夢の時間(とき)

オリジナルの小説とイラスト等を掲載。新連載【アストリッド様と「行くわよ愉快な下僕たち!」】開始です。

アストリッド様と「行くわよ愉快な下僕たち!」 episode03 

 

アストリッド様と「行くわよ愉快な下僕たち!」 記事用ヘッダー

《前回のあらすじ》
 新たに下僕(しもべ)にしたヴェガルドを連れて、アストリッドは宿場町イマテラに辿り着く。そこで、アストリッドの使い魔ヨナスが合流し、二人と1匹は仕立て屋でヴェガルドの衣服を調達。そして夕食をとろうと店へ向かうと、いきなり「女狐」と怒鳴られた。

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アストリッド様と「行くわよ愉快な下僕たち!」
《旅は道連れ編》
episode03:「嘘でしょ~~??」語り:アストリッド


 東の大陸から探し始めるといいだろう。そう、宮廷魔術師の占いを受け、あたくしは東の大陸へ出発した。ちなみに宮廷魔術師とは、あたくしの父、ディラン・ニルス・スヴェンセン筆頭魔術師の弟子であるリカルド先生。

 リカルド先生はまだ30歳と若いんだけど、父の右腕であたくしの魔術の先生でもあるの。顔は綺麗なのに性格は超サドそのもの、鬼のような修行を幼い頃から課してきて、涙と血反吐をまき散らしながら修行したものよ…。思い出すだけで冷や汗が出るというもの。ああ、懐かしいわ。あの頃には帰りたくないくらい。

 屋敷を出てからまっすぐ港を目指し、東の大陸に渡るための船に乗って、1週間ほどの航海で東の大陸に着いてみれば、港町でいきなり絡まれたのよ。忘れもしない……、いえ、本当は今の今まで忘れていたけれど。思いっきり。

「見るからに変質的で、脳内イカれてて、美的センスもなくて、バッカじゃないのってくらいみっともなくて、アホ丸出しで品の欠片もなくて、声をかけられるとタダの迷惑だって気づきなさいよアホンダラで、知り合いだと思われたら恥ずかしくて旅が出来なくなるわって思うほどの、この女に」

「てぇ、そういうコトは声に出して言うんじゃねえよ!!」

 握り拳で唾を飛ばしながら怒鳴る。ホント、品がないわ。

「あら、ナレーションしてたつもりなんだけど、心の声が出ちゃっていたのね、ごめんあそばせ」

 にこっ。

「ぐぎぎぎぎっ……、相変わらずムカつくなクソアマ」

「下品を丸出しにして、あたくしに話しかけないでいただきたいわ。お腹がすいているのよ…」

 今日は森で大暴れしたし、ずっと歩きっぱなしだから疲れているの。お腹が鳴らないように気合で耐えているけど、そろそろあたくしも限界だわ。それに、嫌ねえ…、あの下品な女が騒ぐから、遠巻きに人だかりが出来ちゃってるじゃない。こういう目立ち方は避けたいのに、恥ずかしいわ全くもう。

 リカルド先生の占い、思いっきり外れているんじゃなくって? アレはどう見ても、エインヘリャル・コントローラにはならない。

 お腹もすいているし、マトモに相手をするよりは、一発ガツンと吹っ飛ばしたら消えてくれるかしら。二度と目の前に現れないほど徹底的に。――あら、空腹のあまり、思考回路が物騒になってしまったわね。

「いいか、スヴェンセン一族に勝って、オレのリボン魔術の凄まじさを魔術協会に認めさせてやるんだ! ぶっ倒す!!」

 下品な女はそう言って、少し後ろに控える中年の男を指差す。

「……魔術協会の人を、わざわざ買収してきたの?」

「いええ……拉致られました」

 トホホと肩を落としながら、中年の男は泣き出す。なるほど、問答無用で連れてこられた挙句、承認するまで帰らせてもらえないわけね。ほんのちょっと哀れには思うけど、正直空腹の前には関係ないわ。

「リボン魔術って、なあに?」

 ヴェガルドが不思議そうに首をかしげて、あたくしの腕をツンツンとつついてきた。まあ、名前だけ聞いたらファンシーな響きよね。

 あたくしは目の前で仁王立ちする下品な女を、つま先から頭のてっぺんまで、ジロジロと観察する。

 その姿を、なあんて表現すればいいのかしら。

 大小様々なデザインのリボンを、服にくっつけているの。色も共通性もなく、言葉通り色んな色のリボン。あのグラデーションのかかったカラフルな三段スカートっぽいものも、髪に結んでいるものも、肩や胸元や手足に巻きつけているあのリボンも、魔術用のものねきっと。

 はぁ、っとため息をついて、ヴェガルドの方へ顔を向ける。

「リボン魔術、なんて魔術名称は無いのだけど、所謂符術の類型みたいなものかしら。あの色とりどりのリボンに術式を記しておいて、魔術を発動させるのね。ご丁寧に、色でなんの術が発動するか、あの能無し女は区別しているようよ」

「能無し言うな! 工夫、って言うんだ!!」

「へ~、魔術ってアストリッド……様の使うものとか、色んなのがあるんだあ」

「アストリッド様、と、間を開けずに言いなさい」

「……はぃ」

「あたくしの使う魔術は、由緒正しきスヴェンセン伯爵家のもの。あんな、テキトーにアレンジした紛い物魔術と一緒にしては、いけませんことよ」

「紛い物だとおおおおっ」

「仕方ありません、魔術協会のかたもいらっしゃることだし、ヴェガルドにもあたくしの扱う魔術の一端を、きちんと見せておかなくては。ヨナス」

「はい、オマカセください、ごしゅじんさま~」

 それまで黙って成り行きを見守っていたヨナスは、人だかりのところへ飛んでいくと、羊の鳴き声をあげた。

「メェ~、メェ~、みんな眠くなっちゃうの~」

 すると、ヨナスの周りに居た一般人たちが、立ったままスッと眠りに落ちていった。あたくしの使い魔であるヨナスは、眠りの魔術を扱えるの。ギャラリーが多いと、色々とやりにくいし、魔術戦は見世物ではないしね。

 あたくしは二の腕まである、長い手袋を両方脱いだ。そして、両手の甲をヴェガルドに見せる。ヴェガルドは素直に覗き込んできた。

「複雑な、記号みたいなのが描いてある」

「あたくしは天空の星霊を召喚し、使役することができます。右手は惑星霊、左手は十二星座霊の召喚術式よ」

「へえ……」

「魔術を発動するためには、場所、時間、供物、魔力、呪文などの儀式が必要になってくる。でも、あたくしのように旅をしていると、そんな儀式をしている暇はないでしょう。いきなり敵に襲われて、儀式しているとかありえません。そこで、儀式を省略し、召喚魔術が即発動できる術式を、こうして刺青にして手に記してあるの」

「……これでボクの友達を、滅殺しちゃったんだね…」

「……」

 案外この子、根に持つタイプ!? そういう理解の仕方もあるってわけね…。

「コホン。さあ、秒殺して差しあげてよ」

 ビシッと下品女を指差し、あたくしは左手の甲を女に向ける。

「へっ! やっとやる気になったかクソアマ。ヘリュ・フプリ様のリボン魔術の真髄を思い知りやがれっ!!」

 ヘリュ・フプリっていうの。初めて名前を聞いた気がする。まあ、前に名乗っていたとしても、もう覚えていませんけど。

 ニヤリと笑みを浮かべるヘリュは、三段スカートに結んである、赤い小さなリボンを解いた。色で何が飛んでくるか判るのは親切ね。

「ファイア!!」

「消火よろしくっ、宝瓶宮(クンバー)!」

 ゴオッと飛んできた火は、宝瓶宮(クンバー)の化身の水に包み込まれ、呆気なく消えてしまった。最低ねえ、なあにあの火力。よくある見世物で、松明に酒を吹きかけて、火炎放射みたいに撃ちだす火みたい。手品か芸レベルじゃないの。

 はあ…、あんなちゃちな火炎手品の消火に、十二星座霊を呼び出すとか。ナメクジをいたぶり殺すのに、高級岩塩をまぶすようなものね。

「やるじゃねえか……」

 ヘリュはこめかみをヒクヒクさせながら、あたくしを睨みつけている。あの程度をやるじゃないかと言われても、あたくしが困るわ。

「リボン魔術の真髄を見せてくださるのでしょう? 準備運動にもならないような、手品芸を披露なさらず、ドッカンと盛大にお願いしますわ」

「手品だとお!?」

 両手の拳を強く握り締め、ワナワナと口を震わせて、ヘリュは地団駄を踏んだ。

 あら、勘に触りましたのね? だって、本当のことですもの。

「今度はこうだっ!!」

 三段スカートについている青緑黄の3つのリボンをほどき、あたくしに投げつけてきた。

「ウォータ、エアロ、ストーン!!」

 さっきのファイアと威力は同じですわね。全く、本当に手品レベルね。

「小さき力を粉砕せよ! 巨蟹宮(カルカタ)!」

 三種のエレメントは、あたくしが召喚した巨蟹宮(カルカタ)の巨大な爪に打ち払われ、霧散してしまった。

「ちょっと、お腹すいているのよ! さっさと本気出して下さるかしら!?」

 このままじゃお腹が鳴っちゃうじゃないの! 真面目に相手をしてあげているんだから、いい加減本気の魔術を見せてちょうだいもう!!

「ボクももう限界……、アストリッド様、ちゃちゃっと吹っ飛ばしちゃったら…」

 あたくしの後ろにしゃがんで、ヴェガルドが物騒なことを呟きだしたわ。

「そうでしゅね~、あまり遅い時間にお食事すると、太っちゃいますもんね~」

 ヨナスも飽きてきたようで、ヴェガルドの頭に座ってニコニコ笑っている。そうね、早く食べないと太っちゃうわ。

「ということで、さっさとして!」

 ビシッとヘリュに向けて人差し指を突きつけ、あたくしは怒鳴った。

「わーったよ…、そんなに死にたきゃ、ぶっ殺す!!」

 ヘリュは三段スカートを腰から剥ぎ取って、バサバサッと両手で何度か扇ぐ。

「この町ごと吹っ飛ばしてやらああ!!」

「ちょっとヘリュさん!?」

 ヘリュの後ろで状況を見ていた魔術協会のおじさんは、急に慌ててヘリュの両肩を鷲掴みにしていた。

「いいですかヘリュさん、協会としてはそんな魔術の使用を認めません! 町を吹っ飛ばすなど、もってのほかです」

「じゃあかあしいいい!! あの居丈高で尊大で鼻持ちならねえクソアマをぶっ殺すには、これくらいやらねえとダメなんだよっ!」

 凄絶な笑みを浮かべ、ヘリュは魔術協会のおじさんを払い除けた。

 あらあら、短気ねえ。

 魔術師である以上、魔術協会に楯突くのはご法度なんですけど。頭に血が上って、そんなことも忘れているのね。まあ、どんな規模の魔術を発動するつもりかは知らないけど、このあたくしを、誰だと思っているの?

「喰らいやがれクソアマああああああああっ!」

 ヘリュは三段スカートを、勢いよく地面に叩きつけた。すると、地面が激しく振動し、ヨナスが寝かせた一般人が次々倒れていく。

 あの三段スカートは、上から土、水と風、毒と炎のエレメント魔術が仕込んであると思う。そして乱暴に発動させたということは、リボンっていうか布の大きさのぶん、さっきの小さいリボン以上の威力はあるってわけね。

 一度に5つのエレメントの力を発動するんじゃあ、確かにほっとけば町は吹っ飛んじゃうわ。

 でも、そうはさせない。だって、お腹すいているんですもの!!

「時間を操作し、あの者の魔術を止めよ、アヴァトロン!!」

 やむを得ずあたくしは右手の甲をかざし、惑星霊を召喚した。

 目に見えない土星(アヴァトロン)の星霊が、ヘリュが発動させようとしている魔術の時間を止めた。

「あ、アレ? 魔術が動いてねえっ」

 バサバサと何度もスカートを振って、ヘリュは首をかしげていた。

「ヨナス」

「はい~、ごしゅじんさまあ」

 ヨナスは大きく空気を吸い込み、そしてヘリュの手にしている三段スカートに向けて、物凄い勢いで息を吹き付けた。

「うぎゃあああっ」

 三段スカートにボッと火がついて、瞬く間にスカートはメラメラと焼けて灰になっていった。ヨナスの火炎魔術よ。

 ヘリュはその場にへたり込み、目を瞬かせてあたくしを見上げてきた。さっきの勢いはどこへいったのやら、情けない顔ね。

「あなたの魔術自体の時間を止めて、発動を阻止したの。あたくし個人を狙うならまだしも、町全体を巻き込んだら、あなた犯罪者になるところだったのよ」

「う……」

「あたくしの善意に大感謝して、金輪際目の前に現れないと誓いなさい。そうすれば、今日のことは下水に流して差しあげてよ」

 ヘリュはムッとした顔をしたけれど、すぐにしゅんっと下を向いて黙り込んだわ。

「それと魔術協会の職員の方」

「あ、はい」

「そんなわけで、もうよろしいかしら? あたくしたち、とーってもお腹がすいてますの。早くお夕食をとりたいわ」

「はい、はい、ようございます。さすがはスヴェンセン伯爵家の次期当主様、御当主の伯爵様も、良い後継を持たれましたな」

 聞き飽きたお世辞を言いながら、魔術協会のおじさんは頭を下げてきた。

 魔術協会の職員も、スヴェンセン伯爵家の名に頭を下げるのよ。それだけ世界規模で、あたくしの家は影響力を持っているわけね。

 もっとも、今のあたくしは、スヴェンセンという名の七光りで、チヤホヤされているだけなのだけど。悔しいけど、それが事実だわ。

「じゃあ行きましょう」

 あたくしはヴェガルドとヨナスを連れて、店の中へ入った。ヨナスが眠らせていた一般人は、もう目を覚まして各々の目的へ向けて歩き出していた。



 店内はこじんまりとしているけど、テーブルには真っ白なクロスがかけられ、小さな花瓶にはピンクの薔薇の花が活けてある。床にはクリムゾンの絨毯が敷かれ、可愛らしいシャンデリアが天井を照らしていた。

 宿場町にしてはいいお店。それに、なんといってもお料理が美味しいわ。

 あたくしはお肉料理のフルコース、ヴェガルドはお魚料理のフルコースを注文。ヴェガルドにテーブルマナーを教えながら、あたくしたちは一心不乱にお料理を平らげた。あたくしには珍しく、パンのおかわりもしちゃったわ。

「惑星霊を召喚すると、ものすご~く魔力を使いましゅものね。今日は沢山使ったんでしゅね、ごしゅじんさま」

 テーブルの上でコロコロ転がりながら、ほんわか言うヨナスに指摘される。

「ええ、今日はちょっと大暴れしちゃったのよ…」

「あれだけの戦利品でしゅものね~」

 ふふ、ヨナスはなんでもお見通しね。

「すごく美味しかった」

 生クリームで口のまわりをデコレーションしたヴェガルドが、可愛らしい笑顔で満足そうに言う。そりゃあ、ずっと野生生活だったもの、たぶん生肉とか食べていたんだろうし。

「それは良かったわね。ほら、これで口のまわりを拭きなさい」

 ナプキンでヴェガルドの口まわりを拭く。

「ヨナスは何も食べなくてもいいの?」

「わたくしめは、ごしゅじんさまの魔力をムシャムシャしているので、物は口にしないのでしゅよ~」

 不思議そうにするヴェガルドに、あたくしは頷いてみせる。

「ヨナスはあたくしの使い魔なので、あたくしの魔力と繋がっているの。なので、あたくしの魔力が枯渇しない限り、ヨナスは元気なのよ」

「ふ~ん、そうなんだあ」

 最後に出された紅茶をいただきながら、のんびり寛いでいると、さっきのヘリュ・フプリが突然現れた。

「まだなにか、御用がおありなの?」

 思いっきり迷惑そうに言うと、ヘリュは拗ねたような表情で、目だけを明後日に向けている。

「お前、さ、なんでそんな強いんだよ」

 そう不満そうに言われましても?

「同い年のくせに、大人の魔術師みたいに」

 正直ヘリュが何を聞きたいのか判りませんけど、あたくしとの実力差の秘密でも知りたいのかしら。秘密なんてものは、ないですけどね。

「あたくしは、しきたりのために旅をしているの。無事与えられた課題をクリアするために、物心着く頃には猛烈な修行をしてきたわ。もちろん魔術の修行だけじゃなくて、ありとあらゆるコトを躾けられてきた。どんなものとも渡り合えるように。それでたぶん強いんじゃないかしら」

「しきたり…?」

「ええそうよ。スヴェンセン伯爵家のしきたり」

「そっか…」

「そういえば、あなた、何故あたくしのコトを知っていたの?」

 ふと気づいた、このヘリュ・フプリは、どうしてあたくしがスヴェンセン一族だと知っていたのかしら。今更間抜けなんだけども、急に気になったわ。

「ああ、オレの地元の魔術協会で知ったんだ。アウレリア神聖国のスヴェンセンの跡取りが旅に出たって。んで、容姿とか教えてもらって、港町で待ち構えてた」

 こ…個人情報ダダ漏れじゃない! これは早急に抗議を出しておかなくっちゃ。

 魔術師と認められた者は、子供でも大人でも、必ず魔術協会に登録をするの。魔術協会に登録しておけば、色々な便宜を図ってくれるし、困っていると助けてくれる。とくにあたくしのような名家の子女が一人旅なんかに出ると、必ずそのことを魔術協会に報告し、旅先で何かあったときは、魔術協会が間に入ってくれる。

「スヴェンセン一族は有名じゃん。だから、勝てばオレの名が一気に有名になると思ってさ。――どうせ、貴族のご令嬢サマだろ。魔術師とか言っても、ぜってえ弱いと思ってたんだが」

「ご想像とはかけ離れていて、申し訳ありませんでしたわ」

「オレの家、ハミナ王国の宮廷魔術師だったんだが、オレが3歳の時に親父死んじまってよ。オレ以外後を継ぐやつがいなくて、でもオレちっさかったから、家督を取り上げられちまった」

 なるほどね、それで名を挙げたかったってわけね。

 スヴェンセン一族を倒せば、そりゃ名はあがるでしょう。それがたとえご令嬢様でも、魔術師であればいいのだから。

 ハミナ王国といえば、この東の大陸にある国のひとつね。

 同情するのはタダだから、いくらでも垂れ流して差し上げるけど、倒されて宣伝に使われるのは御免こうむるわ。

「なあ、あんたの旅に、オレを加えてくれないか?」

 ブッ! あたくしは飲んでいた紅茶を、向かい側のヴェガルドの顔に吹き付けちゃったじゃない。ヴェガルドが迷惑そうにナプキンで顔を拭いている。しかし何故そうなるの!?

「あんたの旅についていったら、なんか強くなりそうでさ。頼むよ」

 ヨナスがニヤニヤと、あたくしのことを見ている。ヘリュは真剣そのものであたくしを見ていた。

 ううううん……、どうしましょう。

「ねえヘリュさん、アストリッド様についていくってことは、下僕にしてほしいってことなんだよ」

「下僕(しもべ)?」

「うん。ボクもヨナスも下僕なんだ。ヘリュさんも下僕になるの?」

 ならないならない。だって、プライド高そうだし、無理よ、無理。

「判った、下僕になる」

 マジっすか!?

「やったー、下僕仲間が増えたね~、ヨナス」

「はいでしゅ~」

 ちょ、ちょっとっ! 何そこで話が進んでいるの!?

「よろしくな、アストリッド」

 あたくしを呼び捨てにしつつ、ヘリュは律儀に頭を下げてきた。

 嘘でしょ~~~~??

 紅茶のカップを握ったまま、あたくしは暫く硬直してしまいました。



episode03:「嘘でしょ~~??」 つづく

episode02:「またオマエか……」

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category: 旅は道連れ編

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アストリッド様と「行くわよ愉快な下僕たち!」 episode02 

 

アストリッド様と「行くわよ愉快な下僕たち!」 記事用ヘッダー

《前回のあらすじ》
 ヒュトネンの森で、動物たちと静かに暮らしていた13歳の少年ヴェガルド・イプセンは、突如現れたアストリッド・グエナエル・スヴェンセンという少女に絡まれ、そこから自分がフラフトストラ(魔獣使い)であることが判明。
 動物だと思い込んでいた魔獣たちは全て倒され、森は焼き尽くされた。そしていきなり下僕(しもべ)にさせられたヴェガルドは、拒否することさえ叶わず、アストリッドの下僕として、旅に同行することになった。

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アストリッド様と「行くわよ愉快な下僕たち!」
《旅は道連れ編》
episode02:「またオマエか……」語り:アストリッド


 あたくしの名は、アストリッド・グエナエル・スヴェンセン。16歳になったばかりの、美しくて可憐な乙女よ。

 生まれは西の大陸にある大国の一つ、アウレリア神聖国。光の神々を敬い奉っている国のひとつね。

 アウレリア神聖国には、武力を行使する軍隊と、光の神から啓示を受けた聖なる乙女率いる神聖騎士団、類稀な魔術で国政を司る評議会の3つの勢力がある。その評議会の筆頭魔術師の家柄でもあるスヴェンセン伯爵家が、あたくしの生家。

 あたくしは、そのスヴェンセン伯爵家の次期当主。

 何故そんな尊い身分のあたくしが、こーんな辺鄙で物騒なところを歩いているかって?

 スヴェンセン伯爵家は、かなり古い魔術師の家柄なんだけど、元は爵位も持たない家だったのですって。

 でも、イーヴァル・スヴェンセンという、伯爵位を賜った初代スヴェンセン伯爵が誕生したことで、スヴェンセン伯爵家は現在の地位を不動のものにしたと言われているわ。

 そのイーヴァル伯は稀代の天才で、しかも凄まじく強かったそうよ。並み居る名家の魔術師たちを退け、実力を世界中に轟かせ、時の国王すら逆らえなかったという。想像するだけで痺れちゃうわよね。

 そしてなによりも凄かったのは、新しい魔術を生み出したこと。

 古くから世界には色々な魔術があるけど、そこからまた新しく生み出すことは、本当に凄いことなの。昔から伝えられる魔術を、自己流にアレンジするくらいは誰でも出来るんだけど。どんなに天才と言われていても、実現は不可能に近いわ。だからイーヴァル伯は凄い人なのよ。

 ただね……。

 新しく生み出されたその魔術、かな~~~り特殊仕様で。

 魔術というものは、本来魔術師しか扱えないものよ。魔術師の起源は曖昧な説しかないのだけど、魔術師の血を引いて、修行を収めた者だけが扱える。でも、魔術師ってそう多くはないの。国に仕える魔術師や野良魔術師など、全体の一掴みくらいしかいないわ。だから結構、国宝級だったりする。

 そのことをイーヴァル伯は憂いていたのか、単にこういう構造になったのか、そのあたりは知らないけども。

 エインヘリャル、そう名付けられたこの魔術は、魔術師には扱うことができない。

 ね、それだけ聞くと「は?」って滑稽でしょ。

 魔術というものは、魔力がないと発動しないの。魔術師と呼ばれる人々は、その魔力をもって生まれてきている。魔力があれば、魔術師になることはできるけど、持っていない人は一生魔術師にはなれない。そこでイーヴァル伯は、エインヘリャルを魔力ではないもので発動する仕様にした。

 なにで発動するか、それは、体力。

 更に笑えるでしょ、何故体力なの? と。体力なら魔術師だって持っているわよ。

 でもね、イーヴァル伯は標準的に備えている体力では、扱えないレベルに作り上げてしまったの。

 年齢は18歳から29歳までで、底抜けのアホレベルの体力じゃないと、エインヘリャルは発動しない。そういう制限を設けてあるの。つまり、もっとも体力が豊富なお年頃で、24時間ノンストップで肉体労働出来ちゃうくらいの体力量じゃないと、ダメってことね。

 まあ、自分で説明しておいてなんだけど、魔術師よりも使える人が限定されると思うのよね…。しかも、恐ろしく希少だと思うわ。国宝級を通り越して、すでに天然記念物よ!

 エインヘリャルの使用規格は激しく敷居が高いけど、エインヘリャル自体は素晴らしいモノなの。

 スヴェンセン伯爵家は、代々召喚系魔術を得意としているの。もちろんほかのジャンルも網羅しているけど、召喚系魔術においては、右に出るものはいないとされているわ。

 イーヴァル伯は、カード魔術と召喚系魔術を合体させて、新魔術エインヘリャルを作った。

 作り方は企業秘密だけど、一枚のカードを作り、そこへ自ら捕まえた力を封じ込める。ここまではスヴェンセン伯爵家の者がやる。それは代々当主の座を継ぐ、後継者がやることになっているわ。

 現在エインヘリャルは6枚。

 ここまで話せば、もうお判りね?

 そうよ、あたくしは7枚目のエインヘリャルを作るために、旅をしているの。

 ちなみにエインヘリャルは、一人で何枚も作れないわ。企業秘密だから作り方は教えられないけど、一人一枚のみよ。

 家のしきたりでね、16歳になったら、新たなエインヘリャルを作るための旅に出なくちゃいけないこと。そして、エインヘリャルを扱うことのできる、底抜けの体力を持つ若者を探すこと。その二つを達成しないと、家には帰れないってわけ。

 イーヴァル伯が作ったしきたりですって。

 あたしは腰に下げている鞄から、6枚のエインヘリャルを取り出した。トランプカードより二回り大きいくらいね。タロットカードのようなデザインだけど、中央には封じ込められた、魔神たちの容姿が写っている。

 歴代の当主たちが集めたエインヘリャル。どれも凄い力を封じたものばかり。

 エインヘリャルを作り出すのはスヴェンセン伯爵家の者だけど、このエインヘリャルを扱うことのできる者、エインヘリャル・コントローラと呼ばれる使役者がいないと、エインヘリャルは封印される。

 エインヘリャル・コントローラが新たに見つかったとき、エインヘリャルは契約して目覚めてくれる。そうなれば、エインヘリャルと話が出来るんだけどねえ。

 イーヴァル伯が作った最初のエインヘリャルを、あたくしはジッと見つめた。

 闇の神々の中で、最高位に属する魔神イブリースを封じているの。

 この世界ヴィンドフロトには、大勢の神々が降臨して戦っているけど、その中から大物を見つけ出して捕らえて封じるなんて、どれほど凄い実力を兼ね備えていたのかしら。

 尊敬と同時に、嫉妬もしちゃう。

 あたくしはどんな魔神を捕らえ、封じることになるのかしら。

 7枚目のエインヘリャルが完成するのが先か、それともエインヘリャル・コントローラが見つかるのが先か。

 本音を言えば、エインヘリャル・コントローラが先に見つかると、戦力的にも助かるんだけどね…。

 そりゃあ、神々に対抗するだけの魔術を身につけているわよ。でも、用心に越したことはないしね!

 弱音なんかじゃないわよ!

「それ、なあに?」

 ヴェガルドが横から、珍しそうにエインヘリャルを覗き込んできた。ずっと下ばかり向いて歩いていたけど、こういうものには興味を示すのね。

「エインヘリャルっていう、魔術を扱う特殊な道具よ」

「ふーん…」

 ついさっき下僕に召し上げた、無自覚な野良魔獣使い(フラフトストラ)の少年ヴェガルド・イプセン。あたくしより3つ年下の13歳。

 顔は中々に綺麗で、将来が楽しみな感じね。連れて歩くのに、申し分のない顔立ち。

 ただ……この子、野生生活が長いせいか、着ているものが何かの獣の毛皮を身体に巻いて、それを草の蔓で縛ってるだけなの。おそらく下着なんて履いてないだろうし。

 原始人じゃあるまいし、このままじゃダメよ! 何とかしなきゃ。

 下僕(しもべ)の主人として、衣食の面倒を見るのが責務。住は旅の途中だから、安定したものは無理だけど。

 それに美少年連れて歩くなら、それなりの格好をさせないと、あたくしの品位が疑われるわ! だって、何かの変態プレイと勘違いされたら困るじゃない。

 そうこうしてる間に、目的地が近づいてきたわね。石で組まれた小さな橋の向こう側の道は、綺麗に舗装されている。空はもう濃紺色に染まってきているから、ラザネイトの道路灯が助かるわ。そして沢山の灯りが見える。

「ほら、町が見えてきたわ」



 東の大陸にある、宿場町の一つイマテラ。そこそこ大きくて、店もいっぱいあるわね。

 街灯で明るい町の中は、旅人や町人たちで賑やか。ずっと人気のない所を歩いていたから、こういう場所へ来ると、ホッとできるってものね。

「さあってと、魔獣の素材を売り払って、お買い物しましょう」

 ヴェガルドは複雑そうな顔をしながら、袋をあたくしに寄越した。

 ふふふ、珍しい種類の魔獣が沢山いたおかげで、貴重な素材がいっぱい。かなりの額になるわね。

 魔獣の素材を専門に扱う店は、宿場町には必ず一軒あるの。魔獣は主に森に生息するんだけど、旅の途中魔獣と出くわして、襲われたり襲ったり、素材を入手する機会があるのね。爪や角や骨なんかは日数を気にせず持ち歩けるけど、内蔵とか血とか皮とか、鮮度命な部位はすぐに売りたい。そこで必ず宿場町には、大小問わず専門店が置かれることになっているの。魔獣の素材は、薬、装飾品、武器、魔術アイテム、道具など、色々な用途があるから大人気よ。

 すぐ近くにある果物の露天のおじさんにお店の場所を聞いたら、町の東側にあるって。

「あっちみたいね、行くわよ」

「ごしゅじんさまああ」

「ん?」

 露天から離れた途端、可愛らしい声が空から降ってきた。この聴き慣れた声は…

「ヨナス!」

「ごしゅじんさまあ! ただいま戻りましゅた~」

 ピンク色の翼をパタパタさせて、アイボリーの毛玉が差し出した手の中に飛び降りてきた。勢いよく突っ込んできたから、掌の上でポンッと軽く跳ねる。

「お帰りなさい、ヨナス」

「ただいまです、アストリッドおじょうさまあ」

「うわあ、可愛い~」

 それまで黙っていたヴェガルドが、目をキラキラさせて、手の中のヨナスを見つめている。あら、興味があるのね。

「この子はヨナス、あたくしの使い魔なの」

「使い魔?」

「はいぃ~。アストリッドおじょうさまに作られた、おじょうさまにお仕えする下僕なのですよ~」

「キ、キミも下僕なんだ……」

 なに、その憐れみに満ちた目は! 失礼しちゃう!

「荘園の牧場で飼っていた羊が生んだ仔羊が、狼に襲われて死んじゃったの。その可哀想な魂を核にして、あたくしが作ったのよ、ヨナスを」

 魔術師は自ら使い魔を作り出すことができるの。ヨナスを作ったのは、あたくしが7歳の頃だったかしら。以来ずっと一緒、下僕以上に大事なお友達。

「いつもの定期報告、御当主さまに届けてきました」

「おつかいご苦労様」

 ヨナスは嬉しそうに、ピンクの翼をパタパタ羽ばたかせた。褒めてあげると、いつもこうして喜びを表現するのよ。

「ほんと、可愛いなあ~」

「えへへでしゅ~」

 普通の人間だったら、どんなに見た目が可愛くても、喋るとびっくりするものなんだけど。さすが、魔獣に囲まれて育っただけあるわね、この子。ヨナスを見ても、怖がるわけでもなく、気味悪がるわけでもなく。まっ、そのほうが助かるけど。

「ごしゅじんさま、それは戦利品でしゅか?」

 もう片方の手で持っていた麻袋に、ヨナスが目を向ける。

「ええ、そうよ、目ざといわね」

「魔獣の臭いが、プンプンしてましゅもの」

「ふふっ、これを売り払って買い物をするから、お店へ行くわよ」

「ハイでしゅ~」



 鑑定、値段交渉、精算するまで、だいたい30分くらいで終わったわ。比較的大きめの専門店だったから、あまりケチらず買い取ってくれて嬉しい。町の賑わい方から見ても、割と人の往来が多いので、羽振りがいいのね。

 必要になる旅の資金は実家から出ているんだけど、所持金は多いほうがいいし、あたくしはこうして所持金を増やしているの。食い扶持が増えたし。

 良家の子女だって、甲斐性あるんだからっ!

「さて、ヴェガルドの服を買いに行きましょう」

 毛皮を胴に巻いただけの姿は、人目を惹きまくっていて、あたくしのほうが恥ずかしいんですもの。なまじ顔がイイだけに、余計よ!

「このままじゃ、ダメなの?」

「ダメに決まっているでしょ!!」

 不満そうに言ってくるヴェガルドを一喝して、さっき見つけておいた仕立て屋に入る。

「いらっしゃいませ」

 ニコニコと営業スマイルを浮かべた店主が、ススッと寄ってくる。

「この子の旅装をお願いしたいの」

 ヴェガルドを前に出すと、店主はギョッとした顔をして、しかしすぐ営業スマイルに戻す。この切り替えの速さは、さすが商売人ね。

 まあ、ね、この反応は正しいわ。今時毛皮を胴に巻いただけの客とか、ビックリしないほうが驚くわよ。

「最近大都市のほうから入荷した、ステキなお服があるんです。少々お待ちを」

 店主は一旦奥へ引っ込むと、何着かの服を腕に携えて戻ってきた。

 胴だけのマネキンに、持ってきた服を着せて、あたくしたちに見せた。

「いかがでございましょう~」

「あら、素敵なデザインね」

 東の大陸のセンスも、悪くないわね。男物だけど、いいなあ、これ。

「はい~。生地もしっかりしたものを使っており、過酷な旅でも傷まないお仕立てになっておりますよ」

「ふむふむ」

 あたくしは4着ある服を、一つ一つ生地の丈夫具合などを確かめた。旅は安全なものではないし、常に危険と隣り合わせ。しっかりした生地と仕立てじゃないと、お金は出せないわ。

「うん、とてもいい服ね、生地も縫い取りもしっかりしているし。――ねえヴェガルド、あなたどれが着てみたい?」

 ぽつんと取り残されたような顔をしていたヴェガルドは、あたくしに促されて、マネキンの前に立った。暫く迷いながら、2体目のマネキンを指差す。

「うーんと、……コレがいいかなあ」

 ベージュ系で配色された生地に、黒いラインがオシャレに入っているジャケットと、ズボンのセット。うん、そうね、悪くないかも。

「これをいただくわ。ついでに、下着もいくつか見繕ってくださいな。そして、奥で着せてきてあげて」

「ありがとうございますお嬢様。ささ、おぼっちゃま、奥でお召かえしてきましょう」

「はあ…」

 選んだ服をマネキンから脱がせ、困惑気味のヴェガルドを引っ張るようにして、店主は奥へ消えていった。

 これで、ヴェガルドの衣服は一件落着。

「魔獣使い(フラフトストラ)を下僕にするなんて、さすがごしゅじんさまですね~」

「ただのフラフトストラじゃないのよ。あの伝説級になった、イプセン一族の末裔なの」

「ひえええ~~」

「どこかの大都市に寄ったら、魔術協会に報告しなくちゃね。いつかは、ちゃんとしたフラフトストラに弟子入りして、立派なフラフトストラにならないと、せっかくの貴重な才能が台無しになってしまうわ」

「えへへ、ごしゅじんさまは、そういうところはお優しいでしゅね~」

 ほんわか褒められると、気恥ずかしいわよ。あたくしは照れ隠しに、明後日の方向に視線を泳がせた。

 あたくしも魔術師の端くれ、その程度の常識は弁えていてよ!

 でも、暫くはあたくしの下僕。

「お待たせしました~。見違えましたよ」

「おー」

「ホントでしゅね~」

 ちゃんとした服を着せられたヴェガルドは、美少年度を90%はアップさせたわね! これはもう、連れ歩くのには合格よ! 羨む女たちの視線を想像して、あたくしは心で握り拳を作った。

 でも当のヴェガルドは、服に馴染めないのか、襟元をいじったり、袖をまくろうとしたり落ち着かない様子。

 無理もないわね、10年近くも野生動物のような生活レベルだったんですもの。そこは諦めて、慣れてもらうしかないわ。

「お支払いするわ」

「毎度ありがとうございます」

 店主にお代を支払って、あたくしたちは店を出た。

「もうお夕飯時ね。お腹がすいたわ」

「ボクもお腹すいた」

 窮屈そうな表情(かお)で見上げてきて、ヴェガルドはお腹をグウ~っと鳴らした。

 あたくしは思わず「ぷっ」と吹き出しちゃった。こういうところは、素直でよろしい。

「寛げる、美味しいお料理のお店を探しましょう」

「それならもう、バッチリでしゅ。こっちですよ、ごしゅじんさま~」

 ヨナスはパタパタと西の方へと飛んでいった。

 あたくしの好みを知り尽くしているヨナスだから、もう目星をつけていたのね。さすがは、あたくしの使い魔。

「行きましょう」

「うん」

 ヨナスの飛んでいった方へ、あたくしたちも続いた。



「ごしゅじんさまあ、ここでしゅ~」

 白い建物で、品のいい外観をしている。看板も店の外のレイアウトも、中々に洒落ているわね。

 店の扉の前を、ヨナスはクルクル回りながら、パタパタと飛んでいた。

 人の多い往来で、堂々と飛んでいられるのは、ヨナスがあたくしたち以外には見えないよう、自身に魔術を施しているから。

 魔術師個々の趣味で、とても人目にさらせない姿をした使い魔なんかもいるから、これは魔術師の義務でもあるの。もっとも、ヨナスは可愛いから、黙っていれば大抵平気なんだけどね。

「お店に入りましょう」

 一歩踏み出した途端、

「やっと追いついたぞ、この女狐!!」

 あたくしたちの反対側から、いきなり怒鳴り声を浴びせられた。

 女狐?

 往来には、今のところ女性は、あたくししか居ないわね…。

 女狐ですってぇ?

「今日こそ決着をつけてやる! 覚悟しろゴルァ!!」

 品の欠片もない話し方をするそいつを、た~っぷりとあたくしは見つめた。

 ああ…思い出したかも。

「またオマエか……」


episode02:「またオマエか……」 つづく

pisode01:「下僕一号になりました」

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category: 旅は道連れ編

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tag: オリジナル  ファンタジー  小説 
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本日再開&新連載開始です。 

 

とりあえず作業が終わったので再開です。


TOPはヴァルト画伯の新作でございます(・ω・) ちょっとでも涼んでもらえると、画伯も喜びまス☆

そして、TOP固定記事改装で、びろ~~~~~んっと長いです。

創作系・・とくに小説なんかは、TOP固定記事から各作品へ飛ぶ、というのに慣れている人が多いっぽい?w あまりサイドバーのリンクが機能していないようなので、ンじゃもうコンテンツごとに目次ページ作って、TOP固定記事からは目次へ飛んでケ~って形にしました。

ウチの売りはイラストでーい、で、イラストもでっかく。でも一応、サイドバーにも各作品目次へのリンクは貼りました。

そして、新作【アストリッド様と「行くわよ愉快な下僕たち!」】を開始します。

なんて言うんでしたっけ・・キャラクターの喋りで綴っていく、アレを今回やっていってみようと思います。

長編でそれは書いたことないから、きちんと進むか激しく謎だけど(´_ゝ`) 書きやすいのか書きにくいのかって感じです。

【ALCHERA-片翼の召喚士-】とは違って、目的もストーリーも最初から明確なので、その珍道中を読んでいただくようになります。捻りなんてナイYO(ゲフッ

ストックを作ってから連載、とアドバイスもらったにもかかわらず、どうにも書いたらすぐ見て欲しい、という性分から、ストック制作がモヤモヤしてきたので(笑) 今まで通り、キブンで更新♪ でやっていきますスミマセン。

やはり、マイペース大事・・・。

現在私の住む地域には雨が降らず、毎日毎日ケシカラン暑さで、いつも以上に創作意欲急下降デス。それに、せっかく睡眠時間が安定したと思ったら、この暑さで元に戻った><!

クーラー欲しいです。

梅雨、どこいった・・・。

でも今一番欲しいの睡眠薬・・・。シャレ抜きで寝られないもの。暑すぎて(#゚Д゚)ノ

広告が出ないようには更新できればいいな。けど、左右下に、正方形の広告がやたら出るんだけど、ウチだけなのかなあ・・・? あれ鬱陶しすぎて困る!


もう何が書きたいんだかサッパリな頭ですが、新作共々よろしくお願いします。


category: ◆雑談

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アストリッド様と「行くわよ愉快な下僕たち!」 episode01 

 

アストリッド様と「行くわよ愉快な下僕たち!」 記事用ヘッダー

《物語の始まり》
 アウレリア神聖国現筆頭魔術師スヴェンセン伯爵家、7代目次期当主アストリッド・グエナエル・スヴェンセンは、16歳の誕生日に当主である父から、エインヘリャル6枚を渡され、しきたりに則って、新たなエインヘリャル・コントローラを探すこと、そして自分だけのエインヘリャルを作る為の旅に出る。
 人里以外は森ばかりの世界ヴィンドフロトを舞台に、魔術師アストリッドと、その旅に巻き込まれる個性あふれる面々の、楽しい(?)冒険が始まる。

ライン画像

アストリッド様と「行くわよ愉快な下僕たち!」
《旅は道連れ編》
episode01:「下僕一号になりました」語り:ヴェガルド


 森は良い…。

 静かで、のどかで、深く優しい。

 清々しいほどの緑の匂い、木陰から差す優しい光。

 森を怖がるっていう人もいるけど、ボクにとって森は、あったかい家のようなものだもん。

 でも今日は、大切な森と友達を、失う日になったんだ。



 ボクの名前は、ヴェガルト・イプセン。13歳になったばかりなんです。

 家族は、父と母がいましたが、幼いころに死んじゃいました。

 住んでいた村が、神々の戦いに巻き込まれて、木っ端微塵に吹っ飛んじゃったから。ボクは近くの森で遊んでいたから助かったけど、村が吹っ飛んだ光景は、今でも忘れない。だって、本当に文字通り吹っ飛んじゃったんだよ。

 ボクはそれを、森の入口で、友達の動物たちと見ていたから。

 何故、神々の戦いに巻き込まれたかって?

 ボクの住むこの世界ヴィンドフロトは、光の神々の住む世界アルスキールスキンと、闇の神々が住む世界デュープルマニョールの狭間に位置するんだ。そのため神々は中間のヴィンドフロトで戦闘を始めちゃう。

 これは神話なんかじゃなく、今もずっと続いている、本当のお話。物心着く頃には、両親からずっと聞かされてきたんだ。この世界に住む人間たちは、誰もが知っていることだって。

 一応神々と人間との間に、この場所で戦ってはいけないよ、という盟約みたいなものがあるそうなんだ。だって、ところかまわずドンパチ始めちゃったら、人間死に絶えちゃうでしょ。

 でも、ボクの住んでいた村は、盟約の場所には入ってなかったのかなあ。あっけなく一瞬で吹き飛ばされちゃった。おかげで、お父さんもお母さんも、村人たちの死体すら見つけられなかったんだ。

 一人ぼっちになってしまったボクは、遊びなれたこのヒュトネンの森で、たくさんの動物たちと一緒に暮らすことになったの。

 人間は誰もいないけど、動物たちはみんな優しくしてくれたんだよ。

 ボクをいじめる子は居ないし、お腹がすいたら食べ物もとってくれる。寝るときも水浴びするときも一緒だし、言葉やいろんなことも教えてくれた。

 だから人間がボク一人でも寂しくないし、怖くなんかない。

 怖くなんかない。

 ……ナイ、はずなんだけどぉ…。

「ちょっとアナタ、あたくしが通るこの粗末な道に、獣の糞(ふん)が落ちているじゃない。なんで掃除しておかないの!」

「えっと、避けて通ればいいんじゃ…」

「このあたくしが、道を譲らないといけないというの!? ハッ! 信じられないわ? 誰に向かってモノを言っているのかしら?」

 このヒュトネンの森は、あまり人が通らないんだ。たま~にこうして旅人が通ることが、稀にあるくらいなんだけど。

 たいていは、糞なんて避けて歩いていくものだと思う。だって、ここは森だよ!? 動物たちの住む場所なんだよ!

 って、さっきから言っているんだけど、この人聞いてくれないんだっ。

「下賤の田舎者は、これだから躾がなっていないのよ」

 目の前のこの女、ボクよりちょっと年上な感じ。顔は小奇麗なほうだけど、とにかく態度が居丈高だ! 目つきもインケンそのもの!

 ちょっと濃いめなピンクの髪の毛だけど、前髪部分だけが少し色が薄くて、長い髪は縦ロール。服装も赤や黒やピンクな派手さで、都会(?)の人って、こういうファッションセンスの人が多いのかな。

 木の上でのんびり昼寝をしていたら、いきなり怒鳴られて。それで目が覚めて、地面に落ちたらこの有様なんです。

「さあ! 道を綺麗にしなさいよっ!」

 女は腕を組んで、ふんぞり返って、ビシーッとした口調で怒鳴った。

 もし逆らったら、往復ビンタくらいは飛んできそうだよう。うう…怖い。

 でもこの糞(ふん)は、アーポのものだ。この辺は自分の縄張りだぞ、という証。だから、わざとこんなところに糞を置いてる。それを知っているから、勝手にどけるわけにはいかない。

「こ、これは、縄張り宣言の証だから、そのままにしてほしいんだ」

「はぁ? なんで糞で宣言するのよ」

「だって、そういうものだもん、動物って」

「動物の理屈が、このあたくしに通用するとでも思っているの?」

 思ってません。

「つまらない屁理屈述べてないで、とっとと作業をしなさい!」

 ひいいいっ。

 どうしよう、こういう人って、絶対意地を通すよね。ボクが逆らえば逆らうほど、意地が頑固で強固になっていくんだ。

 その時、凄い殺気が風に乗って吹き抜けていった。これは、アーポの殺気だ。

「うん? なあに、この嫌な殺気は」

 女は怪訝そうに辺りを見回してる。動物の殺気に気付けるなんて、この人一体?

 ボクがちょっと首をかしげたその瞬間、茂みから黒い影が躍り出てきた。

「アーポ、ダメだよ!」

 それが友達のアーポだと、ボクはすぐに気がついた。縄張りでボクらが騒いでいるから、機嫌を損ねている。

「へえ…、実物を見るのは初めてだけど、こんなところに住んでるのねえ」

 女はアーポを珍しそうに見つめてる。

 アーポは凄まじい殺気を女に向けているのに、女は少しも動じてない。あれだけ尊大だから、ちょっとやそっとじゃ揺るがない神経なのかも。

「角が二本もあるから、モノケロスじゃあないわね。処女を前にしてこの殺気、バイコーンね!」

 バイコーン?

 ボクはアーポと女を交互に見る。

 アーポっていうのは、ボクがつけた名前。アーポもこの名前を気に入ってくれてるもの。だけど、バイコーンっていう本当の名前があったの?

「一角獣はモノケロスといって、処女を前にすると、デレデレと魅了されて大人しくなるのよ。けど、この二角獣はバイコーンといって、不純が大好きなの。ところかまわず、相手が人間だろうと獣だろうと、女とみたらアレおっ勃てて襲いかかってくるわ」

 え? えっ??

「ほぅら、殺気が変化して、どんどん発情の気が強まってきたわよ」

 女は蔑んだ目でアーポを見て、右手の甲をアーポに向けた。何をする気だろう? それに、アーポもなんだかめっちゃ興奮してきているような…。

「裁きの鉄槌をケダモノに振り下ろせ、ベフォール!!」

 ええええっ!?

 ズッドオオオオンッ! 晴れた空からいきなり大きな雷が落ちてきて、爆音と強烈な青紫色の光と共に、アーポを貫いちゃったよっ!

 耳をつんざくような悲痛な嘶きをあげて、全身から煙を噴出しながら、アーポは地面に倒れちゃった。

「ア、アーポ!」

 ボクはアーポに駆け寄って、痙攣を繰り返すその身体に触れようとしたんだけど。

「アチッ」

 火傷しそうなほど、物凄い熱くて触れない。

 元々漆黒の肌色をしているアーポだけど、光沢が失せて焦げた黒色になっちゃってる。

 この女、ボクの友達に何をしたんだ?

「なんて酷いことするんだ!」

 涙目に叫んだけど、女は涼しい顔でアーポを見下ろしていた。

「あたくしは自分の貞操を守っただけよ。それともあんた、あたくしがこのケダモノに、言葉にも出せないほどエロイことされてたら良かったわけ?」

「い、いや…それはマズイと思うけど…」

「ふんっ! 全く、未熟なフラフトストラね」

「…フラフトストラ?」

「魔獣使いのことよ」

 大仰なため息をつきながら、女はヤレヤレといった口調で言った。

 魔獣? 魔獣ってなんだろう。ていうか、えっと、アーポは動物じゃないの?

「って、あんた無自覚なの?」

 女は不思議そうに瞬いて、ボクをしげしげと見つめてきた。そして、また辺りを見回して、長々とため息をついていた。

「まあ、この森に入ったとき、やったら魔獣の気配が多いなあって思っていたのよ。そんな所にあんたみたいなコドモが一人で居るってのが、とっても不思議だったけど。無自覚なフラフトストラだったのねえ」

 高圧的な雰囲気が消えて、好奇心な雰囲気が漂いだした女に、ボクは咄嗟に経緯を話した。フラフトストラ、ってのが気になって。

 そういえば、両親を亡くしてからのこれまでのことを、他人に話したのは、この女が初めてかもしれない。人間には滅多に出会わなかったのもあるけど。昔はこの森の動物…魔獣たちには、いっぱい話したんだけどね。誰かに話さないと、落ち着かなかったから。

「そっかあ……可哀想だったわね。幼いあんたが生き延びられたのも、フラフトストラの能力があったからかも。でないと、あっという間に魔獣たちに食べられちゃってただろうから」

 え、そうなの?

 ボクが不思議そうにしていると、女は軽くため息をついた。

「あんたが動物だと思い込んでいるのは、全部魔獣。魔獣っていうのはね、神々の力の欠片が動物に憑依して、変化したものなの。――おもに害をなす魔獣は闇の神々の力、こちらが何もしなければ害をなさないのは光の神々の力。そこで転がってるバイコーンは、闇の神々の力の欠片が憑依した、なにかの動物の成れの果てでしょうね」

 ボクと女は、倒れているアーポを見つめる。

 村で飼っていた成獣した馬によく似た外見をしていて、頭部に2本の捻れた角が生えている。青みを帯びた鬣と尻尾が、とても長い。今は黒焦げに縮んじゃって、炭化しちゃってるけど。

 女が落としたと思しき雷に撃たれたアーポは、もう死んじゃっていた。

 いつもその背にボクを乗せて、森の中をたくさん走ってくれていたっていうのに。可哀想なアーポ。

「本来魔獣は人間には懐いたりしないものなんだけど、フラフトストラの能力を持つものには、絶対服従って言われてるわ」

 女はジロリとボクを見ると、人差し指でボクのオデコを突っついてきた。ツンツン痛いよ、もう!

「フラフトストラも魔術師の一種よ。こんな、誰も村を作らないようなところに住んでいたってことは、村人たちはフラフトストラの力を持つ魔術師たちだったんでしょうね」

「ボクの村の人たちが……魔術師」

「今となっては、想像するしかないけどね」

 魔術師ってものが、どんなものかボクは知らない。でも、この女の言うことが本当なら、村人もボクの両親も、変わった力を持っていたのかな。

 ピンとこないし、なんだか、複雑な気分。

「はぁ、思わぬ道草食ったけど、バイコーンの角は高く売れるから、儲けたわ」

 そう言って女はよいしょっと言って立ち上がると、いきなりアーポの角の付け根をブーツで力いっぱい踏みつけた。

「何するんだ!?」

「戦利品よ。この角お金になるの」

 さも当然、って顔でぬけぬけと。

「冒涜だ!」

「何が冒涜よ、これ魔獣なんだからイイのよ」

 角を叩き折って、女は角を拾い上げてニヤリと笑った。

 猛烈にイヤな予感が…。

「さっきから、金になりそうな魔獣の気配がわんさか漂ってるのよ。軍資金集めに、ちょっと狩りをしていこうかしら」

 ポキポキと手の関節を鳴らしている。

「や、ヤメテヨ! ボクの大切な友達なんだからっ!!」

「お黙り!!」

「ひいいいっ」

 逆らえない気迫で怒鳴られて、ボクはびびって尻餅をついた。

 静かな森の終焉…、穏やかな日々よ、友達よ、ああ……サヨウナラ。

「魔獣とは言え所詮ケダモノの本性! 燻り出せ! 凶火よ暴れろファレッグ!」

 女は右手の甲をかざすと、右手が一瞬キラッと光って、突如森が燃えだした。

 本当に一瞬で森のあちこちに火があがって、ゴウゴウと音を立てて燃えだしたんだ。そして、動物たち――魔獣たちが、猛り狂う火の中から躍り出て、女めがけて襲いかかってきた。

「ヴリシカムの爪よ、毒針とともに、哀れなケダモノに死の導きを!」

 今度は左手の甲を魔獣たちに向けて、女は叫んだ。すると、突如現れた赤い軌跡が、幾重にも空間を踊り走って、魔獣たちは地面に血を撒き散らして転がった。断末魔の声が耳に突き刺さる。

 お前は一体何者なんだ? ボクは恐怖とそう思いを込めて、女を見上げた。

 紅蓮の炎に照らされて、女の髪はオレンジ色になっていた。白い面(おもて)は揺らめく炎の影を映しながら、愉悦に浸っているように見える。

 女による殺戮は延々続き、何もできず放心状態になったボクは、友達が倒れていく様を見続けることしかできなかった。



「おーっほほほ、凄い金策になったわあ」

 ご機嫌な女の笑い声で、ボクはハッと気がついた。

「あら、気がついたのね」

 女は振り向き、ボクに無邪気に笑いかける。

 森は静けさを取り戻していたけど、木々は焼け焦げて葉もなくなって、水色の空を大きく映し出してた。辺は焦げ臭さと、僅かな水の匂いがした。

「魔獣の身体は、結構なお金になる素材でいっぱいなの。旅の資金もそろそろ乏しくなってきていたし、助かっちゃった。次の町へ着いたら売りさばかなきゃネ」

 たくさん詰め込まれて膨らむ袋を手に、女は上機嫌で笑っていた。

 あの袋の中には、友達の身体の一部が入っているのか。ボクの友達を、金儲けの材料にするなんて、なんて非道なんだろう。

 罵倒してやりたいのに、怖くて一言も出ない。ボクって情けない!

「さーってとっ、今から出発すれば、次の町へ夜には着けるわね」

 女は袋をいきなりボクに放ってきた。慌ててキャッチする。

「あわわっ」

「無くさないでよ、大金になるものが、いーっぱい入ってるんだから」

「へ?」

「行くわよ、下僕一号」

「…………はあ??」

 しもべ? 下僕ってなに!?

 不思議そうにするボクに、女はニヤリと笑みを深めた。

「あたくしの下僕に召し上げてやったのよ。感謝しまくりながら着いてらっしゃい!」

 だ、誰も頼んでませんけど!!! 下僕っていうのが、そもそも判りませんが!?

「それと、あたくしのことは、アストリッド様とお呼びなさい」

「ボク嫌だよ!」

 逆らえば怖いけど、友達を殺して森を焼いた、こんな女に命令されるなんてまっぴらだ!

「なんですって? この栄えあるスヴェンセン伯爵家次期当主たるアストリッド・グエナエル・スヴェンセン伯爵令嬢自ら、下僕に召し上げてやったのよ! 嫌がるなんて無礼の極み、光栄に打ち震えながら、感謝を垂れ流して着いてくることね!!」

 うっ…、なにこの逆らえない威圧的オーラ。

 逆らい続けたら、どこまでも追いかけて首を縦に振らされそう。

 い…行くしかないのか……ボク。

 ボクは辺りをゆっくり見渡した。

 静かで穏やかで優しかったヒュトネンの森は、真っ黒焦げになっちゃってる。友達の気配も一切ない。

 もう、ボクの暮らせる場所では、なくなってしまったんだ。

 突然訪れた不幸。幼かった頃、突然襲いかかってきた不幸ふたたび、だ。

「ほら、モタモタしない。行くわよ!」

 急かされながらボクはノロノロと立ち上がって、深々とため息をついた。

 ああ…、ボクの人生って、なんて波乱万丈なんだろう!?

「そうだわ、あんた、名前なんていうの?」

 いきなり立ち止まって、アストリッドは振り向いた。そういえば、名乗ってなかったかも。

「ヴェガルド、ヴェガルド・イプセン」

「……イプセン?」

 アストリッドはいきなり眉を寄せて神妙な顔になって、やがて驚いたように目を見開いた。

 な、なに??

「イプセンって、あの有名なイプセン一族!?」

「?」

「ああ、あんたまだ小さかったから知らなかったのね。――イプセン一族ってね、フラフトストラとしては超優秀で超有名で、ある時を境に雲隠れしちゃって、その存在は伝説級になっていたのよ。そうだったの、そうだったのねえ……。雲隠れしたんじゃなくて、吹っ飛ばされていたのね」

 複雑そうな顔をして、アストリッドは唸ってた。なんか一人で納得してるけど、ボクの両親や村人たちって、有名人だったんだ?

「魔術協会に報告しなきゃだわ。さっ、行きましょ」

「う、うん…」

 ボクはそっとヒュトネンの森にさよならをして、逆らえない恐怖を噛み締めながら、この高飛車なアストリッドの旅に巻き込まれたのでした。


episode01:「下僕一号になりました」 つづく

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category: 旅は道連れ編

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アストリッド様と「行くわよ愉快な下僕たち!」 目次 

 

アストリッド様と「行くわよ愉快な下僕たち!」

てんやわんや冒険ファンタジー
アストリッド様と「行くわよ愉快な下僕たち!」

ALCHERA-片翼の召喚士-に続く、当ブログの長編連載の第二弾作です。
シリアスなストーリですが、ちょっとコミカル面を強調し、ALCHERA-片翼の召喚士-よりメインキャラたちの平均年齢を10代に下げておおくりします(笑)
恋愛要素は薄めだけど、友情とか仲間とか、ベタな展開を目指します。
ストーリーは各キャラクター達の視点・語りで物語は進みます。この方法はほぼ書いたことがないんですが、物語が複雑に迷走していかないよう気をつけながら、チャレンジしていきますネ。
新たなヒロイン・アストリッドを、よろしくお願いしまス!

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◎大まかなあらすじ◎

アウレリア神聖国現筆頭魔術師スヴェンセン伯爵家、7代目次期当主アストリッド・グエナエル・スヴェンセンは、16歳の誕生日に当主である父から、エインヘリャル6枚を渡され、しきたりに則って、新たなエインヘリャル・コントローラを探すこと、そして自分だけのエインヘリャルを作る為の旅に出る。

人里以外は森ばかりの世界ヴィンドフロトを舞台に、魔術師アストリッドと、その旅に巻き込まれる個性あふれる面々の、楽しい(?)冒険が始まる。


● 最新話 ●


episode.07「アナタの同行を許します」語り:アストリッド

(2017/08/09)



【SNSサイトへの投稿】
当ブログだけでは日の目を見ることがなくなってしまうため( ̄▽ ̄;) 小説投稿SNSサイトへも投稿しています。携帯端末などの都合で、ブログ表示だと厳しい方は、SNSサイトのほうでも読んでいただけると幸いです。

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■ 本編 目次 ■

《旅は道連れ編》

■ episode.01「下僕一号になりました」語り:ヴェガルド
■ episode.02「またオマエか……」語り:アストリッド
■ episode.03「嘘でしょ~~??」語り:アストリッド
■ episode.04「旅に使う大きな鞄が欲しいんだけど」語り:ヴェガルド
■ episode.05「これも修行した……のか?」語り:ヘリュ
■ episode.06「アナタどなた!?」語り:アストリッド
■ episode.07「アナタの同行を許します」語り:アストリッド



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認識が甘かったかも 

 

昨日小説家になろうの運営さんからメールがきて、【ALCHERA-片翼の召喚士-】がR18に抵触する性描写シーンを含むので~という。

最近読んでくれた人から通報でも行ったのか、ひと晩たって落ち着いたら「あーそうかもねーうん」と(・ω・)

描写を消すか、作品自体を削除するか、もしくはR指定系の方へ投稿しなおすか、な感じだけど。

物語完結したし、今後リニューアル版をアップしていく予定だから、すっぱり削除しようかなと思い始める。

性描写シーンは、別にエロを楽しんで欲しくて書いてるわけではなく、物語上避けては通れないモノだから書いてるので、R15的ニュアンスで収めちゃうと、心情的に伝えにくいからメールみながらだいぶ悩んだ。

まだちょっとずつ見に来てくれる人達もいるので、惜しむ気持ちもあるけど、リニューアル版出たら宜しくですってかんじで。

そうね・・・ムーンライトノベルズ辺りがいいのかな・・・男性向け、ではない、と思うから。

あれでも描写抑えていたつもりだけど、そっち系に投稿になるなら、遠慮しなくていいんだね(ゲフ) 御大の桃色天国も載せられるか☆

あれ、小説情報で変更できないぽいから、初投稿の時に気を付けないとダメなのね。



【ALCHERA-片翼の召喚士-】をリニューアルしたいのは、なにも文章だけじゃないの。キャラクター紹介絵のほうもリニューアルしたい!w

絵柄も多少変わってきたのもあるけど、3年前のキャラ絵を見ていると、自分の中で上手く飲み込めていないな、ってのを激しく感じるんだ・・。

描くたびにメルヴィンなんて別人だし(笑)

物語が完結して、やっとコイツはこんな奴だよ、とか、それは絵柄にも出るし。

ただね、彼らの未来の物語をコツコツ書き始めているせいで、キュッリッキさんとくに、顔が初登場時の状態に描くのが、めっちゃ難しくなっている><

こういうとこは、文章のようにはいかないのが・・・。そのへんはアキラメロンデスネー。

リニューアルは文章と絵両方なので、まだ当分先になりそうです。


category: あるけら関連雑記

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怒りの自転車の思い出 

 

Instagram生活が三日で終了し、ログアウト出来ないから自分のInstagramも見に行けない不具合・・・。2段階承認やるなら初日に全部出しとけーヽ(`Д´)ノ

コトリのバイク絵とジュリア姫の絵が、結構人気ありましたね。30分で100件超えのイイネもらえてましたし。今は知りません( ;∀;)


自転車。わたしは自転車と、とーっても相性が悪いのです。子供の時から。

どう相性が悪いかというと、盗難の被害に遭いまくりなんデスネー。

覚えているだけで6台くらいでしょうか・・・。結構忘れた頃に、警察から「お宅の自転車ですか?」とか、もう新しく購入したよ今更かよ間の抜けたタイミングでしてくる空気読めよなあ? てな電話をもらうこともあった(´_ゝ`)

そういうやり取りで一番新しいもので12年くらい前かねえ。

思い出すだけでも腹が立つ、某警察署。真夏で外は暑いが、市民の税金で賄われているだろう管理費その他、身体の芯まで冷えて寒すぎて外に出て身体を温めるという、そこまで冷房かけまくって、中でひざ掛けしてカーディガン羽織る婦警とか、ナメてんのか? て真顔で迫りたいくらいの警察署に呼び出されて、そこで1時間も待たされたあの経験が!!!

カギ取り忘れとか、自分の不注意や油断もありますが、職場の駐輪場とか駅前とかホームセンターとか、一番酷いの当時住んでいたアパートの駐車場に置いてた自転車が盗まれた時だな。翌日出勤するのに大慌てだったんだから。

盗まれる度に新しく買い換えてさ、憮然とするよねえ。タダじゃないんだぞ?

盗まれてはいなかったけど、つい半年前くらい前は、スーパーの駐輪場で、自分で置いたところに自転車がナイのよ。あれ? て首をかしげて周囲を見ると、まあ似たりよったりの色の自転車ばかり。

ウチで使っている自転車は、ちょっと錆びている部分に特徴があるので、だいたい見分けはつくんだけど、元の場所から自転車8台ぶんくらい離れたところに置いてあり、風で倒れて親切なやつが置く場所を変えてくれたとか、そういう巫山戯た親切じゃあないだろうし、盗めず諦めてそこに置いたとしか考えたくない。

もしそんな無礼を働いているバカを見つけたら、手近な自転車持ち上げて、そいつの顔面崩壊するまで殴りまくってたところだよ(笑顔)

自転車盗まれたことで、バイトの面接に遅れまくったこともあるし(当然落ちた)、疲れて帰ってきて自転車なくて百倍精神的に疲労したり、買ってもらったばっかりだったものを盗まれて落胆酷かったりと(理不尽にも私が怒られる)、盗むような底抜けのクズは何も考えてないから平気でやらかしているんだろうが。

刑事罰はもっと重くしていいと思うぞ。

思い出してきてはらわた煮えくり返るわ・・。

で、なんでこんななつい話になっているかというと、中国ではQRコード管理で自転車の貸出かな?しているというニュースをテレビで見たんだよね。乗り捨ておkっぽいような。

いずれ日本にも輸入されてくる予定らしい。

自転車盗難天国だし、盗まれない・すぐ見つけられる方法を導入しているなら、そういうのは大歓迎だね。

category: ◆雑談

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