047 モナルダ大陸戦争 合流

駄々をこねながら、凄いことをやってのける御大です。

最近どんどんロリコメキャラに爆進していってる御大ですが、本当に凄いヒトなんですよ? 

本当にすごいから、手加減なしにやることなすことすごいです(´_ゝ`)


さらにぶっ壊れる御大は、次回に回します。


そしてメルヴィンの鈍さも極まっています。




ALCHERA-片翼の召喚士-
第四章 モナルダ大陸戦争 合流 047



 窓から差し込む日差しは橙色に染まり、客室の中を夕暮れの色に照らしていた。

 30分程泣くに泣いたキュッリッキは、泣きつかれてメルヴィンの膝枕で眠ってしまった。

 少しでもゆったりと寝やすいようにと席を譲り、ベルトルドとアルカネットの真ん中にルーファスは腰を落ち着けた。

「リッキーじゃなくなんでお前なんだ」

「男3人で並んで座るとかイヤですねむさっ苦しい」

「ちょースんマセンッ」

 オレだって嫌だよ! とは胸中で叫び、ルーファスはガックリとうなだれた。

 ソレル王国の首都アルイールで別れてから、ベルトルドは少しもキュッリッキとスキンシップも楽しい会話も出来ておらず、心底ストレスマッハ状態に陥っている。

 一方アルカネットはキュッリッキを傷つけ泣かせてしまったことで忸怩たる思いにハマり、しかしメルヴィンに慰める役を目の前で持って行かれて大層不機嫌だった。

 まさに「むっすーーー!」といった表情の上司二人に挟まれているルーファスを見て、メルヴィンは内心同情でいっぱいになっていた。

 眠りを解かれたフローズヴィトニルは、キュッリッキの足元の空いている座席(スペース)で、元気にフェンリルとじゃれあっている。

 特別室の中が異様な空気に包まれっぱなしで、外で護衛にあたっているダエヴァの二人は背中で大量の汗を流し続けた。ベルトルドとアルカネットの二人から漂う殺気と意味のわからない複雑な感情のオーラが、神経をチクチクと突き刺してくるためである。二人はサイ〈超能力〉使いゆえ敏感に感じ取りやすかった。

 そこへ別のダエヴァの者が敵襲の報を携え、すぐさま特別室内のベルトルドたちに報告された。

「敵の数はサイ〈超能力〉使いと魔法使いが40名ほどです」

「よし、俺が殺る」

 むすっとした表情はそのままに、ベルトルドは腕を組んで座したままきっぱりと言った。しかし報告にきたダエヴァの男は一瞬怯んだあと、軽く首を横に振って手振りで阻止しようとした。

「閣下の御手を煩わせるほどのことではありません」

「ヤダ! 俺が全部ぶっ殺す!」

 断固として言い張るベルトルドに視線を投げかけ、呆気に取られたダエヴァの男を憐れむように見ると、アルカネットはため息混じりに首を振った。

「やらせておあげなさい、暴れたくてしょうがないようですから。あなたがたは汽車の防御を徹底し、けしてアサシンなどの侵入を許さないように。そして、ベルトルド様の邪魔になるので、誰も外には出ないように指示を徹底しなさい」

「承りました!」

 報告にきた男は鯱張って敬礼すると、すぐさま走り去っていった。

 アルカネットは正面を向くと、冷静に指示を出していく。

「メルヴィンはすり抜けてくるアサシンを感知次第処理を、ルーファスはこの室内の防御を」

 はい、と歯切れよく答え、メルヴィンは座したまま爪竜刀を構え目を閉じた。アサシンの気配を探るために意識を集中させる。ルーファスは室内に力を張り巡らせた。

 アルカネットは斜め前方の座席に座る2匹の仔犬に視線を向ける。

 じゃれあうのはやめていたが、2匹ともおとなしく座ってキュッリッキのほうを見ている。キュッリッキに危険が迫れば、すぐさま動けるようにしているのだろう。

 キュッリッキに視線を向けると、メルヴィンの膝枕でよく眠っている。この室内にいる限りなにも危険はないだろうし、無理にメルヴィンから引き剥がせばあとでまた泣かれそうで手を出しあぐねていた。

 小さくため息をつきベルトルドに顔を向けると、ベルトルドはすでに戦闘準備に入っていた。

「あまり派手に周りを破壊しないようにしてくださいね」

「自分のことを棚に上げて偉そうに言うな!! 俺は遠慮なんかしないぞ!!!」

 不機嫌度はそのままに、車内中に轟くほどの大声でベルトルドが断言した。

 これを聞いた全ての人々が「はぁ…」と疲れたようなため息をもらしていた。



 人間で自由に宙を飛べるのは、アイオン族以外では魔法使いとサイ〈超能力〉使いだけである。もっとも魔法使いもサイ〈超能力〉使いも、宙を飛べる術(すべ)をマスターしている者に限られたが、概ね宙を飛べる者はスキル〈才能〉値が高い。

 自らをコントロールし宙を飛びつつ、移動する物体にそって飛んで攻撃を加える行動は中々に難しい。

 そうすることの出来る傭兵たちが選りすぐられて差し向けられた奇襲部隊だ。

 奇襲部隊に与えられた任務は、召喚士の少女キュッリッキを”捕えろ”だった。そこに生死が関係あるか無いかは念押しされていない。もちろん命令を下した者は、当然無傷で生かして捕えろ、と言ったつもりだった。しかし、命令が伝達されていく中で、次第に”無傷で生かして”という意味合いは消え失せ、生死を問わずと勝手な解釈で届けられてしまっていた。

 かくしてキュッリッキに差し向けられた刺客は遠慮がなくなり、こうして汽車に向かってきた奇襲部隊も、汽車を破壊し、死体を持ち帰る気満々でいた。

「元気にちょろちょろ飛びおって、鬱陶しいハエだな。本当にハエみたいだ!」

 腕を組んでドンッと座したまま、ベルトルドは目をつむって若干顔を俯かせている。

 ベルトルドの脳裏には、汽車の外を飛ぶ奇襲部隊の光景が鮮明に映し出されていた。

「どう叩き落とすおつもりです?」

「空間転移でどっかに捨ててしまうのが早いが、それだと俺が暫く鈍るからな。――そうだなあ………こうするか」

 そういって眉間に力を込める。

 室内のベルトルドにはとくに変化は見られなかったが、汽車の外では奇襲部隊たちが騒然とどよめいていた。

 宙を飛ぶ自分たちの周囲に、突如青白い光の玉が出現したのだ。

 それはかなりの数で、奇襲部隊の傭兵たちを包囲するように光っている。そして光は僅かに電気を帯びていた。

(あれってもしかして……)

 ルーファスも外の様子を透視しながら、アルカネットとメルヴィンにも映像を送っていた。

 ちらりとベルトルドを見ると、相変わらずむすっとした表情のまま意識を集中している。よっぽどストレス溜まっているんだなと判るくらいの露骨っぷりだった。

 今回のフェルトまでの汽車旅で、ベルトルドにはちょっとした自分だけのプランがあった。

 わざわざこんな上等な汽車を手配させたのも、全てはキュッリッキを喜ばせたいためであり、短い旅の間キュッリッキとイチャイチャしたい願望が丸出しだった。

 しかしキュッリッキはアルカネットによって薬で眠らされ、起きたらそのことで怒って泣いてしまい、挙句慰める役はメルヴィンに持って行かれてしまった。そして泣きつかれてまた寝てしまっている。

 イチャイチャどころか会話すらできない。ハグも全く出来ていない。

 ベルトルドの怒りとストスレはすでに頂点を突き抜けかけている。

 そんな時に逆臣軍から差し向けられた奇襲部隊。不運としか言い様がない。

「サイ〈超能力〉使いの攻撃が地味とか言ってるやつ!!」

 誰も言っていないがベルトルドは怒りを顕にした声でいきなり怒鳴る。

「こういう派手な攻撃もできると思い知れ!!」

 それを合図にしたように、奇襲部隊の傭兵たちを包囲するように漂っていた光の玉が、帯びた電気を放出し始め、周囲を稲妻の光で強く照らし始めた。

 傭兵たちは狼狽し、このあとどうなるか瞬時に想像して攻撃することも忘れて守りに入ろうとした。

「遅いわっ!!」

 その瞬間、光の玉が大きく膨れ上がって奇襲部隊の傭兵たちを飲み込んだ。

 落雷にも似た轟音が鳴り響き、夕闇に染まる空間に強烈に発光した。車窓が一瞬真っ白な強い光を照らし込んだ。

 光の玉が大きな爆発を引き起こしたのだった。

 ゆっくりと光が収束すると、宙にいたはずの傭兵たちは跡形もなく消え去っており、流れる風にほのかに肉の焼ける焦げた臭が混じっていた。

 汽車は何事もなかったように速度を緩めず、奇襲部隊の襲撃を一切受けることなく突き進んでいった。

「………」

 特別室の中では、なんとも言い難い沈黙が漂っていた。

「こんなところで大技(とっておき)を出すとは……」

「久しぶりに拝みましたねサンダースパーク……」

「オレあんな技、大規模で発動できねえよ……」

 三者三様ゲッソリとしたため息が深々と吐き出された。

 魔力によってあらゆる元素の力を作り出せる魔法使いと違い、サイ〈超能力〉使いの能力では元素の力を生み出すことはできない。しかし、自然界に漂っている力を収束して形状を変化させて扱うことはできる。

 微量単位の電気を集めて、そのエネルギー体を武器として使いこなす。それを瞬時に行える能力者は限られ、大規模に扱うことが出来るのはベルトルド級くらいなものだ。

 ベルトルドは目を開き、フンッと鼻息を吹き出した。

「あれじゃ物足りん!!」

「お疲れ様です。いいじゃないですか、大人げない大技を繰り出したんですから」

「お前が言うなお前が! イラアルータ・トニトルスで派手に街をぶっ壊しておきながら」

「効率のいい魔法を選んで使っただけですよ」

 アルカネットはしれっと言ってそっぽを向く。

「じゃあ俺だって効率化をはかったまでだ!」

 忌々しげにアルカネットを睨みながら、ベルトルドは不機嫌そうに頬をひきつらせた。

「うん……」

 そこへキュッリッキが小さく声を上げて目を覚ました。

 メルヴィンの膝に頭を預けたままのキュッリッキの目に、アルカネット、ルーファス、ベルトルドが心配そうにこちらを見ている姿が入ってきた。

 そこにメルヴィンがいないことに気づいて、そして自分が誰かの膝枕で寝ていることにも気づく。

 ――それってもしかして…

 途端にキュッリッキは全身を硬直させて顔を真っ赤にした。

 ――もしかしてもしかしてもしかしてっ!

 キュッリッキは跳ね起きるようにして膝から離れると、座席の上に四つん這いになって顔を上げた。

「大丈夫ですか?」

 心配そうに覗き込むメルヴィンと目が合い、キュッリッキはさらに顔を真っ赤にさせて全身に大汗をかいた。

 キュッリッキの頭の中では、高速で記憶が巻き返されている。

 アルカネットの腕の中から逃れたあと、メルヴィンに助け起こされて、そのあと自分がとった行動は――

 メルヴィンの胸に飛び込んで大泣きした。

 頬や手にはっきりと残る、メルヴィンの逞しい胸の感触、優しく頭を撫でられた大きな手の感触。それらを思い起こして失神寸前になる。

 嬉しいはずなのに、それを上回るほどの恥ずかしさ。

「本当に大丈夫ですか? 顔が真っ赤だけど熱でもあるのかなあ」

 硬直したまま動こうともしないキュッリッキを怪訝そうに見ながら、メルヴィンはキュッリッキの額に掌をあてる。

「うーん…熱いけど、病気の熱とは違うのかな? オレ医者じゃないから判らないですが」

 二人のその様子を遠巻きに見つめながら、アルカネット、ルーファス、ベルトルドは、

(いい加減気づけ……)

 と、酷く疲れたように内心でツッコミまくっていた。

 メルヴィンの鈍さは前々から知っていたが、ここまで鈍いとどうしようもない。というかキュッリッキが憐れでならないルーファスだった。

 可哀想なキュッリッキに助け舟を出したいと思っていても、このタイミングでどう出せばいいのかきっかけを掴めずヤキモキしていたベルトルドとアルカネットは、フェルト到着を知らせる車内アナウンスにどこかホッとしたようにため息をついた。

 
第四章 モナルダ大陸戦争 合流 続く



046 モナルダ大陸戦争 合流

目次へ戻る



関連記事
ファンタジーオリジナル小説

Comments 4

ふぉるて

こんにちは~(>ω<) わーい続きだ~♪

る…ルーさんお疲れ様です…… ><
不機嫌な上司2人の間…って…。
(特にこの二人の間では)生きた心地しないですよね……

> 「サイ〈超能力〉使いの攻撃が地味とか言ってるやつ!!」
この台詞を読んで、御大、普段言われてるのかな~?
(言われたことにストレスたまってるのかな~?) なんて想像しつつ……
凄い技を繰り出しているのに、車内での台詞のギャップがいい感じです >ω< b

メルヴィンは…鈍さに磨きがかかってますね >ω<
(あれなんか表現おかしいかも)
一斉に無言のツッコミが入った様子が目に浮かびます…(笑)


ではでは~☆

2014-11-08 (Sat) 13:31 | EDIT | REPLY |   

八少女 夕

こんばんは

「 オレだって嫌だよ! 」って、ルーファスの心の叫びでしょうね。
メルヴィンのウルトラ鈍さにもやきもきしつつ、自分に向けられてはいないとはいえ、おじ樣方の殺気も感じつつ……。

仔犬軍団も、ちゃんと心は神様モードに戻ってリッキーさんを守っているのですね。

拗ねている所に目をつぶれば、ここは御大の見せ場ですよね。とてもかっこいい……はずだけれど、今回もリッキーさんは眠って見ていないのか。この面ではとことん報われないお方です。そして、御大の怒りの大暴れはこれでおしまいじゃないのですね。次回どんなことになるのか、楽しみにしています。

2014-11-09 (Sun) 03:41 | EDIT | REPLY |   

ユズキ

Re: タイトルなし

ふぉるてさんこんにちわ(^ω^)

何かと小さな不運に恵まれてるルーファスですからね(笑)
たまたま二人の間しか空いてなかったからしょうがなかったんですが、針のむしろ状態ですw

御大に向かって地味だのなんだの言えるヒトは限られますが、概ね全体的に能力者たちの間で、サイ〈超能力〉の攻撃は地味すぎる、と魔法使いたちに陰口は叩かれてますw
御大くらいの派手さを真似するのは、かなり難しいのであまり一般的なサイ〈超能力〉使いたちにはできない芸当だったりもします。

メルヴィンの鈍感さには、周囲も呆れるレベル(笑)
あまりにも鈍すぎて、キュッリッキさんはのの字もできない有様ですw

2014-11-09 (Sun) 12:45 | EDIT | REPLY |   

ユズキ

Re: こんばんは

八少女さんこんにちわ(^ω^)

ルーファスは色々敏感、というか相手の気持ちを感じたり、仲間たちの心の動向にも敏感だったり、メルヴィンとは対照的です(笑)
いい人なだけに、それだけ貧乏くじも引きやすくw

確かにキュッリッキさんが見ている御大は、ダダこねてたりキュッリッキさんにラブラブしているところくらいなもので、カッコイイところなんてほっとんど見てもらえてないですね(笑) 言われてみるとそういえばそうだわ・・・w

次回は大爆発するけど、でもちゃんと報われるところも用意してありますw

2014-11-09 (Sun) 13:09 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply