャラス!」

「なんて激しい愛だ……」

 茶化すマリオンに、真面目にランドンが頷いた。

「そぉいえば、アタシぃ昔、歌唱部隊の連中から面白い歌教えてもらったんだけどぉ、ぶんぶんぶん、はちがとぶ~って歌あるじゃん。あの歌詞に『ん』以外に全部『る』を入れてぇ、”ぶるんぶるんぶるん はるちるがるとるぶるん”て最後まで歌いきるの~」

 蜂の大群が迫り来る中、思わず全員真面目に脳内で『る』を挟んで口ずさみ始めた。

エルアーラ遺跡編:episode425 つづく

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