042 モナルダ大陸戦争 恋せよ乙女

色々考え、皆様からご意見やお考えを聞いて、結局これまでのスタイルでもう少し続けてみようと思う小説の掲載><!

ぶった切った下書き記事を何度も見ているとですね・・・ちゃぶ台返ししたくなる心情に蝕まれて(笑) 話も中途半端な部分で切ると、ナンダカナーって思って。

これで商売してお金を受け取っているわけではないから、自己流でいいですね。うん。


てことで、載せるのが遅くなってしまった!w

世間は戦争へ向けての開戦準備で忙しいけど、乙女はもっと身近な問題で深刻です。

初恋をしてからのキュッリッキさんは、書いてるとどんどん変わってきたな、と感じています。メルヴィンの顔もマトモに見られない状況で、一緒に旅をする乙女の苦悩を(笑)




ALCHERA-片翼の召喚士-
第四章 モナルダ大陸戦争 恋せよ乙女 042



 ボルクンド王国はモナルダ大陸のほぼ中心に領土を構えている。もともとバーリエル男爵家が皇王から領土の統治を任され就任し、何代か大人しくしていたが、やがて独立を謳って反旗を翻し、先々代の頃に自治を認められ、属国という形で独立を果たした。

 現バーリエル王は別段完全独立に固執しておらず、属国とは言えあまり締めつけのない皇国に反乱を抱く気は毛頭なかった。

 とくにエレギア地方にはエルアーラという遺跡があり、そこは皇国のアルケラ研究機関ケレヴィルが常駐し管理していたので、その恩恵を受けて国は潤っていた。

 しかしソレル王国のメリロット王から反乱を唆され、簡単に同意して連合を組んだ。

 いざ連合を組んで皇国に反旗を翻してみたのはいいものの、普段から不満があったわけでも独立思想に傾倒していたわけでもない。君主の突然に行動に、国民は驚愕を隠せなかった。それでも主が戦えというのなら戦うが、当の主が忽然と姿を消してしまった。

 主を欠いて反乱の姿勢をとったまま取り残されたボルクンド王国民は、すでに皇国第一正規部隊によりエグザイルシステムを抑えられ、どうしていいか判らずうろたえるばかりだった。

 そんな国民を哀れに思ったか、バーリエル王の嫡子であるカルロッテ王女が突然陣頭指揮に立ち上がり、第一正規部隊と戦闘になってしまった。

「そんなわけで、おれたちは直接ボルクンド王国に飛べず、ここブリリオート王国の首都バロータからエレギアを目指すことになりました」

「ちゃんちゃん」

 ルーファスの説明を受け、キュッリッキは茶化しながら締めくくった。

 エグザイルシステムは太古から各惑星に複数存在する転送装置である。エグザイルシステムのある土地に人が集まり、やがて町が興った。とくに大きな都市になるとエグザイルシステムの場所にあとから立派な建物をかぶせ、駅のようなちょっとした憩いの場も設けられている。

 観葉植物が置かれ、小さな水槽などが視覚に涼しい待合室を陣取り、キュッリッキ、ルーファス、メルヴィンの3人は向かい合ってベンチに座っていた。

 皇国の第一正規部隊が接収しているため、建物の中には一般人はいない。武装した第一正規部隊の軍人が詰めていた。

「カルロッテっていう王女が、全部悪いんだね」

 キュッリッキが腕を組み唇を尖らせて呟くと、ルーファスもウンウンと同意する。

「そうはいっても、父王と共に逃げ出さずに責任を取ろうとする姿勢は立派じゃないですか」

 肩をすくめながらメルヴィンが擁護すると、

「おとなしく降参しちゃったほうが、無用な血が流れずに済んだんだよ。メンツだとか威信だとか言ったって、巻き添え食った国民はいい迷惑なんだから」

 カルロッテ王女を擁護するメルヴィンに、キュッリッキは拗ねて正論で反発した。

「まー、キューリちゃんの言うとおりだけど、王室だとか軍人だとかは、譲れないものがあるんだよね、きっと」

 ルーファスがやんわりと間に入って、拗ねるキュッリッキの頭を優しく撫でてやった。

 メルヴィンも苦笑を浮かべる。

 キュッリッキ、ルーファス、メルヴィンの3人は、ボルクンド王国エレギア地方を目指すため、ボルクンド王国首都ヘリクリサムのエグザイルシステムに飛ぶはずだった。そこへちょうどヘリクリサムで第一正規部隊とボルクンド王国兵が衝突したニュースが届いて、予定変更になってしまった。

 どうなっているか判らない場所へ、キュッリッキを連れて飛ぶわけにもいかない。リュリュからの指示でボルクンド王国の隣国ブリリオート王国首都バロータに飛んで、遠足することになった。そしてそれは各部隊に散っているライオン傭兵団の皆も同じで、それぞれもっとも近い場所から各自エレギアを目指す羽目になっていた。

「今日はもう宿をとって、明日出発にしない?」

 夕暮れに染まる街並みを窓から眺めルーファスが提案すると、メルヴィンも頷く。

「慌てなくても大丈夫ですし、そうしましょうか」

「どうせなら良い部屋とろうぜ、旅費はベルトルド様持ちだし」

「ですね」



 エグザイルシステムからあまり遠くない場所にある5階建ての立派な宿に行くと、3人部屋は満室で、特別室しか空いてないとのことで、ルーファスはその一室をとった。しかしそれに目ざとく気づいたキュッリッキが、ルーファスの軍服をちょこちょこ掴む。

「ねえルーさん、もしかして3人で一緒の部屋に泊まるの?」

「もちろん」

 アタリマエ、という表情(かお)で言われ、キュッリッキの顔が途端に真っ赤になる。

「だ、だ、だ、だだだってだって、そんな同室とかアタシあの」

「心配しなくっても手は出さなって。んなことしたらベルトルド様とアルカネットさんから殺されちゃうしね」

「そんなこと心配してないんだからーーー!!」

 反射的にロビーで大声を張り上げ、慌てたルーファスに口を押さえられる。

「ふごっふがががが」

「取り敢えず部屋いこう部屋」

 周りの注目を浴び、ルーファスは愛想笑いを作って、口を押さえたキュッリッキを小脇に抱えて特別室を目指した。



「いいかい、キューリちゃんを守るために片時も傍を離れるなと命じられているんだ。部屋を別々にして万が一のことがあったら、おれら真っ先に殺される」

「着替えには衝立もありますし、見たりしませんから安心してください」

 ルーファスとメルヴィンの言ってることは、とっくに理解の範囲内だ。

 そんなことを心配してるわけじゃないのだ。

 ベルトルドやアルカネットと一緒に寝ることに抵抗はない。さすがに慣れてしまった。おそらくルーファスと一緒に寝るのも平気だろう。

 問題はメルヴィンも一緒に寝ることだ。

 ベッドはキングサイズで大人3人が余裕で寝られる広さがある。なのに二人に床で寝ろとは言えないし、キュッリッキが床に寝るなどと言い出せば二人が困る。

 仲良く川の字で3人一緒に寝ればいいだけのことだが。

 キュッリッキは断言できる。

 ――緊張して寝られるわけがない!

 ――メルヴィンがそばにいるだけで倒れちゃいそうなのにっ!!

 そして、そのことを言うわけにもいかない。

 メルヴィンと一緒にいられるのは心底嬉しい。でも、喜ぶ以前にそばにいるだけで顔も見られないほどなのだ。ルーファスがなにかとかまってくれるので、気も紛れてメルヴィンとも話ができている有様だ。

 ルーファスを盾にして寝れば良いかなと思う反面、変に誤解されるかもしれないという不安もある。フェンリルとフローズヴィトニルを狼の姿に戻して間に置いたらベッドが狭くなって邪魔になる。

 考えれば考えるほど、少しも良い案がまとまらない。

 全力疾走して心臓が早鐘のような状態が常に延々続いているキュッリッキは、この上一緒に寝たりしたら、心臓発作で昇天するかと大真面目に思っていた。

「ベルトルド様のお屋敷にあるベッドくらい広いですよ。これなら3人一緒に寝れるので安心ですね」

 朗らかなそのメルヴィンの言葉を聞いて、とうとうキュッリッキはぶっ倒れてしまった。



 気が付くとすでに部屋の中は真っ暗で、人の気配を左右から感じ、ベルトルドの屋敷と錯覚して寝返りをうった。

 至近距離にあるその顔はベルトルドでもアルカネットでもない。

 スヤスヤと気持ちよさそうに眠るその端整な顔は――

「――――!!!!」

 キュッリッキは盛大な悲鳴をあげて飛び起きた。

 その悲鳴にルーファスとメルヴィンもすぐに目を開け何事かと身を起こす。

 すると二人の真ん中で身を屈ませて俯くキュッリッキが、激しく息を吐いていた。

「リッキーさん大丈夫ですか!? 一体どうしたんです」

 メルヴィンが咄嗟にキュッリッキの両肩を抱くと、電撃に打たれたようにビクッと激しく反応し、キュッリッキは顔を真っ赤にしたまま失神してしまった。

「あれ? リッキーさん!!?」

 驚いたメルヴィンは、必死にキュッリッキを揺すりながら呼ぶ。

 そんな二人の様子を見ながら、ルーファスはカシカシと頭をかいた。

(キューリちゃんが同室を嫌がったのはそういうことね…)



 翌朝リュリュへの定期報告を入れるためにメルヴィンが部屋を出ている間、ルーファスはキュッリッキから相談を受けていた。

「アタシこのままじゃホントに心臓発作起こしちゃう」

 憔悴しきったような面持ちで、キュッリッキは深々とため息をついた。二度も失神して、気づいたら眩しい朝日がカーテンの隙間から差していた。

「見てるこっちは面白いんだけどネ」

「え?」

「いやっ! まああれだ、いっそキスでもしちゃえば平気になるよ、うん」

「き……」

 キス!? と唇だけ動かし、キュッリッキは耳まで真っ赤になって俯く。

「だってアタシ、キ…キスなんて……」

「キスはいいぞ~。好きな相手となら、もう天にも昇る心地よさだ。前にキューリちゃんベルトルド様にキスしてたでしょ」

「………」

 思わず憮然となる。

 キュッリッキのキス歴は、実に少ない。

 怪我で動けない時に、口移しと言う名のディープキスをアルカネットからされたのがファーストキス。

 お礼を込めて唇を押し付けただけのキスをベルトルドにしたのが2回目。

 寝ている間にアルカネットから何度もされているが、それは知らないので、キュッリッキにとっては2回だけのキス経験だ。

 挨拶のための頬や額へのキスは何度もあるが、唇を重ねるという行為はキュッリッキにとってはまだまだ未開拓に等しい。

 メルヴィンとキスをする、それを思うとキュッリッキの意識は真っ白になりそうだ。でも、全く興味がないわけではない。むしろしてみたい、と思う気持ちもしっかりある。しかし顔をまともに見られないし、触れられただけで意識が遠のく有様。

 それらを思い、前途多難すぎてため息しか出ない。

 キュッリッキが何を考え百面相を作っているのか容易く想像できて、ルーファスは吹き出したいのを堪えて話題を変える。

「それにしてもキューリちゃん、メルヴィンに告白したの?」

「告白?」

「うん。好き、って伝えたの?」

「えっと……」

 ――言われてみればしたことありません。

「そういうのって、男の人からしてくれるんじゃ………ないんだ?」

 遠慮がちに言うキュッリッキに、ルーファスは目を丸くする。

「キューリちゃん」

「はい」

「女の子から好きだって伝えてもいいんだよ。ていうか、しないと気持ちが伝わらないまま、もし他の女に取られちゃったらどうするの?」

「そんなのダメなんだから!!」

 ムキになって立ち上がるキュッリッキを、ルーファスは慌ててなだめる。

「メルヴィン相当の鈍・感だから、キューリちゃんが積極的にアタックしていかないと、キューリちゃんの気持ちに気づかないまま有耶無耶になっちゃうよ」

「……それはものすごく困るかも」

「だろう」

「でも…」

「でも?」

「でも、もしね、もし……嫌いって言われちゃったらどうしよう……」

 自分の気持ちを言って、それを断られたら? 受け入れてもらえなかったら。それを考えると一気に気が重くなる。

 マリオンやシビルに教えてもらい、自分の中に芽生えたそれが恋というものである、と理解してきた。前にヴィヒトリに治せないと言われたのは、恋とは薬で治すような病気ではないとも教わった。なので恋が死に直結していると思い込んでいた誤解は解けている。

 今まで欲しがった人の愛情などと、微妙に違う感情なのかな、とキュッリッキは感じていた。失ったときや受け入れられなかったことを想像すると、心底恐怖すら思ってしまうことがあるのだ。

 ベルトルドやアルカネットから愛されている、それとはまた違う感覚だった。二人からの愛は安心感や温かい心地よさがある。時に度が過ぎると感じることもあるけれど、失えば計り知れないほど悲しい。

 メルヴィンに対する自分の気持ちは、そんな感覚とは違う。沸き上がってくるこの気持ちを言葉では言い表せない。そして成就したときどれほどの歓喜に包まれるだろうか。だからなんとしても恋を成就させたいと強く思っていた。

「おれ、これでも恋愛経験豊富でさ。だから見てて判るよ。メルヴィンはキューリちゃんの気持ちを、一番幸せな形で受け止めてくれる」

「ほ、ほんと!?」

「うん。断言してもいいよ」

 にっこりとルーファスが笑んで断言すると、キュッリッキはほんのりと頬を染めて、自然と両手を握り締め胸に押し当てる。

(もっとも、一番の壁は、あのオヤジたちかもな)

 幸せな世界に浸るキュッリッキを見つめながら、最大の天敵を思い浮かべる。

 キュッリッキを愛してやまないベルトルドとアルカネットが、そう簡単に二人の仲を許すとは思えないのだ。

 ベルトルドとアルカネットがキュッリッキの嫌がることを進んですることは有り得ないだろう。しかし色恋沙汰となれば話は別なように思われる。

(とんでもないのに好かれたもんだ、キューリちゃんは)

 いつか衝突する日が来るだろうことを思い、ルーファスは心の中でため息をついた。



第四章 モナルダ大陸戦争 恋せよ乙女 続く



041 モナルダ大陸戦争 開戦準備

目次へ戻る


関連記事
オリジナルファンタジー小説

Comments 4

ふぉるて

おはようございます~(*^ ^*)

これはキュッリッキちゃん大変だぁ~ >ω< !
心労で痩せちゃうよ~…って、キュッリッキちゃん元々細いんだから
これ以上痩せちゃったら危険だぁ(汗)

ルーファスが間に居てくれて、良かったかも…??

これから、「天敵」二人がどんな動きを見せるのか、
こちらも気になります~~(笑)

ではでは~☆

2014-09-10 (Wed) 10:10 | EDIT | REPLY |   

ユズキ

Re: タイトルなし

ふぉるてさんこんにちわ~(^ω^)

>心労で痩せちゃうよ~…って、キュッリッキちゃん元々細いんだから

食も細いし心臓発作でぽっくり逝っちゃいますね(笑)
恋愛経験もないものだから、そういう女の子ってこんなかんじなのかなあ・・・ちょと極端だけどw そう思い浮かべながら書いてますw

>これから、「天敵」二人がどんな動きを見せるのか

きっと年甲斐もなくドタバタやってそうな気がします(笑)

2014-09-10 (Wed) 16:36 | EDIT | REPLY |   

リョウコ

読みました~

ユズキさん、こんばんわ
キュッリッキちゃん、下着選びが楽しそうだと思ったり
パンダ( *´艸`)ぶぶ に、もふもふしたりと
どんどん、可愛くなっていきますね

恋心を自覚して、必死に平静を装ってるのもかわいらしいです
良いかもと思った事はあっても
きっと、今までは
どこかで、色んな事を諦めてきたんでしょうね……

安心出来る場所、人があるって事は
凄い奇跡なのかもしれませんね

2014-09-11 (Thu) 18:23 | EDIT | REPLY |   

ユズキ

Re: タイトルなし

リョウコさんおはようございます(^ω^)

キュッリッキさんにとって、ライオン傭兵団にきてからの環境も人間関係も、全てが初めて付くしで、さらに恋愛とかずっと縁がなかったですからね~。

欲しいとはずっと思っていても、与えられるとは思っていなかったので、今が一番幸せなのかなってかんじです。

波乱や課題は山積みですけどw

物陰からストーカーのように見つめてるだけじゃあきたらない性格だから、頑張ってアタックしていってくれるはずです(笑)

彼女の行動が可愛く感じてもらえたのは、わたしとしても嬉しいですw

2014-09-12 (Fri) 06:21 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply