ALCHERA-片翼の召喚士- 特別小咄:コッコラ王国の悲劇《4》

最近ゲームのなかで、新しいお友達がわんさかできてしまい、自分のやりたいことがやりにくくなってちょっと困った(ノ∀`)

金を稼ぎたい!!ww と、握り拳状態で主張してるんだけどネ。アイテム取りのPTに引っ張られていってます(・ω・)

2月になったから、ゲームのほうを控え気味にしていきたいので、わたしに金策する時間をくれwwwww


てことで、数日前にアップしたかったんですけど、上記事情でズレこんでしまいました。更に、今回のを入れて2回で終わらせる予定だったけど、3回になりそうな気がしないでもない・・・。

コッコラ王国が何故暴挙に出たかの理由の一端が明かされます。そして次回ライオン傭兵団がドSコンビの制裁を受けます☆

笑ってはしゃいでいられるのも今回までです(合掌)





ALCHERA-片翼の召喚士-
特別小咄:コッコラ王国の悲劇《4》




 14時に衝突したコッコラ王国軍とハワドウレ皇国軍は、3時間の間に勢力図を大きく塗り替えていた。

 コッコラ王国は本軍1万、傭兵たちの軍団3部隊の総数3万、計4万の兵力。

 ハワドウレ皇国軍は、第一部隊、第五部隊、第六部隊の各正規部隊が6万ずつ、ダエヴァ第二部隊2万の兵が分散して各部隊に散り、計8万の兵力。

 このうちコッコラ王国軍は本軍を温存して動かず、やく21万人もの兵たちが刃を交えていた。

 兵力の上では圧倒的にハワドウレ皇国軍が勝るが、戦士としての質からすると、圧倒的にコッコラ王国側に分があった。

 傭兵たちは戦闘スキル〈才能〉や戦闘に向いている特殊スキル〈才能〉を持つ者、戦場で生き抜き戦える術を持つ経験者が圧倒的に多い。

 人間は一つの突出した能力『スキル〈才能〉』を必ず授かって生まれてくる。その種類は多種多様で、中でも戦闘スキル〈才能〉が最も多い。

 そして授かってきたスキル〈才能〉とは違うものを目指そうとしても、けして極めることも上達することもできない。持って生まれたそのスキル〈才能〉で生き方が決まると言っていい。

 戦闘スキル〈才能〉を活かせる場所は軍隊か傭兵だ。それ以外となると、あまり褒められた生き方を選べない。大抵の者はどちらかを選択する。

 しかし軍隊は全てを戦闘スキル〈才能〉や特殊スキル〈才能〉持ちだけで埋めることは難しい。その為徴兵制度を使って戦闘には向かないスキル〈才能〉の者まで組み込んでしまう。そこに圧倒的な差が生まれ、傭兵たちは見逃さなかった。

 開戦してすぐに狙われたのは、戦闘スキル〈才能〉を持たない徴兵たちである。傭兵たちは躊躇なく徴兵たちを徹底して倒して回った。

 ハワドウレ皇国軍の布陣は、前面に剣や槍を持たせた徴兵を置いている。その後ろに重火器兵、魔法やサイ〈超能力〉の特殊スキル〈才能〉兵、そして徴兵たちとは違って近接戦闘に特化した正規の軍人たちが並ぶ。

 捨て駒になるべく立たされている徴兵たちだったが、それでも謀反の属国相手に正規の軍人たちが最初から正面衝突することは許されていない。

 徴兵たちが為すすべもなく傭兵たちに倒されてくため、ダエヴァがフォローに回るがあまり助けにはなっていなかった。それと同時にダエヴァが戦闘の矢面に立たされ、傭兵たちとぶつかり数を減らされていく羽目に陥っている。

 徴兵たちがほぼ壊滅して、正規の軍人たちが表に出ざるを得なくなり、これでいよいよ戦場は活気づいた。

 売名行為を最大の目標としているライオン傭兵団は、徴兵たちには目もくれず、正規部隊の軍人たちを視野において動き回っていた。戦闘の素人である徴兵たちを倒したところで名が売れるわけでも知れ渡るわけでもない。むしろ、弱い者いじめとして名が知れてはたまったものじゃないのだ。

 ライオン傭兵団の中で、カーティス、シビル、ハーマン、ランドンは魔法部隊出身。ギャリー、タルコット、メルヴィン、ザカリーは正規部隊出身。マリオンはダエヴァ兼楽士隊出身、ルーファスは宮廷騎士出身である。

 今敵対しているハワドウレ皇国軍は古巣であり、今も顔見知りは沢山いる。とくにカーティスは魔法部隊の長官職を務めていたこともあるし、タルコット、メルヴィンの二人は皇国軍五指に入る実力の持ち主と有名だった。

 更に皇国軍を預かるブルーベル将軍とガエルは伯父と甥という血縁関係にあり、普通なら敵対しようとはしないものだったが。

 ライオン傭兵団にそんなためらいも迷いも感傷もない。すでに辞めている場所なのだから。

 迷いのない彼らの動きは、皇国に勤めていた頃よりも遥かに勢いがあり力があった。

 規律に束縛されない自由、それは本来彼らの持っている実力を最大限に発揮させた。

「手合わせしたかった連中がゴロゴロいるんだよ。片っ端から遠慮しねーぜ!」

 魔剣シラーを背負いながら、ギャリーは皇国軍に聞こえるよう、わざと大声で言い放った。

 もとから厳つい風貌に、挑発じみたふてぶてしい笑みが混ざって、ギャリーの顔を見た皇国兵士たちは尻込みして後ずさった。

 ライオン傭兵団は第六正規部隊と第五正規部隊が入り混じる只中に乗り込んでいた。

 彼らが所属していた部隊ではなかったが、軍を辞めてまだ2年しか経っていない。顔も名前も覚えている者たちも多かった。

「オイコラ! ギャリーばっか目立ってんじゃねーぞ!!」

 自分に向けられる注目がいまいち薄いと感じていたヴァルトが、喚きながらギャリーに詰め寄った。

「おめーも十分目立ってるから安心しろや……」

 ヴァルトの場合はその綺麗な容姿もさることながら、大声のバカ丸出し発言に加え、とにかく派手な白く大きな翼を広げて飛び回っているから、目立たないほうがおかしい。

「アンタたちぃ~、漫才で目立ってもしゃーないから、早くヤッちゃえ~~」

 マリオンが腰を振りながらのほほんと指摘すると、ギャリーとヴァルトが噛み付きそうな顔をマリオンに向け、マリオンはぺろっと舌を出して肩をすくめた。

 それを合図にするようにして、タルコットとメルヴィンが構えた。

「いくよ」

 タルコットは長鎌の刃先を皇国軍に向けると、地面を蹴って前に飛び出した。

「口より行動で目立ってください」

 苦笑しながらメルヴィンが続く。

 タルコットは10人ほど固まっている兵士たちの中に突っ込むと、走り込みながら長鎌スルーズを大きく振りかぶって力いっぱい薙ぎ払った。鎌の刃は唖然とする皇国兵士たちの首をザックリ刈り取る。悲鳴を上げることもできなかった首は、宙を跳ねボトボトと重たい音を響かせながら地面に落ちて転がった。その表情は恐怖の瞬間を貼り付けたままだった。首を失った胴はその場に立ち尽くし、鮮血の噴水を大量に吹き上げ辺りを血の色に染め上げた。

 崩れ落ちていく首なしの死体を涼しい顔で見下ろし、刃についた血を払うと、タルコットは次の獲物を探すべく視線を巡らせた。漆黒の髪と鎧の中に、妖艶な白い顔がうっすらと笑みを浮かべる。

 そのすぐ近くで、メルヴィンは爪竜剣を刃の太い長剣に形態を変化させると、惚けている3人の皇国兵士に斬りかかった。爪竜剣はメルヴィンの意思に呼応して、その形状を自在に変化させることができる。武器を持ち替えなくても、戦場の状況に応じて形を変えられるのだ。

「あんにゃろー、俺様より目立つとかゆるさん!!」

 ヴァルトは翼をバサバサと羽ばたかせると、

「とーーーうっ!」

 片手を空へ向けて伸ばし、華麗に飛び上がった。

「そのまま撃ち落とされちまえ……」

 げっそりとした表情で、飛び上がるヴァルトを見送ると、ギャリーは首をポキポキ鳴らして魔剣シラーを構えた。



 傭兵たちはそれぞれが型に嵌らない武技をしているが、目立とうとして目立てる者は案外少ない。そもそも戦場は見世物でもショーでもないから、派手に振る舞えば注目を浴びるというわけではないのだ。派手に暴れている者がいれば、近寄れば派手に殺されるだけだということを皆知っている。

 人目を引きつける要素はいくつかあるが、その点に関してライオン傭兵団は優秀なようで、脳筋組が暴れだすと敵味方関係なく人目を引いていった。

 魔剣などの珍しい武器は、傭兵でも持ってる者はいる。そうした武器自体も注目を集めるが、扱いや性能を引き出し見せ付けることに、ライオン傭兵団の脳筋組は上手だった。

「妙に目立つ連中が居るな」

「知らない奴らだなあ」

 他の傭兵たちは、それがまだ無名の新人傭兵団だということを知らない。しかし、戦場がより混戦していく中で、ライオン傭兵団の名は敵味方の間にどんどん浸透してった。



「遅れて申し訳ありません」

 室内に向けて深々と礼をすると、ベルトルドは指定された自らの席に大股で近づいて、すとんっと座った。週に一回宮殿で行われる御前会議である。

 謁見の間に特別に設えられたテーブルの前には、宰相マルック、数名の大臣たちが首を揃えていた。

 その向かい側の玉座には、ハワドウレ皇国皇王タイト・ヴィリヤミ・ワイズキュールが座して室内をゆっくりと見渡している。

「何か言いたそうな顔をしておるな? ベルトルド」

 肘掛に肘をついてだるそうに皇王が言うと、ベルトルドは右掌を勢いよくバンッとテーブルに叩きつけた。

「俺は女が好きだ!!」

 そう、湧き起る魂の叫びのような大声で、力いっぱい叫んだ。

「女が大好きなんだ、俺は!」

 壁際に控えていたリュリュが「あーもー…」と表情で呟いて、片手で額を抑える。

 皇王を始め、宰相も大臣たちも、ただ呆気にとられて沈黙してしまっていた。叫んでいるその内容の脈絡がさっぱり判らないからだ。

 息を飲んだ沈黙のステップが室内を一周した頃、真っ先に立ち直った皇王が、顎鬚を触りながら深々とため息をつく。

「いちいち主張せんでも、そんなことは、みな知っておる」

 口を真一文字に引き結んで、鋭い目を自分に向けているベルトルドを、扱いに困った孫でも見るような目で皇王は見つめ返した。

「それならば、申し上げることは何もありません陛下!」

 なにが!? と大臣たちはツッコミたかったが、訳のわからない有無を言わせないオーラを漂わせるベルトルドに何も言えなかった。

「………話が激しく脱線してしまったようだが、宰相」

 皇王が片手をヒラヒラさせると、一応は何とか立ち直った宰相マルックが神妙に頷いて腰を上げた。

「はっ……。先ほどコッコラ王国との国境に派兵しているブルーベル将軍から、正規部隊全軍の出撃要請が届いたのだ。敵側の戦力が異常なほどで、我が軍を恐ろしい勢いで追い込んでいるそうな。従って可及的速やかに応じるべく、全軍総帥たる皇王様の勅命によりすでに出発させている」

「ほう……」

 ベルトルドは眉間を皺寄せると、腕を組んで頷いた。兵士たちを即急に現場へ送るために、おそらく皇都のエグザイルシステムはフル稼働状態だろう。

 大変なことだな~、などと他人事のように思っていると、

「そして、そなたも至急戦場に向かうのだ」

「え?」

 目をぱちくりさせると、宰相を見て、そして皇王を見た。

 皇王は「はいはい」と言いたげな表情で何度も頷く。宰相マルックは含みのある目をベルトルドに投げかけた。

「何でも、そなたに縁(ゆかり)ある者たちが戦場で暴れているとの報告もあがっている。それにより、我が軍の被害が甚大だ、とも聞いている」

 ベルトルドとリュリュは、揃って視線をあさっての方向へ向けた。そして共に胸中で「やっべぇ……」と呟いた。

「今すぐ行ってくるがよい、ベルトルドや」

 皇王からこれ以上にないほど優しく言われて、ベルトルドは心底引きつった笑みを浮かべて頷いた。



 退室したベルトルドは、文字通り「ぶすーーーっ」とした表情で廊下を乱暴に歩いていた。その後ろを歩きながら、リュリュがため息をつく。

「あれ、ぜ~んぶバレてるわね、皇王サマに」

「ケッ、相変わらず食えないジジイだ全く。昼行灯の能無しボケジジイだと思っていたが」

 声を大にしてベルトルドは子供のような愚痴を垂れ流した。

「今すぐ行けって言われてるし、事務雑用はアタシが代わってやっとくわ」

「任せた」

「着替えも持って行かないとだし、一度家によってくんでしょ?」

「着替えなんかいらん! パッと片付けて、サクッと帰ってくる!!」

「あっそ。なら、アルカネットにはアタシから連絡しとくわね」

「アルカネットも持っていく」

「ええ?」

「もうエグザイルシステムに向かわせた」

 断固としてキッパリとベルトルドは言い切った。

「――まあ、せいぜいストレス発散してらっしゃい」

「おうよ!!」



 ブルーベル将軍は増援とベルトルドが派遣されることが決まった報告を、副官のハギから受けていた。

「おやおや、ベルトルド殿まで」

「勅命だったようですよ」

「それはそれは」

 ニコニコしながらブルーベル将軍は頷いた。

 一方、コッコラ王国本軍でも、ハーメンリンナに潜り込んでいた密偵が、増援とベルトルドが送り込まれてくる情報を掴んで報告していた。

「やっとあの痴れ者がくるか」

 王太子は鋭い眼光を皇都イララクスの方角へ向けた。

 副宰相であるベルトルドが戦場に送り込まれてくることはまず有り得ない。軍関係者であるなら多少可能性はあるが、サイ〈超能力〉スキル〈才能〉を有するとはいえベルトルドは政治家だ。そこで、王太子は密偵を使ってベルトルドの周辺や関係者を徹底的に調べ上げた。

 そこに浮かび上がったのはライオン傭兵団の存在である。そのライオン傭兵団も調べ、傭兵としては駆け出しの無名ではあるが、かつてハワドウレ皇国軍に属していたことを知った。

 かつて身を寄せていた軍と敵対するだろうか? 普通なら憚るだろう。だから報酬を餌に自軍に取り込むことは賭けだった。

 まんまと餌につられてやってきたライオン傭兵団の存在を皇国軍にアピールするためには、自由に彼らを遊ばせてやればいい。派手に皇国軍に敵対してくれれば、詰め腹を切らされにベルトルドは出てこざるを得ない。

 それが王太子の賭け寄りな計画だったが、期待以上にライオン傭兵団は目立ち暴れまわってくれたようだ。

「思惑通りにベルトルドを引っ張り出してくれたライオン傭兵団とやらには、特別に報酬を弾んでやらねばな」

 王太子の呟きに、密偵は深々と頭(こうべ)をたれた。

 たった一人の男を引きずり出すために、王家は命運をかけた計画を実行した。石油の供給を停止して謀反を起こし、大々的に傭兵を募って戦争にまで発展させたのも、全てはベルトルドを殺すため。

 ハーメンリンナにいるベルトルドを殺すことは難しい。副宰相という地位についている者は陰ながら四六時中護衛がついているものだ。それを退けて殺害することは不可能に近い。暗殺を試みることも検討されたが、ダエヴァと呼ばれる特殊部隊の存在がベルトルドを守ってると言われている。だから、どうしても確実に殺せる場所を作り、そこへおびき出す必要があったのだ。

「妹姫の仇は兄であるこの俺がとらねばならない。必ず俺自身の手で首を取ってやるぞ」

 全ては愛する只ひとりの妹ジーネット姫のため。その大切な妹姫のために、この大規模な処刑場を用意したのだ。

 王太子は片時も離さず握っている長槍の柄を、更に力強く握り締めた。



 開戦から5時間が経過し、陽も落ちてキュラ平原は闇に包まれた。日没まで粘っていた両軍も、星明かりはあるものの暗闇の中では満足に身動きできずに兵を退き始めた。

 ライオン傭兵団も下がると、仲間たちから離れていたマーゴットとブルニタルも合流して焚き火を囲んだ。

「なーよ、ちょろっと小耳に挟んだんだけど、残りの正規部隊全部出撃してくるらしいぞ」

 干し肉を齧りながらザカリーが声を顰める。しかしその顔は愉しそうににんまりとしていた。

「では、日の出の頃にはほぼキュラ平原に到着するでしょうね」

「不眠不休で大移動してくるぜ。徴兵たちの頭数は揃わないだろうが、正規の軍人たちは勢ぞろいするだろうな」

 ブルニタルとギャリーが揃って頷く。

「ボクたちだいぶ目立ってたみたいだね。さっきナントカ傭兵団の連中から大絶賛されたよ」

 タルコットは得意げに胸をはる。それを見やってカーティスも満足そうに頷いた。

「明日は今日以上にもっともっと派手に暴れなくては、ですねえ」

「伯父貴と手合わせ出来れば、かなり目立つと思うんだが。なかなか近づけない」

 ガエルは残念そうに呟いた。

「将軍様ですしね」

 慰めるようにシビルがガエルの足をペチペチと叩く。

「脳筋組には絶対負けないよー!」

 ハーマンがフサフサの尻尾をブンブン振り回しながら叫ぶ。

「魔法使い組も、うんと暴れてるんだから、明日は上級攻撃魔法の乱舞さっ!」

「味方まで消し炭にすんじゃねーぞハーマン」

 ニヤニヤとギャリーにつっこまれ、ハーマンはギクッと硬直した。実は先ほど見境なく他所の傭兵たちまで巻き込んで、何人か黒焦げの焼死体にしてしまったのだ。

 キツネのトゥーリ族であるハーマンは、もともと頭脳明晰なのに加え、魔力が高く扱う魔法も上級レベルなものばかりだ。とくに攻撃系魔法に特化している。しかしコントロールがやや下手で、高い魔力に見合うだけの制御ができずに魔法を暴走させることがよくあった。

 派手に暴れるのはいいが、見境なしでは洒落にならない。

 高い報酬と売名行為のために乗り込んできた戦場だったが、まさか自分たちがコッコラ王国の王太子が打ち立てた、ベルトルド殺害計画のために踊らされていることなど思いもよらなかった。



 ハワドウレ皇国の皇都イララクスにあるエグザイルシステムの建物は、すでに軍によって接収され民間人は誰もいない。

 たまたま転送されてきた民間人はすぐに軍人たちに建物の外に追いやられており、正規の軍人たちは大急ぎで目的地へ向けて転送されていっていた。

 建物の外でその様子をぼんやり見つめていたアルカネットは、背中を指でツンツンされて顔だけ振り向いた。

「よう」

「よう、じゃありませんよ。なんですかこれは」

 溜息混じりに言うと、バツの悪そうな顔をしたベルトルドが横に並んだ。

「今から悪ガキどもを成敗しに行く。お前も手伝え」

「私は事情がさっぱり飲み込めていませんが?」

 本当は知っているが、わざとアルカネットはベルトルドに説明を要求した。

「………ライオンの連中が、コッコラ王国側について暴れてるらしい。それを止めさせに行く」

「副宰相であるあなたが何故行かなくてはいけないのです?」

「ボケジジイにバレバレだからだ!」

 憤懣やるかたない、といった表情で鼻息を吐き出した。ボケジジイ、とはハワドウレ皇国皇王様のことである。

「はあ……。だからあれほど、きちんと釘を刺してきなさいと、言ったでしょうに」

「刺した釘を抜いてったんだ! アイツらっ」

「全く……。子供の躾は親の責任ですよ」

「たっぷりお仕置きしてやる!」

「で、なんで私まで行かなければならないんです? あなた一人で十分でしょうに」

 すると、ベルトルドは捨て犬のような表情を浮かべた顔をアルカネットに向けた。こういう表情をするときは、きまって甘えていると判っている。

 涼しげな目つきでたっぷりその顔をみやったあと、アルカネットは深々とため息をついた。

「久々に私も暴れてみましょうか」

 途端、光がさしたようにベルトルドの顔が輝いた。

「ですが、エグザイルシステムは使えなさそうですよ。職権乱用してもいいのでしょうが、邪魔をすると後が怖そうですしね」

「夜中までかかるだろうなこれは。まあ、俺たちはこれで行く」

 ベルトルドが指をパチリと鳴らすと、ふたりの姿はその場から消えた。


特別小咄:コッコラ王国の悲劇《4》 続く



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Comments 2

涼音

今日は^^

御大の
>「俺は女が好きだ!!」「女が大好きなんだ、俺は!」には大爆笑してしまいました(笑)
こんなところで何も叫ばなくてもって……って感じでしょうかね。リュリュたんにとっては特に♪

あ~、でも、やっぱり王様にバレバレだったんですね^^;
まあね、ライオン傭兵団にとっては御大は確かに親みたいなものですから、そりゃ行って来いって言われるわなぁ(苦笑)

>「刺した釘を抜いてったんだ! アイツらっ」
って、ホント大喜びで抜いて行ったよねアイツ等は(爆)

あら、アルカネットさんも一緒に!?
更に楽しくなりそう^^
こりゃ、ライオン傭兵団ひとたまりもないでしょうね^^;

御大、ここはビシッと子供等の躾……、再教育を今度こそキッチリやって来て下さいね♪
きっと御大が本気出したら、もう逆らおうって気はおきなくなると思うので。
>「たっぷりお仕置きしてやる!」
って言ってるし、次回が楽しみです♡


あっ、余談ですが、以前言ってた「艦これ」やってみたいとか私ホザイテたんですが何か初めて今日アニメ見たんですよ……。で、言葉撤回します^^;
何か女キャラばっかで、思ってたのと全然違って……。銀英みたいな艦隊戦とか男性の美キャラも出ると思ってたんだけど、何か女キャラ萌えキャラっばっかで駄目だった^^;
今日の話は見るの苦痛でしか無いって感じで。。。。
私には理解不能でした^^;
何か聞くのと見るのと印象ってこんなに違うモノなんだなぁってつくずく思いました。
やっぱり、艦隊戦は銀英超えるものは無いな。うん。
私のネットゲームデビューって、何時になるんでしょうかね?険しそうな予感です(苦笑)


2015-02-05 (Thu) 20:15 | EDIT | REPLY |   

ユズキ

Re: タイトルなし

涼音さんこんにちわヽ(・∀・)ノ

リュリュたんのお仕置きを受けた身としては、女好きを断固主張せねばならない御大です(笑) 御大は皇王サマに気に入られているので、こういうしょうもないことを言っても許してもらえますw

>こりゃ、ライオン傭兵団ひとたまりもないでしょうね^^;

遇の値も出ないほどコテンパンにw
その様子を詳細に書いていると、やっぱり話数が増えるやかんでいっぱいです><;

>艦これ

ふふふw わたしてっきり涼音さんは萌え系もおkなんだと思ってましたw
アニメもやってるんですね~w

戦艦モノ+萌え美少女だから、男性ファンとか一部そういうのが好きな女性ファンとかたまらないんだろうなあ~と思ってますが、わたしはノーサンキューです><

銀英伝を超えるものは、今のところないですよねえ。あそこまで臨場感溢れる戦闘シーンは!w 銀英伝はほんと面白いですもんねー><!
アムリッツアとかアスターテ会戦とか、もう楽しくてしょうがないですもん。

オンラインゲームは・・・あんまりオススメはしないです(;・∀・) いろんなのがありますが、有名どころのRPG系とかはゲーム内人間関係でストレス溜まるから(笑) オンラインだから他人とどうしても関わりあうことがでてくるし、他人と接することなく遊べる系統があれば、そういうのをプレイされるとイイかもですw

2015-02-06 (Fri) 14:11 | EDIT | REPLY |   

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