ALCHERA-片翼の召喚士- 特別小咄:コッコラ王国の悲劇《3》

今回いよいよコッコラ王国軍とハワドウレ皇国軍がぶつかります。何げに最後の伏線しておいて、次回回収に。

最後のシーンをマンガで描く予定だったけど、それ終わって小説となるとまた日数かかりそうだったのでまた今度!w




ALCHERA-片翼の召喚士-
特別小咄:コッコラ王国の悲劇《3》



 コッコラ王国に無事雇われたライオン傭兵団は、無為に5日間暇を持たされた挙句、一先ず他の傭兵団の指揮する班に配属されることになった。

 傭兵団からフリーの傭兵たちまで、総勢3万人もの傭兵たちが、莫大な報酬金を成約されコッコラ王国に雇われていた。その傭兵たちを統率するのは傭兵たち自身に任せることにしたのか、比較的大きな3つの傭兵団が代表に選ばれ、その指揮下に師団レベルの人数で割り振られた。

 ライオン傭兵団は《夜明けの孔雀》傭兵団の指揮下に配属された。

「ウチもなかなか可愛いネーミングだと思ってましたが、上には上がいらっしゃいますねえ」

 吹き出したいのを嫌味で堪えながら、カーティスは通達書を見ながらニヤニヤしていた。

「《夜明けの孔雀》傭兵団ね……どうして夜明けなのかツッコミたいところだが、ウエケラ大陸じゃ有名な傭兵団だぜ」

 苦笑しながらギャリーがぼやく。

「有名どころも報酬に釣られて駆けつけてきたんですね。とにかく破格過ぎますから。で、ウチも例外に漏れず組織だって動くことになるんですか? カーティスさん」

 ギャリーの膝の上にちょこんと座っているシビルが首をかしげる。

「コッコラ王国側も《夜明けの孔雀》傭兵団側も、そんな面倒なことは望んでいないようでした。戦闘配置の場所指定だけは守って、そのあとは勝手にしろってかんじでしたねえ」

「うは、いよいよもって適当感漂いすぎますね……」

 シビルは不安そうにガックリとうなだれた。

「下手に指揮されてお行儀よく戦闘しろと言われてもぞっとしませんし、好きに戦えるのは我々にはありがたいですから」

「そーそー。売名行為は目立たなくっちゃ~」

「それ、言い方露骨すぎっ」

「丁寧に言い換えても、やることわぁ~、売名行為だも~ん」

 ザカリーにつっ込まれてマリオンは肩をすくめながらも、楽しそうに微笑んでいた。

「なーなー、誰が一番首をとれるか、ショーブしよーぜショーブ!」

 ヴァルトが床にゴロゴロ転がりながら叫ぶ。

「ボクが当然一番だろうね、キミたちには悪いが」

 いち早く反応したタルコットがうっすらとした笑みを浮かべながら、挑戦的な視線を仲間に向ける。ヴァルトと双璧を成す美貌の持ち主なので、得意げなその表情すら妖しく艶やかだ。

「ケッ! 寝言はベッドのなかでほざけ。おめえらのちんたらプレイでオレに勝てるか」

 そう言うと、ギャリーは膝の上のシビルの脳天に拳骨を見舞った。

「いった~~い! ノリで殴るのやめてください全く!!」

 ぷんすか怒ってシビルは膝の上から飛び降りた。

「お前たちアクションは派手だが無駄な動きが多い。バテて結局は数を稼げないから俺が一番だ」

 壁にもたれかかりながら、ガエルはズッシリと野太い声で断言した。口元には微かに自信に満ちた笑みがほころんでいる。

「バーロー!! クマ野郎に負ける俺様じゃねえ!! てめーらオノレのヒリキさを嘆くがいい!!!」

 ガバッと立ち上がったヴァルトが、金髪を振り乱しながら轟然と言い放つ。

 今から舌戦上で勝負が始まっている仲間たちを冷ややかに見つめながら、

「誰が回復すると思ってるの……」

 と、ランドンがうんざりしたように小さくぼやいていた。

 宿がわりに使っている富豪宅の離れで盛り上がるライオン傭兵団は、《夜明けの孔雀》傭兵団から連絡が届き、各々荷物をもって立ち上がった。

「では皆さん、張り切って売名行為に励みましょう」

 おう!! と元気な声があがり、ライオン傭兵団はコッコラ王国とハワドウレ皇国の国境に出発した。



 ハワドウレ皇国に牙を剥いたコッコラ王国軍は、一足先に国境の最も戦闘のしやすいキュラ平原に陣を敷いた。

 ハワドウレ皇国と隣接しているコッコラ王国は、国境沿いには町や村を建てていない。叛意なしとの意思表示のため、他国でもハワドウレ皇国に隣接している場合は、国境沿いにはなにも置かないのが慣例だった。

 万が一小さくても村や町があった場合、軍事拠点と疑われることを避けるためである。独立を勝ち取っても、本当の意味で独立ではない。対等ではないからだ。

 草が生えているだけのだだっ広いキュラ平原には、青い軍服をまとった軍人たちで溢れかえっている。その中で、一際派手に目立つ黄金の鎧一式に身を包んだ青年は、馬上でじっとハワドウレ皇国側を睨んでいた。

 アイバク・イゼット・メティン王太子。まだ25歳と若いが、戦闘スキル〈才能〉の武器系槍術使いだ。

 褐色の肌と黒い髪と瞳を持ち、血気にはやる精悍な顔つきをしている。

 今回の戦争の発端を父王から聞かされ、たいそう不快感と不機嫌に蝕まれていた。そして王家の威信にかけて、この戦争を勝ち、ある目的を果たす覚悟でキュラ平原に立ちはだかっていた。

「ベルトルドという男の首は、必ず俺がとる」

 怒りを抑えるように静かに呟くと、遠方に見える砂塵に視線を向けた。



 あまり乗り心地がいいとは言えない汽車の中に押し込まれ、ライオン傭兵団は他の傭兵たちと共にキュラ平原へ向かっていた。首都エルマスから汽車でおよそ4時間程度でキュラ平原付近の街コラユに着く。3万人もの傭兵たちを運ぶために、臨時で汽車が多数運行され、ライオン傭兵団は最後の汽車に乗せられていた。

(オレたちはどのあたりに布陣予定なんです?)

(中央に王太子の本陣、右翼に《カリンダラージャ》傭兵騎士団、左翼に《夜明けの孔雀》傭兵団、本陣の後方に《栄光の太陽》傭兵団がそれぞれ配置されるそうですよ)

 ルーファスとマリオンでメンバー全員と念話が出来るよう中継され、汽車の中では念話で会話が弾んでいた。

(何だか判りやすい布陣だな)

(全体の指揮は王太子がとるそうですが、傭兵団は好きに暴れていいそうなので、こういう単純な布陣で問題ないでしょう)

(キュラ平原以外のところに皇国軍が現れたりはしねーの?)

(国境沿いで戦うなら、キュラ平原以外はありえません。ほかの場所は山脈が通ったり地理的に難しいんです)

(なるほどなるほど)

(皇国軍は誰が出てくんだろな? そういう情報はおせーてもらってんの?)

(第一、第五、第六とラーシュ=オロフのダエヴァ第二部隊が出てくるそうですよ)

(なんだよ、どーせだったら全軍出てくりゃいいのによ)

(準備不足の弱小軍隊と、寄せ集めの傭兵軍団ですから、皇国もそこまで本気じゃないってことですかね)

(でも直々にブルーベル将軍がいらっしゃるそうですよ)

(ガエルの親戚だろ? すっこんでろって連絡しとけよ)

(伯父貴と手合わせできるだろうか。楽しみだな)

(伯父と甥で格闘バカかよったく)

(順番的に第六正規部隊とウチは当たりそうでしょうかね。リクハルド大将は計略型の指揮官ですから油断できないです)

(だだーっぴろ~い大平原で、計略もなにも働かないわよぉ。なんせ無軌道に動く傭兵団が殆ど主力なんだもーん)

(まさかあちらさんも、勝手に動けなんて指示されてるとは思ってねーだろな)

(男は黙ってしょーめんしょーとつあるのみだ!!)

(蹴散らしてやんよ)

 盛り上がる彼らを乗せた汽車は、到着予定時刻を裏切ることなくコラユの街のステーションに到着した。



 コッコラ王国との国境キュラ平原に到着したハワドウレ皇国軍は、それぞれ第一、第五、第六正規部隊で布陣した。ダエヴァの第二部隊は各正規部隊に散って混ざっている。その為ダエヴァ第二部隊を預かるラーシュ=オロフ長官はブルーベル将軍とともにいた。

「えーと、コッコラ王国は総勢4万人ほどだということですが、そのうち3万が傭兵たちなんですか。これまた豪勢に雇ったものですねえ」

 副官のハギから受け取った書面を見ながら、ブルーベル将軍はふむふむと頷いた。

「石油でどれほど儲かっていたんでしょう。これだけ盛大に雇ったなら、財政難に陥りそうだ」

「そんな心配はいりませんよ、将軍」

 ハギからため息混じりに窘められて、ブルーベル将軍はにこにこと首をすくめた。

「年寄りはそんなとこにも、つい気になってしまうものなんです」

 どこかのんびりとしているブルーベル将軍に、ハギは「毎度のことだけど…」と、内心ため息をついていた。

「閣下、我々から撃って出ますか?」

 ラーシュ=オロフは生真面目にブルーベル将軍を見上げ姿勢を正した。

「相手の出方を待ちましょう。王太子の号令で本陣が動くでしょう、それに呼応して傭兵たちの右翼陣と左翼陣も動きそうなので、それを駆逐していく形で最初はいいと思っています」

 ブルーベル将軍は小さく首を傾げる。

「あの編成内容だと、王太子率いるコッコラ王国本軍はそれ単体、右翼陣と左翼陣の傭兵たちはそれぞれ独自で動くことを想定してのものでしょうねえ。この戦争の意味がいまだに判らないですし、明らかな準備不足と勢いだけであちらは戦争をしようとしています。消耗戦の臭いがぷんぷんしてますよ。だから我々から撃って出ることだけは避けたいのです」

「なるほど」

「演習ではなく本番です。あなた方ダエヴァと違って正規部隊は実戦経験に乏しい。対する兵力の大多数は実戦経験豊富な傭兵たち。正直心配です。せっかくだから全軍出撃させればよかったかな、と今更後悔ですが」

「は、はあ……」

 それほど悲観しなくても大丈夫では、とラーシュ=オロフは思ったが、ブルーベル将軍が言うように実戦経験の差は大きい。そして二人の杞憂は現実のものとなるのである。



 コッコラ王国本軍は、指揮官の王太子を先頭に、重装歩兵たちが身の丈よりも大きな盾を後ろから押し出しながら鉄の壁を敷いていた。その鉄の盾の隙間からは鋭い穂先の長槍が並び、針の突き出た鉄の壁のようだった。その後ろに同じように鉄の壁が16列並んでファランクスを形成していた。

 更に後ろには魔法使い、サイ〈超能力〉使いたち、銃兵たちがそれぞれ陣を固め、その後方に《栄光の太陽》傭兵団に指揮される傭兵たち1万人が控える。

 鉄の盾には、それぞれ魔法使いやサイ〈超能力〉使いたちにより更に防御が張られ、相当の防御力となっている。

 王太子はそのファランクスの前に馬にまたがって佇み、合図を送る時を見計らっていた。王太子の合図で、各傭兵たちも一斉に動く手はずとなっており、本軍とは別行動を取ることも許されていた。

 本軍は本軍で、王太子が狙うは副宰相ベルトルドの首。今はこの場にいない。まずはあの男を戦場に引きずり出すのだ。



 遠くから王太子の顔をじっと見ていたザカリーは、釈然としない顔で鼻息を吐き出した。

「どったの?」

 ハーマンが足元からザカリーを見上げると、ザカリーはポリポリと頬を指先で掻いた。

「んー、なんか王太子サマのやる気は、ここじゃないところへ向けられてるような感じに見えんのよ」

 戦闘の遠隔武器系スキル〈才能〉持ちのザカリーは、1キロ以上も離れた場所からでも米粒ほどの物体を見ることができる。視力が異常に発達しているのが遠隔武器系スキル〈才能〉持ちの特徴でもあった。

「敵意、っての? それが目の前の皇国軍じゃないところを向いてるような」

「ふーん? なんだろね」

 ハーマンはフサフサの尻尾を緩やかに振りながら、魔法の媒体にしている本を開いたり閉じたりしていた。

 平原に到着してすでに2時間が経過している。

 最初の1時間は陣形を組むためにひと騒動だったが、いざ陣形が完成してしまうと、戦いを前にして皆黙した。

 緊張と高揚感。傭兵たちはこの静かな時間がたまらなく大好きだ。開戦の火蓋が切って落とされたら、あとは勝つか負けるか。生き残るか死ぬか、ただそれだけなのだ。

 戦いの中でしか己を輝かせられない。だから精一杯戦場を走り抜ける。国の威信だの雇い主のメンツのために戦うわけではない、報酬と自分のためにだけ闘う。

 ライオン傭兵団も例外に漏れず、鬨の声を今か今かと待ち望んでいた。脳筋組は気を充実させいつでも万全の状態だ。

 カーティスとシビルは、暴れだしたら止まらないヴァルト、ガエル、ギャリー、タルコットにはとくに入念に強化魔法と防御魔法を施した。暴れはするが自重するメルヴィン、ルーファス、ペルラ、マリオンはそこそこに。攻撃魔法で大暴走するハーマンは、そもそも暴走した時点で誰も近寄れないのでほっといて、ランドンは自衛に任せていた。非戦闘員のブルニタルとマーゴットは平原の入口まで下がらせている。彼女たちの位置では戦場は土煙でなにも見えないだろう。狙撃手のザカリーは、カーティスとともに行動することになっていた。

 戦意が高まる中、ついに王太子の片手が高々と上がる。

 そしてその手は、鋭く振り下ろされた。




 晴天のもと、キュラ平原には凄まじいほどの叫び声がとどろき渡る。

 両軍合わせて約21万人ほどの人間たちがひしめいていた。

 コッコラ王国王太子の合図で開戦した。コッコラ王国本軍はその場にとどまったままだが、右翼と左翼の傭兵たちの軍団が一気にハワドウレ皇国軍へなだれ込む。これをハワドウレ皇国軍は迎え撃ったが、コッコラ王国本軍のようにファランクスを形成していたものの、傭兵たちはそれをよく心得ていて、たくみに魔法攻撃を盾の内側にヒットさせて着々と鉄壁の盾の布陣を打ち破った。

 ハワドウレ皇国軍の魔法使い、サイ〈超能力〉使いたちも応戦したが、躊躇なく的確に突き進む傭兵たちの動きについていけず、フォローが後手に回っている有様だ。

 銃兵や砲撃兵たちは、敵味方が入り乱れすぎて狙いを定められずに手を出しあぐね、そこを次々と撃破されていった。

 数の上では圧倒的にハワドウレ皇国軍が上回っているが、戦闘全般においては明らかに傭兵たちが優っていた。ハワドウレ皇国軍は数こそ上まわるが、内実は寄せ集めの徴兵たちが半割りを占める。しかし傭兵たちに素人は混ざっていない。皆が戦闘のプロなのだ。

 戦況は短時間の間に皇国軍が不利な状況に追い込まれてしまっていた。ダエヴァ第二部隊要員だけでは戦況を覆すほどの影響力はなく、傭兵たちは戦場の空気に活性化され、ますます勢いを増して暴れまわっていた。

 今年33歳の誕生日を迎えたラーシュ=オロフは、大きな白クマの横で眉間を戦慄かせていた。やや大きな目だが、白目の面積が広く胡麻のような茶色い瞳がぽつんとあって、それが表情に精彩を欠いている。更に血色の悪い肌には冷や汗が滲み出し、青ざめた唇が痛々しかった。

 一方白クマのほうはつぶらな瞳を瞬かせ、さも面白そうに戦場を眺めていた。

「随分と活きのいい連中ですねえ。ですがどう見てもアレは、元ウチの軍の人間だった気がしますが」

 甥の姿も見えた気が、とブルーベル将軍は笑った。

 ブルーベル将軍は白クマのトゥーリ族で、身長はゆうに2メートルを超え、筋肉質の体躯は圧倒的な迫力を誇っている。しかしどことなく愛嬌のあるつぶらな黒い瞳が、恐ろしげな雰囲気を緩和していた。

「み………見なかったことに………」

 そうラーシュ=オロフは搾り出すように小声で言うと、目眩を起こして副官の腕に倒れ込んでしまった。

 黄金の刃を持つ魔剣シラーが、剣圧と金色の軌跡と共にハワドウレ皇国軍の軍人たちの首を数人単位で斬り飛ばしている。

 漆黒の刃の長鎌スルーズが弧を描くように舞うと、血飛沫を踊らせながら重そうな首が軽やかに宙を跳ねていった。

 臨機応変に場面ごとに形状を変化させる爪竜剣が、的確に軍人たちの首や手を切り落とし戦意を挫いていく。

 圧倒的なパワーで拳を叩きつけると、頭は爆ぜ、地面までもが深々と抉られる。砂埃と砕けた土の粒が風に乗って辺りを曇らせた。

 ハワドウレ皇国軍正規部隊の第六部隊と、特殊部隊ダエヴァの第二部隊が、手も足も出せず状態でバタバタと倒されていっていた。

 正規部隊を預かるブルーベル将軍と、ダエヴァの第二部隊長官ラーシュ=オロフは第六部隊と共に前に出ていたが、目の前で大暴れしている傭兵たちが、自分たちのよく知る連中であることに信じられない思いを味わっていた。

 ライオン傭兵団である。



 皇都イララクスのハーメンリンナにある広大なベルトルド邸は、各部屋に備え付けのバスルームとトイレがあるが、母屋には大浴場がひとつある。大理石張りで観葉植物なども置いてある、実に広々と気持ちのいい浴場になっていた。

 そこに泡だらけの広すぎる浴槽に浸かり、柄の長いブラシで背中をのろのろこすりながら、ベルトルドは拗ねた表情で唇を尖らせていた。

「何故私がこんなところであなたの裸体を後ろから見る羽目になっているんですか」

「背中洗ってくれてもいいだろう」

「一人で洗えるように専用ブラシを買ってきて差し上げたでしょう。年増男の背中を洗ってなにが楽しいんです」

 ぴっちりと執事のスーツ姿で、アルカネットは憮然とベルトルドを見下ろしていた。

 リュリュからお仕置きされたベルトルドは、暫く一人でいるのを怖がり、風呂や着替えの時は、必ずアルカネットをそばに置いて警戒していた。

 よほどトラウマなのだろう。それが判っているので無下にもできず、文句と嫌味をたれながしつつも、仕方なくそばに付き添っていた。

 すると、外で何やら大きく喚きたてる声が聞こえ、ベルトルドとアルカネットが揃ってドアのほうへ首を向けると、

「くおらああああああベル!!!! あーたなにしてくれてんのよっ!!!!!」

 突然ドアを蹴破ってリュリュが怒号をあげて浴場に乗り込んできた。

「きゃあああああっ!!!」

 びっくりしたベルトルドは立ち上がると、胸を両手で隠しながら悲鳴をあげ続けた。

「隠すんだったら股間のほうでしょう。男が胸を隠してどうするんです」

 冷静につっこむアルカネットに、ベルトルドはふるふるとベソ顔を向けた。

「今度は絶対乳首吸われるっ!!」

「あーたの使い込んだ乳首に興味はないわよ!! そんなモン吸うくらいなら、肛門の処女をぶち抜いてあげましょうかええ!!?」

「断固断る!!!」

 ベルトルドは尻を両手で隠しながら、バシャバシャと浴槽の中を逃げ回った。

「あなたのお仕置きを怖がって毎日幼稚化して困っているんですよ。もうそのくらいにしてあげなさい」

 溜息混じりにアルカネットに言われ、リュリュは化粧をはいた顔でキッと睨みつけた。

「お仕置き程度じゃすまされないのよ! 全く、ライオン傭兵団の連中がコッコラ王国側で盛大に大暴れして、ウチの軍を壊滅状態に追い込んでくれてるってラーシュ=オロフから報告が届いてんのよっ!!」

「ほえ?」
 

特別小咄:コッコラ王国の悲劇《3》 続く



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Comments 4

suzune

今日は^^ 待ってました♪

やっぱり御大ネタ入ると超楽しいですね^^

何かライオン傭兵団大暴れですね。そりゃそうだけど(笑)
本当に御大と衝突したらどうなるのか楽しみ♪

敵意が目の前の皇国軍じゃないところを向いているって言うのも大いに気になりますね。
何かありそうですよね。これは。これできっと悲劇につながる何かがあるんでしょうね。

風呂場にリュリュたん乱入!
何気にリュリュたんじゃあるまいし御大何胸隠してるのかと思えば、こういう事ね(爆)
良いなぁアルカネットさんとこの3人の場面♪
えっ、漫画で!?
いやぁ、絶対に読んでみたかった!! 読んでみたい!!! (熱望♡)
是非是非、また今度宜しくお願いします。
尻隠して逃げ回る御大楽しみ~♪

2015-01-22 (Thu) 14:21 | EDIT | REPLY |   

ユズキ

Re: タイトルなし

suzuneさんこんばんわ~ヽ(・∀・)ノ

御大とライオン傭兵団衝突まであともうちょっとですw
徹底的にぶちのめされるサマをお楽しみください(笑) 次回そこまでいけるかなあ・・・w

>これできっと悲劇につながる何かがあるんでしょうね。

ある意味悲劇なんですよね。読んだ人は「ぶっ」て吹き出しそうなんですけど>< ウチの作品でキュッリッキさんの過去ほどの悲劇はそこまでおこらない・・・はずw けど、捉え方によっては悲劇な内容になるはずでございます(;^ω^)

リュリュたんはリバなので(笑) どっちもバッチコィなんだけど、どちらかというと好みの相手を攻めてまわるほうが好きだからタチ派ですね・・・(´_ゝ`) だから御大は余計リュリュたんが怖いのです(笑) エラソーだけど、御大もアルカネットさんも美人ですからね~。リュリュたんにとってはオイシイのですw

尻隠して前隠さずでブラブラさせながら逃げ回る御大・・・想像すると笑うしかないですねw さすがにそれは自主規制で絵柄には起こせませぬが(/ω\*)

2015-01-22 (Thu) 18:44 | EDIT | REPLY |   

八少女 夕

あらあら

こんばんは。

「甥の姿も」って、ブルーベル将軍ったら、おちゃめ(笑)
でも、ガエルも「伯父貴と手合わせできるだろうか」とか言っちゃっていますね。

そして、王太子は御大の首を狙っていて、金に糸目をつけない傭兵団の派手な闘いは、陽動作戦なのですね。

御大は、幼児化して逃げ回っていますが、このニュースで豹変するのでしょうか。
まずはいろいろと隠した方がいいところもあるかも。リッキーさんはまだいないとはいえ(笑)
次回も楽しみですね。

2015-01-23 (Fri) 01:13 | EDIT | REPLY |   

ユズキ

Re: あらあら

八少女さんこんばんわヽ(・∀・)ノ

ブルーベル将軍はノリがよくお茶目さんですw
しかし自身に攻撃が飛んできたら、100倍にして返してくれるでしょう(笑)
ガエルより強いのですw

王太子の思惑などなどは、次回かその次で明らかにする予定です。きっと「おーい!」と思うはず!w

御大は意気揚々と戦場に舞い降りてくるようですよw
まあ御大もマイペースタイプなので、誰の前でも(多分キュッリッキさんの前でも)ナマコをブラブラさせながら尻は守って生きていきます(笑)

2015-01-23 (Fri) 18:33 | EDIT | REPLY |   

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