049 モナルダ大陸戦争 合流




こないだ線画だけアップしたやつの清書絵です。

この、御大の幸せそ~な表情をよく頭にとどめながら読んでください(・ω・) な今回のお話です。

コメントのほうでお教えいただけたものがありましで、『カレワラ』というものがあることをわたし知らなくて。知らなかったのかよ(#゚Д゚)て裏手ツッコミ喰らいそうですが、思いっきり知りませんでした。そして『キュッリッキ』というピアノ組曲があるのも当然知らなくて(/ω\*) あんまり馴染みのない名前とか思っていたけど、実は思いっきり有名な名前だったのか・・・不勉強すぎた(テヘ)

どのようなものか調べて読んでみると、実におもろい男が出てきます。レンミンカイネン。島の女を篭絡し全ての女に手を付け、太陽と月と星の神の愛にも靡かない名家の令嬢キュッリッキを拉致して無理矢理妻にする豪胆な美青年。超要訳すると?w

このキャラ知っていたら、間違いなくベルトルドのキャラクター性変わってたなあ、て思います(笑) イメージ的にベルトルドとヴァルトを足して割ったような男、て感じなんですよね。

煩悩の赴くまま突っ走るベルトルドとかけっこう楽しそうだけど、もうそうなったら当初の悪役イメージも吹っ飛んで、ただのおもしろキャラに成り下がるから、知ったのが今で良かったかもです(笑)

ちなみにキュッリッキを妻にしたあと、また別の女にプロポーズしにいく不届きものです(笑) 女に走ったり死んだり生き返ったり、まあ・・・一生死んどけ、て思うような男デスネ。





ALCHERA-片翼の召喚士-
第四章 モナルダ大陸戦争 合流 049



 自分で自分を褒めてやりたい。よくぞ堪えた。

 そうアルカネットは心の中で呟くと、くっきり隈の浮き出た顔で前方の空間を睨みつけてベッドを降りた。爽快な朝日もただ鬱陶しく感じる。

 すぐに洗面所へ行くと、歯と顔を洗って髪を整え、軍服に着替え鏡の前に立つ。身なりをチェックして険しい表情はそのままに部屋を出ると、向かい側の部屋のドアをノックもせずに勢いよく開いた。

「さあさあ朝ですからさっさと起きてください!」

 いつもよりも大声で怒鳴るように言うと、ベッドの傍らに立って主を忌々しげに見おろした。

「五月蝿いやつだな全く。もうとっくに起きている」

 アルカネットに背中を向けた格好のまま、身じろぎもせず呆れたようにベルトルドが答えた。

「まだ寝入ってそんなに経ってないんだ。もうちょっとゆっくり寝かせてやれ。どうせ今日はすることがない」

 腕の中で小さく寝息を立てる少女を愛おしむように見つめ、ベルトルドは息をついた。

 そんな様子をさらに憎々しげに見やり、アルカネットはますます表情を険しくした。

「リッキーさんにおやすみいただくのは一向に構いませんが、あなたはさっさと起きてください。そしてとっととリッキーさんから離れてください」

「どうせ俺もすることがないし、一緒にもうちょっと寝る」

 なおも言い募ろうとするアルカネットに、

「あとは任せた。これ、命令」

 と、すっとぼけた口調でさらっと釘を刺した。

「ぐっ………」

 命令と言われてしまうと、さすがのアルカネットもそれ以上反撃できなかった。

 これが軍に入る前なら命令と言われても聞く耳持たず、でよかったが、現在は軍所属の身である。ベルトルドは上官なのだ。

 両手を固く握り締めてなんとか自らを抑え込み、無言で部屋を出ていった。

 アルカネットが出て行ったあと、ベルトルドは苦笑を浮かべて口の端を歪めた。

 意外と律儀なところがあるので、命令、と言えば言う事を聞くのは判っていた。

「せっかく二人きりなんだからな、邪魔されたくない」

 つぶやくように小さな声で言うと、腕の中の少女を見つめた。

 騒々しいアルカネットの声にも目を覚まさず、ぐっすりと眠っている。泣きはらして目元が少し赤らんでいるのが痛々しく見えた。

 今はどんな夢を見ているのだろう。せめて夢くらいは楽しいものを見て欲しいと願わずにはいられなかった。

 親を亡くしたり生き別れてしまったことも、とても悲しいことだ。しかし、捨てられて、捨てられた理由を知っていることもまた同様に悲しい。

 キュッリッキの場合はそれだけではなく、片方の翼が奇形で今もまともに育たず空を飛べない。本来飛べるのが当たり前の種族に中に生まれていながら、それが生まれた瞬間から無理なのだ。そしてそのことで迫害を受け、誰ひとりいたわってくれる者もおらず、孤独の中を生きてきた。

 唯一の心の支えはアルケラとフェンリルだったと言う。

 召喚スキル〈才能〉を持たない者には無縁のものである、神々と幻想世界の住人たちが暮らすというアルケラ。人間ではなくそんな人外のものが支えだったことが、キュッリッキが孤独だったことをより物語っていた。

 ベルトルドは以前ルーファスとメルヴィンに向かって、

「お前らを心の中から徹底排除し、リッキーの中の一番はこの俺が取る! 俺だけを望み、俺だけを求め、俺に全てをさらけ出すくらいに教育してみせるぞ!」

 と宣言したことがある。

 今もその気持ちは寸分も変わっていない。キュッリッキの心の中を、自分のことでいっぱいに満たしたいと思っているのに。

「どうしてメルヴィンに惚れたりしたんだリッキー……」

 まさか慕う程度が初恋に急展開するなど予想外のことだった。それも激鈍(げきにぶ)なメルヴィンにである。

 メルヴィンは顔も性格も良いとベルトルドも思う。そこは認めてやる。しかし恐ろしい程鈍いのだ、色恋沙汰に関することには徹底して。

 あれほど目の前で顔を赤らめたり挙動がおかしかったりすれば、気づいて意識するだろうと。そして髪型や顔つきが変わっていれば、何か心境の変化があったのだろうと気づいていいはずなのに。

「どうしてあそこまで鈍くいられるのか、不思議でならないんだ…」

 こんなにキュッリッキに想われているというのに、ケシカラン! とベルトルドはそこがより不満だった。

「女のことに関しても鋭すぎる俺ではなく、鈍ちんなメルヴィンに惚れるとか、リッキーもまだまだ子供というわけだ」

 拗ねた声で皮肉を言うと、キュッリッキの細い顎に指を添える。

「俺は、男なんだぞ?」

 メルヴィンには異性として意識をし、ベルトルドには父親のように慕いなつく。それが悔しくてたまらない。

 ”男”として見て欲しいと切に願っているが、”父親”のように慕ってくれているからこそこうして無防備に身をあずけてくれるし甘えてくれる。額や頬にキスもさせてもらえるし、ハグしても頬ずりしても許される。

 だがここで押し倒して無理矢理抱いたりしたら、心底嫌われてしまうだろう。口も聞いてくれないなどというレベルでは済まない。ベルトルド自身の一時の欲望は満たせても、そのあとは地獄を見るのは明白。今以上に心も傷つけてしまう。

「でも、一度くらいはいいよな?」

 ぐっすり眠ったままのキュッリッキの顎を指でクイッと上げ、ベルトルドは顔を近づけた。

 愛しい少女の柔らかな唇の感触をもう一度味わいたくて、お互いの息が触れるところまで近づけた。が。

「………いや、ダメだダメだ」

 慌てて顔を離すと、はやる気持ちを鎮めるために長く息を吐き出した。

「こういうのはフェアじゃない」

 どうせならキュッリッキが目を覚ましている時に、堂々とキスしたい。舌を絡ませ合い濃密な大人のキスを教えてやりたかった。しかしそれを考えると余計悶々としてきて、雑念を振り払うように頭を振った。

 自制心をフル出動してどうにか抑えると、ベルトルドの葛藤を知らず眠る少女の寝顔に再び触れる。

「俺という世界一素晴らしい男が、先に愛の告白をしたんだぞ」

 言い聞かせるようにゆっくりと呟く。

 指先に感じる柔らかな肌の感触、それだけで愛おしさが奔流のごとくこみ上げてくる。

「初恋は所詮麻疹のようなもの。すぐに俺に惚れ直すさ」

 自分に言い聞かせるように何度も頷き、もっと自分のほうへキュッリッキを抱き寄せると、頭にキスをして目を閉じた。



「だ……大丈夫ですか、アルカネットさん」

 ルーファスは遠慮がちに声をかけるが、アルカネットは隈の浮き出た顔を不機嫌に歪めたまま、無言でスープをすすっている。

 朝食をアルカネットと食べながら、ライオン傭兵団の皆は生きた心地がせず青い顔で無理に朝食を胃に流し込んでいた。昨夜のうちに朝食は仕込んであったようで、起きて食堂へ顔を出すと人数分の朝食がしっかりと用意されていて恐縮してしまった。なのでその朝食を回避することもできず、全身から冷気を吹き出す機嫌の悪いアルカネットとともに朝食を食べているのだった。

 食堂には霜が降りたような冷ややかな空気が漂っていた。外は良い天気でそろそろジワジワと暑くなり始めているのに。自然の熱をも寄せ付けないほどの冷気である。

 ルーファスの声にも反応を示さず、黙々と皿の中身を消化していくだけの作業を繰り返し、朝食を食べ終わると無言で食堂を出て行ってしまった。

「ぷはー………味がしねえ」

 ルーファスは大仰にため息を吐き出すと、背もたれにだらしなくもたれかかった。

「美味しいんですが、何を食べても冷たく感じるのが怖いですね」

 ぬるくなった紅茶のカップを口に運びながらカーティスが呟くと、無言でシビルとメルヴィンが頷いた。

「ベルトルド様とキューリちゃんがまだ降りてこないけど、寝てんのかな?」

「キューリさんは普段早起きですが、どうなんでしょう」

「まさか………あのおっさん、ついに手を出しちゃったんじゃ…」

 肩をすくめてルーファスが言うと、

「それであんなに怒っているんですかねえ……」

 カーティスが眉を寄せて渋い顔をした。

「いくらなんでも、そこまで節操無いとは思いたくありませんがっ」

 シビルが上ずった声で言うと、

「リッキーさんがそんな軽はずみな行為を許すわけがありません」

 怒った声でメルヴィンがカップを叩きつけるようにテーブルに置いた。

「まあ、下世話な詮索もなんですから、ルーファス、ちょっと部屋を覗いてみてくれませんか」

「あいあい」

 ルーファスは目を閉じ意識をこらす。

「ベルトルド様がキューリちゃんをしっかり抱きしめて、二人共ぐっすり眠ってるー」

「ベルトルド卿は低血圧ですからこれ幸いに寝ているんでしょう。キューリさんは体調でも悪いのかな?」

「昨日散々寝かされてたから、それで寝付くのが遅かったんじゃないかな」

「体調が悪いんじゃなきゃ良いです。ただあまり寝すぎると今日の夜も眠れないと困りますし、昼前には起こしにいきましょう」

 ルーファスとシビルが頷くと、カーティスはちらりとメルヴィンを見た。

 むすっと黙りこくって空の皿を睨みつけている。その様子にカーティスは小さく苦笑を浮かべた。

 団の中でも良識で、よく気づいて相手のことを思いやることのできる男だが、何故だか恋愛に関しては疎い。鈍すぎるとさえ思えるほど気づかない。

 それは他人のことでも、そして自分自身のことでも。

 キュッリッキがナルバ山で大怪我をしてからずっと彼女につきっきりできていたが、その間にキュッリッキに想いを寄せるようになったんだろうことは、ベルトルド邸での不本意合宿が始まってからすぐに判った。カーティスだけではなく、他のメンバーたちもすぐに判るほど露骨に。

 それなのに、メルヴィンよりもあからさまに態度に出ているキュッリッキの想いに、少しも気づいていないのがどうしても不思議だった。

 メルヴィンが気づいてしまえば、二人は間違いなく相思相愛になれるというのに。

 そうなれば、万難――ベルトルドとアルカネット――を排してでも応援するつもりだった。

 ザカリーもキュッリッキに気があるのは判っているが、正直そちらは見込み薄だとカーティスは見捨てている。キュッリッキにその気が全くないのだから、応援などして下手な期待をもたせるほうが残酷というものだろう。

 キュッリッキほどの美少女は稀だし、どこか影のある、そして稀中の稀な召喚スキル〈才能〉を有した少女はとても魅力だ。かわいそうなくらいペッタンな胸と色気のない身体を抜かせば男が放っておかない。

 あまり団の中でメンバー同士が色恋沙汰で揉めるのは好ましくないが、不器用に相手を想い恋心を膨らませる二人のことは、心から応援してやりたいとカーティスは思っていた。

「ああ、そういえば、他のみんなはどのくらいでここへ到着するんでしょうね?」

 ふと思い出したようにシビルが問いかけた。

「今日明日には全員到着するんじゃね? 敵さんに襲撃されたりすることはないだろうしさ」

 ルーファスが頭の後ろで両手を組みながら答える。

「ギャリーやガエルは大丈夫そうですけど、若干一名、危ないのがいるのが……」

「あー………」

「確かに、激しく心配ですねえ」

 シビル、ルーファス、カーティスは揃って腕を組んで唸った。

 危険がなければあえて自ら危険に飛び込み、困難がなくても困難を引き連れてきて楽しむ金髪の格闘バカ。

「ベルトルド卿が怒り出す前に到着してくれることを祈りましょう」

 他人事のようにカーティスはため息をついた。



 ぼんやりと目を開く。すると妙に目が腫れぼったく僅かに痛い。視界も滲むようにして見えづらく、キュッリッキはごしごしと目をこすった。

 何度も目を瞬いて身体を動かそうとするとあまり動かない。

「……?」

 顔を上向けると、そこにベルトルドの寝顔が見えて、ようやく自分がベルトルドの腕の中に押さえ込まれていることに気づいた。

 無理に首をひねってベッドのサイドテーブルに置かれた時計に目をやると、針は午前10時を回ったところだった。

「やだ、もうこんな時間」

 早起きが常の習慣なのに、えらい寝坊してしまった。

 キュッリッキはベルトルドの腕から抜けようと試みたが、強固な檻のようにガッシリと身体を抱きしめられてしまっている。

「んもー、ベルトルドさん起きてえ」

 胸をドスドス叩くが眠りは深かった。

 毎度のことながら何故こうも起こすことが大変なんだろうこのひとは、とキュッリッキは肩を落としたが、これではトイレにも行けない。

 行きたいと思うと早く行きたくなるもの、さっさとベルトルドから解放されねば。

「ベルトルドさん離して、もれちゃうー」

 腕の力は緩まない。

 かくなるうえは。

「ごめんね、でも緊急事態だから!」

 キュッリッキは僅かに腰をひくと、思いっきり片方の膝を振り上げた。



 突然股間に激しい痛みが走り抜けてベルトルドは跳ね起きた。

 声にならない声を発しながら悶絶し、ベッドに突っ伏して痛みに耐える。

 一体何故股間がこんなに痛いのか、ベルトルドは訳も分からず涙を堪えた。

「ふー、すっきりしたあ」

 ご機嫌でホッとしたようなキュッリッキの声が聞こえ、ベルトルドはベソをかいた顔を向けた。

「リッキー……」

「あ、ベルトルドさんおはよー」

「股間がな……猛烈に痛いのだが……」

「ごめんなさーい………、ベルトルドさん中々起きてくれないから、思いっきり膝蹴りしちゃったの」

 てへっと首をすくめてぺろっと舌を出す。

 悪びれないその可愛い仕草もいいのだが、さすがにこれはキツイ。

 男の股間を蹴り上げる行為が、相手にどれほどの苦痛を与えるかなどキュッリッキには想像もつかない。

「ちなみに、こんな芸当どこで覚えてきたのかな?」

 苦しげに微笑みながらベルトルドが問うと、

「ルーさんに教わったの。痴漢撃退方法でもっとも有効なんだって。男の人にはばっちり効果が現れるからオススメって言ってたよ」

 どこか得意げなキュッリッキに、精一杯微笑みながら、ベルトルドは心の中で拳をこれでもかと握り締めていた。

(ルー………ぶっ殺す)

「さすがにもう起きてくださいお二人とも!」

 そこへ乱暴に扉が開いてアルカネットが顔を出した。

「おや、起きていらしたんですね」

「おはよう、アルカネットさん」

「おはようございますリッキーさん」

 キュッリッキに優しく微笑むと、ベッドのうえでうつ伏せに悶絶しているベルトルドに冷たい視線を送る。

「おなかでも痛いんですか?」

「いや……ちょっと」

「アタシが思いっきり股間を蹴っちゃったから痛いみたい……」

「………」

 その言葉にアルカネットの表情が、一気に同情的に塗り変わっていった。

「蹴られたことは不幸な事故でしたね…。さあ、昨日のお部屋で着替えていらっしゃい。朝食も用意してあるので、ちゃんと召し上がってくださいね」

「はーい」

 キュッリッキは元気に返事をすると、パタパタと小走りに部屋を出て行った。

 その後ろ姿を見送って、アルカネットはベッドに腰掛けた。

「何をしたんですか」

「何もしとらん!!」

 ベソをかいた顔で思いっきり怒鳴るベルトルドを、アルカネットは疲れたように見やってため息をついた。

「回復魔法頼む」

「はいはい」



 ベルトルドが股間の痛みに涙を流している頃、ソレル王国首都アルイールにある王宮に仮設本部を築いて、ブルーベル将軍、第一正規部隊、リュリュらは陣取っていた。

 第一正規部隊の長エクルース大将は、ボルクンド王国首都ヘリクリサムで起こった暴動を鎮圧するため自ら出向いて留守にしている。

「カルロッテ王女に指揮されたボルクンド軍は、だいぶ指揮が高まって威勢が良いようですねえ」

 つぶらな瞳を真ん丸くしながら、ブルーベル将軍はため息混じりに肩を揺すった。

「そうなのよね。あの大年増に指揮官として才能があったとは思わなかったけど」

 両手を腰にあてながら、リュリュは呆れたように目を眇めた。

「まあ、閣下のご指定の期日までには配置も完了しそうですが」

 8月10日にソレル王国、エクダル国、ボルクンド王国、ベルマン公国の首都で一斉に狼煙を上げる予定になっていた。

 7月29日から海上戦力、一部先行部隊、物資などの運搬は開始されており、8月3日には正式に全軍が出撃している。

 8月5日の現在各国への移動はすべて完了していたが、敵国へ乗り込んでいるので陣を取るための場所の確保、偵察、情報収集、命令系統の調整、各部隊との連絡・連携など、やることがいっぱいあり、行けばすぐ開戦するというわけにはいかなかった。

「それに我が軍はこれほどの大規模戦争の経験がないですからねえ、そこが色々と心配です」

「現地での略奪、婦女暴行、無差別殺人、やるなと言ってもやるバカは必ずいるでしょうし、一応警務部隊と尋問・拷問部隊の連中を各軍に配置しているから件数だけは減らせるかもね」

「綺麗な戦争などというものはありませんが、出来るだけ余計な怨念は振りまかないように心がけたいものです」

 ブルーベル将軍の言葉にリュリュは頷いた。

「ところで閣下のほうは、つつがなく進んでおるのでしょうか?」

「ええ、無事小娘と合流してフェルトに着いたようだし、ライオン傭兵団の連中も数日で全員揃うと思うわ」

「閣下とご一緒なら、あの可愛らしいお嬢さんも大丈夫でしょう」

「あら、将軍はあの小娘がだいぶお気に入りのようね」

 ちらりとリュリュは大きな白クマの将軍を見る。

 ブルーベル将軍は愛嬌たっぷりの笑みを浮かべ、大きく頷いた。

「なにせあんなに嬉しそうにトゥーリ族に抱きついてくるアイオン族などいませんからな。それに、あのお嬢さんは間接的にわしと浅からぬ縁があるのです」

「あら?」

「お嬢さんが所属しているライオン傭兵団に、ガエルという男がおるでしょう。あれはわしの親類なのですよ」

「まあ、それは驚いたわ」

 本当にびっくりしたようにリュリュは垂れ目を見開いた。

「わしの妹の息子なのです」

 にこにこと嬉しそうである。そんなブルーベル将軍を見やって、リュリュも微笑した。

「お嬢さんのほうは遺跡でしたね。相当厄介な遺跡だと伺ってますが」

「1万年も前のものだけど、完全な形で生き残っていて、機能の全てもまだ生きているから」

 そこを乗っ取り立てこもっているソレル王国のメリロット王。

「でも、ベルトルドとアルカネットが一緒だから、大丈夫よ」

 確信と自信に満ちた声でリュリュは言うと、妖しい笑みをより深めた。


第四章 モナルダ大陸戦争 合流 続く



048 モナルダ大陸戦争 合流

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Comments 6

ふぉるて

こんばんは~(*^ ^*)

……えと…。なんだか御大がとっても不憫だと思ってしまいました…(;ω;) ホロリ
(でも緊急事態もどうにかしないといけないし… ><;)

『カレワラ』というのがあったのですね。知らなかった~ >ω<
ウチのキャラも、どこかのお話で同じ名前がありそうだなぁ~…(考)

涙腺の記事もこちらにしますです~
『Story』をyoutubeで聞いてみました~ >ω< ノ” 日本語と英語
日本語版のサビの部分はテレビで別の人が歌っていたのをちょこっと聞いたことがあったのですが…
通して聴くと、いい曲ですね~♪
英語版…声が曲と合うのでしょうか~…なんだか、歌詞を理解できなくても、訴えてくるものがありますね >ω< ”


自分も最終話を書きたくて頑張ってる所もあるので…途中を端折りたくなる時があります~(笑) >ω< ” てへ
(まだまだ書けない~~ orz)


ではでは~…☆

2014-11-29 (Sat) 23:12 | EDIT | REPLY |   

suzune

今日は。

色々と楽しそうな情報が!!(↑も含めて)
TOP絵も変わって直ぐに気付いて「可愛い♪」と思いつつも、ウチもストック切れで読み投げしておりました^^;
今日も久しぶりのお天気だったり、親の年賀状刷ったり(自分トコ全然^^;)何かせっかくの休みなのに何も出来ずにこの時間。今から頑張って書きますが、その前に!
↓の説明も「おお!凄い!!」と、眺めつつ感心しておりましたが、私的にはやはりこのカラーに
「私の(誰の?)おっさんが、おっさんが、おっさんがぁ♪」
もう萌え萌えなんですがぁ(爆)
で、何気に読んでて御大には悪いが何か笑っちゃった♪
お父さん的信頼は裏切れないよね~(切な気)
そうそう、初恋はニブちん相手にどうなるかまだ分からないし?でも、お父さんに恋愛感情も中々困難な気もしますが^^;ええ、ええ、私はどんな形になっても応援しますよ。御大を! おまけに幸せな?眠りから覚めたら……(爆)
いえ、でもね、分かるよ。おっさんの独占欲発揮できる一番の不毛……いえ、幸せな時間だったんだものね♪
報われないおっさんに乾杯!

あっ、御大の設定はこれで正解ですよ! 知らなくて良かったです。その御大だったら私はここまで入れ込んでないと思います(笑)

それと、私もラストとか、ある場面をどうしても書きたくて書き始めるの多いです。もう、そればっかり。
やっぱりラスト書きたい作品って頑張ろうって意欲が強く働くんですよね♪

で、来週は例の映画行って来ます^^/
楽しみ♪

2014-11-29 (Sat) 23:30 | EDIT | REPLY |   

八少女 夕

こんばんは

リッキーに何かを教える人は、注意しないと(笑)
こんな所で応用しちゃ、あまりにも御大がかわいそう。

なんとシロクマさんとクマさんは身内だったのですね。
ハギたんのイラストがあまりにもラブリーなので、この調子で三人並ばれたらリッキーでなくても抱きつきたくなりますよね。でも、三人ともラブリーなだけでなくてものすごく強いのですよね。

リッキーとメルヴィン、周りは全員「相思相愛じゃん」と思っていても本人たちだけがよくわかっていないのですね。御大には悪いけれど、まずはリッキーの初恋成就してもらいたいなあ。あ〜、そりゃ、そのうちに彼にも順番回ってくるといいですけれど。アルカネットさんにはまわってこなくていいかも。あんなことしたし。(まだこだわっている)

別記事の話ですみませんが、私は最終回、書きたい時に書いちゃってます。基本的に一番重要なシーンから書いていくので、最初に最終回を書くことも多いです。順番に最初から書こうとするとどうでもいいシーンでつまづいて、何ヶ月も経ってしまい、いざ一番書きたいシーンを書こうとしても熱が薄れていることもあるんで。発表はもちろん最後になりますが。

2014-11-30 (Sun) 04:52 | EDIT | REPLY |   

ユズキ

Re: タイトルなし

ふぉるてさんおはようございます(^ω^)

ええ、あんだけシリアスにろまんちっくに突き進んで、数時間後股間に膝蹴り食らってますからね(笑)
ナマコ事件(笑) で自慢のブツをナマコ=グロテスクと泣かれるし、いまいち決まらない御大。
人一倍努力しても、報われない体質です☆

StoryはEXILEのATSUSHIや徳永英明などが歌ったことがあるみたいだし、かなりヒットしたそうなので誰かが歌っていたのを聴いたのかもしれませんねw
このひとのハスキーボイスは聴いていて疲れなくていいですよね。時々かすれるような歌声をしているひとの歌を聴いていると、こっちが息苦しくなることがあるしで(笑) 実は宇多田ヒカルは聴いていて息苦しくなってくるので声は好かなかったり。曲はイインデスケドネ。
わたしは歌詞より曲でハマる派なので、サビメロディがくちりかるひっとしてヤバいですw

拙い物語でも最後には花を飾ってくれるだろうな?w な内容を温めているので、最終話書きたいですねえw たとえ端折っても、なんのこっちゃ・・・て判らんだろうけど(笑) ネタ明かししたくなるから途中を早く書き上げないと~でございます><

2014-11-30 (Sun) 05:24 | EDIT | REPLY |   

ユズキ

Re: タイトルなし

suzuneさんおはようございます(^ω^)

ふふふ、わたしもsuzuneさんの作品の一読者ですので、続きいつも楽しみにしておりますw ウチに比べはるかに更新が早いので、お家のことやお仕事などあるのに大変だな~って思いつつも、まだかなまだかな(*'-')て待っておりますw

幸せそうな表情でキュッリッキさんを抱きしめてご満悦ですが、このあとが(笑)
御大はねー・・・兄貴気質、父親気質がにじみ出ているヒトですから、判るひとには本能で嗅ぎつけられちゃうので(笑) 男女の甘いロマンスに発展しにくいんですよー><; 社交界の御婦人方にはムラムラしてもらえていたのに。
ある意味御大も試練ですよねw
キュッリッキさんの乙女モードは現在メルヴィンにロックオンしちゃっているから、それを外して振り向かせるのはきっと大試練(*'-')
これがハーレクイン小説だったら間違いなく報われるんですけど(笑)

>あっ、御大の設定はこれで正解ですよ!

あははw 御大の設定、実は当初は「すげーヤな奴」だったので(笑) たぶんそれを採用して書いていたらチョー嫌われそうですw レンミンカイネンモードでいっていたら、本当にただのバカですよね・・・w 煩悩の赴くまま、尻拭いは母親!w 死んで生き返っても懲りてないところがヤバイです(笑)

早くカッコイイ御大をお見せできればと思いますw

最終話が思い浮かぶオリジナルって、この小説が初なのです実はw だいたいきちんと内容も固まらないうちから書き出して、結局方針が見えなくなって中断>オクラ入りw とかそういうパターンでやっていたのです><;
なので筋もラストもきちんと思い描けているこの小説は根性で最後までしっかり書きたいと思いますw

>ある場面をどうしても書きたくて書き始めるの多いです

書き進めて目的の場面に到達すると、物凄く熱がこもって文章にも力入ってますよねw 今更新中断している【Counter Attack】なんかまさにそれです><w

早いなあ・・・もう1週間切ったなーNARUTO映画w
ネタバレ大歓迎なので、観てきたら是非感動をいっぱい教えてくださいましw TVのほうも特別編放映になりますね~。本編のちょー面白い部分に突入してきたから「えー」て気分だけど・・・w
わたしいつ観に行こうw

2014-11-30 (Sun) 05:47 | EDIT | REPLY |   

ユズキ

Re: こんばんは

八少女さんおはようございます(^ω^)

キュッリッキさんは物凄く天然素質バッチリなので(笑) 時々やることなすことダイナミックですww
御大の股間に巣食っていたナマコは退治されていると本気で思っているので、何故そんなに痛いのか判っていません(*'-')
実はキュッリッキさんが膝に異物を感じたという描写を入れるかどうしようかすごく悩んだんですけど・・・せっかくの前半の御大のムードを完全にブチ壊すので控えました・・・w

>三人ともラブリーなだけでなくてものすごく強いのですよね

カンフーパンダとかいますしね(笑) でも実はハギたんは文官なんですよw 護身心得くらいはあるんですが、実戦向けスキル〈才能〉持ちではないのですw ブルーベル将軍は戦闘スキル〈才能〉ですが。
でも、ハギたんは見た目が最強なので、ある意味3人の中で一番ですw

御大にとっては、最優先事項はキュッリッキさんの幸せを願うことなので、メルヴィンと成就して欲しいという親心と、自分とラブラブになってほしい男としての願望の板挟み中です><
アルカネットは自分の心の赴くままで、キュッリッキさんを第一に考えているようで、実は自分のほうが最優先なところがありますしね、鬼畜キャラなので(笑)

>いざ一番書きたいシーンを書こうとしても熱が薄れていることもあるんで

すごくよく判ります><!
思い浮かべているときって、脳内演出がそれはもう盛り上がって凄いんですけど、時間が経つと冷めていくんですよね~。
ちゃんとは書いていないですが、セリフとかどんな感じか、というのはメモのようにしてテキストに打っておくようにはしている感じですねわたしの場合w
でもその半数が不採用になってます(笑) 途中で思いついた設定とかをすべり込ませると、当初考えていたそうした場面が不適切になってしまったりってことがわりと多くて・・・w 実は3章がまさにそれ状態がひどかったです(/ω\*)

なんだーかんだー、もう丸1年書いているんですよね【ALCHERA-片翼の召喚士-】(笑) 別に急いで終わらせる必要は全然ないですが、まだまだ終わりそうもないので、気長にお付き合いくださいませヽ(・∀・)ノ

2014-11-30 (Sun) 06:06 | EDIT | REPLY |   

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