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片翼の召喚士-ReWork-:episode430

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片翼の召喚士-ReWork-

 エルアーラ遺跡編:episode430

「ねーねー、ちょっとシ・アティウス、ここ点滅してるわ。なあに?」

 リュリュが壁際のモニター下のパネルを指差す。

 メインパネルを操作しチェックしていたシ・アティウスは、作業の手を止め顔を上げた。

「さっきから忙しなく点滅し出したのよ。大丈夫なのかしらん」

 シ・アティウスはリュリュの隣に立つと、点滅するパネルを覗き込んだ。

「Encounter Gullveig Systemが起動していますね」

「なにそれ?」

「フリングホルニの自動防衛システムですよ」

「やーね、舌噛みそうだわ」

 リュリュが肩を聳やかすと、シ・アティウスは神妙な顔つきで腕を組んだ。

「非常に優秀なシステムですが、これにロックオンされると死ぬまで解放されません」

 垂れ目をめいっぱい見開き、そして目を細めた。

「ちょーっとそれ、ヤバイんじゃない? それにロックオンされてるのって、ライオンの連中じゃないかしら」

「ソレル王国兵の残党は?」

「アタシが調べた限りじゃ、もう残ってないようよ。ベルやライオンの連中が掃除したので全部みたいだし」

 ふむ、と小さく頷くと、シ・アティウスはメインパネルの前に戻って操作を開始した。

「Encounter Gullveig Systemは、侵入者の深層心理に潜む不安や恐怖を見つけだし、立体映像化して、それを侵入者に向けて放ちます。その攻撃では肉体への損傷はありませんが、精神を破壊して侵入者を殺すものです」

「血のかわりに、ヨダレが床を這いそうね…」

 渋面を作って、リュリュはブルッと身を震わせる。

「映像ですから、当然物理攻撃も魔法攻撃も効きません」

 ですが、と言ってシ・アティウスはメガネのブリッジを指で押し上げた。

「システムに干渉した、未知の力があったようですね。システムがそれを理解できずに回答を求めている」

「……それって、小娘の力じゃないかしら?」

 ふと思いついたように言うと、リュリュはちらりとシ・アティウスの顔を見た。シ・アティウスには珍しく、面白そうに表情を和ませて小さく頷いている。

「なるほど、アルケラの力か」

「なんにしても、あの子たちにエンカウンターなんたらが向いてるのはマズイわよ。それ、止められないの?」

「機能を停止するためには、ベルトルド様の許可が必要になります。それにこのドールグスラシルからでないと駄目です」

「パスワードでも打ち込むわけ?」

「ええ、あの方は生体キーですから。専用パネルに触れていただく必要があるんです」

「ンもー、めんどくさいわね」

 リュリュは頭を左右にコキコキッと動かし、手近のパネルを操作した。

「ちょっといいかしら、アルカネット」

「はいはい、なんですか?」

 通信用のモニターを通じて、リュリュがアルカネットを呼び出すと、すぐに返答があった。

「ベルのお風呂とお着替えは、もう終わってるかしらん?」

「いえ、バスタブの中で気持ちよさそうに寝ていますよ」

「ナンデスッテ?」

 リュリュのこめかみがピクリとひくつく。

「昨夜ちょっと………眠れなかったもので。まあお疲れのようなので、少し寝かせています」

 キュッリッキとメルヴィンの初キッスの邪魔をした報いを受けて、結局寝られなかったベルトルドとアルカネットである。

「仕方ないわ、アタシが直々に目覚めさせてあげる」

 ペロリと上唇を舐めると、アルカネットの返事も待たずに一方的に通信を切った。

「ちょっとベルを起こしてくるわね」

 意味深な笑みを浮かべてシ・アティウスに手を振り、リュリュはスキップする歩調でドールグスラシルを出て行った。

 その後ろ姿をしげしげと見つめ、シ・アティウスはモニターの一つに映像を出した。

 生活ブロックにある一室の映像で、そこでは真っ白なバスタブで寝ているベルトルドの姿が映し出されていた。

 バスタブのヘリに頭を引っ掛けるようにして仰向けに寝そべり、だらしなく伸ばした長い脚は、やはりヘリに引っ掛け、手は湯の中に浸けたまま寝ている。

 無防備状態もいいところで、いささか絵ヅラ的には情けなさが漂っていた。

「どんな風に起こすのか、興味津々ですね」

 大して興味もなさそうに呟くと、メインパネルのそばにあるオペレーター用シートに腰を下ろした。

エルアーラ遺跡編:episode430 つづく

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