片翼の召喚士-ReWork-:episode462

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 勇気と決断編:episode462

 そして。

 メルヴィンに嫌われてしまったかもしれない。

 こんな自分を無様だと思っただろう。なにせ、左側の翼は残骸のような有様だ。

 この左側の無様な翼のせいで、両親に捨てられ、同族たちから忌み嫌われた。

 親や同族が嫌うものを、ヴィプネン族のメルヴィンが受け入れ、好きになってくれるはずもない。

 飛べない不完全な自分を、好きになってくれるはずない。身一つで助けることもできない自分なんかを。

(アタシって、やっぱりダメだ)

 そう思えば思うほど、心がギュッと締め付けられたように痛みだし、ぽろぽろと涙がこぼれて止まらない。

「メルヴィンに……会いたいよ……」

 しゃくりあげながら呟く。

 嫌われたと思う反面、恋しさに会いたくて会いたくてたまらないのだ。

 会ってどうすればいいのかも判らないし、メルヴィンがなにか言葉を発するのを聞くのは怖い。でも、あの優しく微笑む顔を見たいし、優しく名前を呼んでもらいたい。温かで力強い手の感触が、今でもはっきりと手に残っている。

 とにかくメルヴィンに会いたい想いに押しつぶされそうになりながら、キュッリッキはひたすら泣きじゃくった。

「リッキーさん……」

 強くキュッリッキを抱きしめながら、アルカネットは柔和な面差しを険しく歪め、目の前の暗闇を睨みつけた。

 こうして抱きしめ、慰めている自分が在りながら、キュッリッキの心はメルヴィンを求め続けている。

 そもそもメルヴィンが床から放り出されなければ、咄嗟に翼を広げてまで助ける行動を起こさなかっただろう。

 原因を遡れば、ベルトルドがEncounter Gullveig Systemを止めるのが遅れたことにある。しかし助ける方法ならいくらでもあっただろうに、あんな助け方をしなければ、キュッリッキが翼を広げることもなかったのだ。

 キュッリッキをこんなに苦しめているメルヴィンの存在を、アルカネットは心の底から激しく憎悪していた。

(あの男が存在していること自体、許せないことです)

 出来ることなら今すぐ殺してやりたい。筆舌に尽くしがたいほど残酷に。しかし、ラクには殺さない。キュッリッキの心に巣食うメルヴィンの残影(のこりかす)も一緒に消去するために、彼女の見ている目の前で嬲り殺す。

 キュッリッキはショックを受けるかもしれないが、それは一時的なことだ。綺麗に忘れてしまうくらい、深く深く愛してやればいいだけのこと。心の中がアルカネットへの愛だけで満たされるほど、強く激しく。

 メルヴィンさえ居なくなれば、キュッリッキはこんなに苦しみ、悲しむことはないのだから。

勇気と決断編:episode462 つづく

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