ALCHERA-片翼の召喚士- 114 第九章:戦い アルカネットと仮面(ペルソナ)

まただいぶ間が空きましたが、本編続きです。

自分で書いておいてなんですが、多重人格ネタっていうのは、本当に難しいですねえ・・・。あと数ヵ月や数年置いて読み返したら、全部書き直したくなるだろうナ。

今とっても書き直しがしたくてしょうがなくなってます。3年も続けばそうなるんだろうけど>< とりあえずは完結させないと、直しだけダラダラやってもしょうがないですしおすし。




ALCHERA-片翼の召喚士-
第九章 戦い アルカネットと仮面(ペルソナ) 114




 人はたくさんの仮面(ペルソナ)をかぶっている。目には見えないその仮面を取り替えながら、他者から自分を守り、他者を欺き、広い世界の中を生きていく。

 その仮面は、あくまで”演じている自分”である。自分というものがそこにあって、環境や状況に合わせて、別の自分を作り、演じている。それを他人がどう思い、見ようと、あくまでひとつの人格が見せる、表情のようなものだ。

 しかしアルカネットの中には、仮面ではなく、もうひとりのアルカネットが潜んでいた。それは、自らをイーヴォと名乗っているが、表に出てくるときは”アルカネット”の名を使っていた。

 アルカネットを善とするなら、イーヴォは悪だ。常に悪いことを考え、他人を陥れることを企んでいる。そんなイーヴォも、リューディアに恋をしてしまった。

 イーヴォは表に出てこれないときは、アルカネットの目を通して外の世界を見ている。そして、可憐で美しいリューディアを見ていた。

 リューディアを恋しく想う一方、イーヴォはベルトルドを激しく憎んでいた。何故なら、ベルトルドも密かにリューディアを想い、あろうことか、リューディアの恋心はベルトルドへと向けられていたからだ。アルカネットは気づいていないが、イーヴォは全て見透かしている。

 ――そんなことは絶対に許されない!!

 イーヴォは考えた。リューディアの心を自分に向け、ベルトルドとリューディアの間を引き裂く妙案はないものかと。

 最も効果的で、リューディアがベルトルドのことを嫌いになるような、ベルトルドの心が傷だらけになるような、そんな良い方法はないものだろうか。

 あるときイーヴォは閃いた。

 ――僕がリューディアに告白するから、ベルトルドは引き下がってね。

 試しに言ってみた。ほんの少し、”アルカネット”を押しのけて。そうしたらどうだろう、ベルトルドの動揺を隠せない表情(かお)! 普段威張っているくせに、隠し通せない情けないあの顔は、なんだろう、愉快で滑稽だ。

 あの、幼い日の二人の約束で、ベルトルドはアルカネットの言うことに逆らえなくなっている。

 ――これで、リューディアは僕のものになる!

 それなのに。

 目的が達成される前に、突然リューディアの命が奪われてしまった。

 雷(いかずち)に撃たれ、真っ黒に焦げた遺体となって波間を漂っているリューディアの姿を、アルカネットもイーヴォも、これでもかと凝視していた。

 彼女がどんな姿になろうとも、アルカネットもイーヴォもけっして見誤らない。

 ――なぜ!?

 アルカネットとイーヴォは怯えていた。

 リューディアの死が、怖いわけではない。

 真っ黒になった彼女の遺体が、怖いわけでもない。

 リューディアの居ない世界が、居なくなったこの現実世界が、心底怖かったのだ。

 輝くような美しい笑顔も、小鳥が囀るような生き生きとした声も、もう二度と見られないし、聴くことはできない。

 自分に微笑みを向けることも、優しく名前を呼ぶこともない。

 ――イヤダ……

 その現実に、アルカネットの精神は崩れ始める。悪巧みを考えるイーヴォも、正気を保てなくなってきていた。

 そんな時、弱々しいまでに、頼りなげなベルトルドの声が、頭の中に小さく響いてきた。

 いつもの自信に満ち溢れる声ではない。誰も知らない弱い顔のベルトルドの声。

 でも自分に話しかけてきているわけではない。ベルトルドの心が発する、耳には聞こえない独白だ。

 どういうわけか、もっと幼い頃からアルカネットとイーヴォはずっと、ベルトルドの心の声が聞こえてしまう。必ずではないが、距離に関係なく聞こえてくることがあるのだ。

 はっきりと聞こえたのは、ベルトルドの母サーラが流産して、生まれてくることのなかった弟を悼んで、悲しみに心が張り裂けそうな声が初めてだった。それまでは、どこか曖昧だったからだ。

 それからよく、ベルトルドの心の声が、はっきりとアルカネットとイーヴォの耳に届いた。

 今回もまた、リューディアを失った悲しみと、死を認めたくない気持ち。そして、本気で恋をしていたという想いが一緒になった声が、アルカネットとイーヴォの心に突き刺さるように聞こえてきたのだ。

 その声に突き動かされるように、ベルトルドの後を追いかけた。

 ベルトルドはリューディアの死の原因を、探ろうとしていた。誰がリューディアをあんなめにあわせたのか、アルカネットもイーヴォも真実を知りたかった。

 それにもまして、ベルトルドの心の中に、リューディアへの想いが残っていることも許せなかった。

 普段威張り散らしているが、本当のベルトルドは弱い。弱さを隠して、強く振舞っているだけだということを、アルカネットとイーヴォだけは知っている。

 生まれてこなかった弟を失ったベルトルドは、浜辺で一人コソコソと泣いているような弱い男だ。だからほんの少し、ベルトルドが望むことを口にすれば、簡単に心を支配できる。

 ――ボクが、ベルトルドのおとうとになってあげる。

 こんな言葉一つで、ベルトルドは簡単に支配できた。アルカネットのことを、本当の弟のように思い、大事にしてくれるのだ。どんなワガママも聞くし、アルカネットのためになんでもしてくれた。

 リューディアへの想いも、封印してくれた。

 なんて、おもしろい男だろう。

 リューディアと相思相愛になるのは、自分だけでいい。ベルトルドなど邪魔なだけだ。

 ――雷に撃たれたのがベルトルドなら、心底良かったものを。

 だから、リューディアの死の真相を暴き、復讐する。その為に、身を削って働いてもらうのだ。

 ――呪文をかけてあげよう。

 妨げになるリュリュの存在は鬱陶しかったが、リュリュにも知らない呪文で、ベルトルドを完全に支配する。イーヴォはアルカネットを押しのけるようにして言った。

 ――ボクが犯人を殺してあげるよ。だから、絶対見つけ出してね、”おにいちゃん”

 ほら、簡単にかかった。

 ――あのベルトルドの顔を見てごらんよ!

 アルカネットの中のイーヴォは、心の中で大笑いしていた。



「……昔の思い出など見せて、一体、なんの真似です」

 アルカネットは目の前の男を、汚らわしいものでも見るかのように睨みつけた。

「残忍で、でも脆い主人格を守るために、私は生まれました」

 アルカネットと同じ顔をした男は、静かに言った。そこに、悪意や敵意はない。

「リューディアの死によって、心が苛まれるあなたを守るために、ベルトルドが私を引っ張り出し、あなたの上にかぶせた。仮面(ペルソナ)とでも呼んでいただきましょうか」

 アルカネットはやがて、肩を震わせククッと笑う。

「そうでしたね。あの男が、本来の私を封じ込めたのでしたね」

 リューディアの死から、数ヵ月後のことだった。

 アルカネットもイーヴォも、お互いどちらが主人格か理解出来ないほど、交互に入れ替わっては、周囲を困惑させていた。リューディアの死のショックに、精神を保てなくなっていたからである。

 この時初めて、アルカネットの両親やベルトルドたちは、アルカネットが多重人格であることに気づいた。そして、壊れかかっていたアルカネットを救うため、ベルトルドはアルカネットの中を透視し、そこでもうひとつの新たな人格を発見した。その新しい人格を引っ張り出し、アルカネットとイーヴォの上にかぶせた。そうすることで、アルカネットの精神は保たれ、新たな人格は”アルカネット”として、31年間を過ごしていくことになる。

「ですが、あなた方はやがて、一つの人格として融合していった……。リューディアへの想いはそのままに、イーヴォの側面を強く残して、”アルカネット”としての人格になっていった」

 長い年月の中、仮面(ペルソナ)の奥深くで一つの人格となった”アルカネット”と”イーヴォ”は、あることをきっかけにして、仮面(ペルソナ)に干渉し始めた。

 キュッリッキとの出会いである。

 リューディアと同じ顔を持つ少女。しかしキュッリッキの生い立ちは不幸を極め、置かれている境遇も、けっして幸せとは言い難い。

 哀れみを覚えるより、怒りを覚えた。

 リューディアは幸せな少女だった。だから、同じ顔を持つキュッリッキも、幸せでなくてはならないのだ。幸せに笑い、幸せに輝いてなくては認めることなどできない。だが、こともあろうに、仮面(ペルソナ)がキュッリッキを愛し始めた。

 心の底から、本気で愛し始めていたのだ。

 ”アルカネット”はそのことを、不愉快に思っていた。リューディアと同じ顔をする、不幸な少女を愛するなど。だから、仮面(ペルソナ)の邪魔をするために、様々な場面で仮面(ペルソナ)に干渉した。31年という長い年月の間に、”アルカネット”は表に立つ仮面(ペルソナ)を、押しのけるのではなく、密かに操る術を見出していたのだ。

 幸いベルトルドはそのことに、全く気づいていなかった。時折アルカネットが見せる負の感情や暴挙は、”アルカネット”が干渉したゆえに起きていたことだった。

 ところが、キュッリッキがアルケラの巫女であることが判明した。この衝撃は”アルカネット”に大きなショックを与えた。

 リューディアを無惨に殺した神、その神に愛される巫女であるキュッリッキ。

 ”アルカネット”の憎悪は、一気に膨らんだ。

 アルケラの神々に向けられていた憎悪は、キュッリッキへも向けられた。

 仮面(ペルソナ)は必死で、憎悪を膨張させる”アルカネット”を抑え込もうとした。しかし、日に日に”アルカネット”の力は増していく。

 そしてついに、最悪な形で仮面(ペルソナ)は弾き飛ばされてしまった。

 ベルトルドとキュッリッキの、親娘のように仲睦まじい姿を目にし、仮面(ペルソナ)は大きな嫉妬を抱いたのだ。

 仮面(ペルソナ)の中に生まれたキュッリッキへの愛は、男女の愛ではなく、親の情愛だったからだ。

 不幸な生い立ちのキュッリッキを慰め、慈しみ、守っているうちに芽生えた愛情は、ベルトルドとは違うもの。キュッリッキを独占し、自分だけのものにしたかったのは、父親としての愛。

 ベルトルドが望んでいるのは男女の愛だというのに、二人のあの姿は、まるで親娘のようなのだ。

 ”アルカネット”は仮面(ペルソナ)の抱いた嫉妬を見逃さなかった。そして、そのことに動揺する仮面(ペルソナ)を、ついに”アルカネット”は駆逐することに成功した。仮面(ペルソナ)の消えたアルカネットは、”アルカネット”に動かされ、キュッリッキをレイプしようと行動に出てしまったのだった。

「完全に消し去ったと思っていたのですがね。しぶとく生きていたとは」

「……私は、あなたが壊れ始めた時に生まれました。だから、私にとって愛する者とはリッキーさんだけです。リューディアのことなど、私は知らないのだから。だから、リッキーさんを害するあなたを、私は許しません」

 ひたと”アルカネット”を見据える仮面(ペルソナ)は、しかし言葉とは裏腹に、膝から下が頼りなげに薄れていた。かろうじて踏みとどまっている。

「今すぐ彼らと手を組み、ベルトルドを止めるのです。彼もまた、あなたに操られ、心を大きく傷つけている」

「フンっ。傷ついている割には、巫女を犯すことに躊躇いはありませんでしたよ。性の限りを謳歌するように、楽しんでいたじゃないですか」

 笑い含むように言う”アルカネット”に、仮面(ペルソナ)はゆるゆると首を横に振る。

「犯したことは許しがたいことですが、彼もまた、リッキーさんに救いと慰めを求めてのことです。あなたも知ってのように、本当のベルトルドは心の弱い男です。無抵抗にした少女に、救いを求めるような弱い…。それを、あなたがそばにいることで、回避できなくしてしまった。結果的に、双方を傷つけたあなたの企みが、成功したと言えるのでしょう」

 ククッと”アルカネット”は笑った。

「おもしろい見世物でした。おかげで計画は進み、アルケラの門を開くところまできました。――本当に長い31年だった。私はリューディアを殺した神を、必ずこの手で殺す。その為には、あなたも邪魔なのですよ、仮面(ペルソナ)」

 次の瞬間、仮面(ペルソナ)の間近に”アルカネット”が移動し、仮面(ペルソナ)の首を片手で掴むと、握り締めながら身体を持ち上げた。

「ぐぅっ……精神世界の中とはいえ……やはり、あなたはサイ〈超能力〉も使えたんですね…」

 苦痛に表情を歪める仮面(ペルソナ)を見上げ、”アルカネット”はほくそ笑んだ。

「あなたの役目はもう終わり、必要なくなったのです。ご苦労様でしたね、消えなさい!」

 グッと手に力を込めると、仮面(ペルソナ)はガラスが砕け散るようにして粉々に割れて、空気に溶けるようにして消えてしまった。



「あっ」

 アルカネットを透視していたルーファスは、ハッとなって狼狽えた声を出した。

「仮面(ペルソナ)が壊された、ダメだ、アルカネットさんが…」

「ふふ…。本当に忌々しいものを、今度こそ消すことができました。ある意味礼を言いますよルーファス。あなたのおかげで、ゴミクズのような仮面(ペルソナ)を、完全に消すことができたのですから」

 薄く笑う、その凄絶な笑顔。ガエルすら、生唾を飲み込むほど圧倒された。

「一体何がどうなったんです、ルーファス?」

 不安そうにカーティスが声を上げると、ルーファスは困ったように床に視線を落とす。

「簡単に言うと、アルカネットさんは多重人格の持ち主だってこと。で、元々のアルカネットさんと悪い人格が合体して、仮面(ペルソナ)を消し去って、今おさまってる」

 そして、とルーファスは更に困惑したように唾を飲む。

「信じられないことなんだけど……、アルカネットさんは魔法だけじゃなく、サイ〈超能力〉も持ってる……」

 え!? と皆ギョッと目を見開いた。

 スキル〈才能〉とは、生まれつき一つだけしか授かってこないものである。これまで例外などの記録はなく、報告も上がっていない。

 レアスキル〈才能〉を呼ばれる魔法やサイ〈超能力〉の両方を、その身に有している人間など、これまで存在していなかった。

「ほ…本当なんですかそれは……?」

「どのへんまでサイ〈超能力〉を使えるかまでは、オレもわかんない。けど、少なくとも透視や空間転移は出来るみたいだよ…」

「化物か、あの人は」

 うんざりしたようにギャリーは吐き捨てた。

 片方だけしかない漆黒の翼を悠然と広げ、残忍な笑みを浮かべたアルカネットは、悪魔のようだとギャリーは思った。

「ビビっていてもしかたがない。倒さなくては、キューリを助けることは出来ないんだ」

 ずしりと重みを帯びた声が、静かに仲間たちの心に響く。

 ガエルを振り仰いで、ギャリーは口の端を不敵に歪める。

「ああ、そうだったな。キューリが待ってるんだったよな」

 ガエルも凄絶な笑みを浮かべた。

「ルーの気持ちも判らないでもないが、仮面(ペルソナ)とやらが消え去った以上、心情に訴える作戦はもう無理そうだ。サイ〈超能力〉が使えるなら尚更、もう殺すぞ」

 拳を握り、上腕筋が膨らんで、殺気と闘気がガエルの全身を覆っていく。

「格好悪くても良い、全力で殺せ!」

 そう吠えると、ガエルは床を蹴って前に飛び出した。



 真っ白で長い長い通路をひたすら走り、キュッリッキが囚われる動力部を目指して、メルヴィンたちは急いでいた。

 ガエルたちがうまく引きつけているのか、アルカネットからの追跡はない。それに、エンカウンター・グルヴェイグ・システムの妨害もきていなかった。

「ブルニタルさん、まだですか?」

「あと1キロの距離まで来ています」

「ナンダッテー~~~~! まだそんなにあんのかよ!!」

 走りながらヴァルトが喚く。

「黙って走れ、五月蝿い」

 不機嫌そのままにタルコットが言うと、ヴァルトは大きくむくれて黙り込んだ。

「それにしてもぉ……、フロちゃ~ん、アンタちょっと重いわよ……」

 腕に抱えるフローズヴィトニルを、マリオンはうんざりと見つめる。

《失礼だなあ~! ボクそんなに重くないんだよー》

 心外そうに声をあげるフローズヴィトニルに、メルヴィンは頭を横に振った。

「いえ、十分重いと思います……」

「だいたぁい、フロちゃん食べ過ぎなのよぉ」

 フローズヴィトニルがライオン傭兵団にやってきてから、残飯が一切残らなくなった。それを喜ばしいと思っていいのか、キリ夫妻が複雑な思いを抱いていることをマリオンは知っている。

「子豚ちゃんを抱っこしてるほうがぁ、ラクな気がするぅ」

 メルヴィンにはこれからその腕を振るってもらわなくてはならず、見かねたマリオンがフローズヴィトニルを引き取ったが、腕がだんだんと痺れてくるのだ。

「ねぇねぇ、身体おっきくして、アタシたち乗っけてよお?」

 マリオンがおねだりすると、フローズヴィトニルはツーンとそっぽを向いた。

《ヤダもんね~。キュッリッキが命じてこない限りは、ボク勝手なことしちゃダメなんだから》

 重い重いと言われ、完全に拗ねたフローズヴィトニルを見て、マリオンは疲れたように薄く笑った。

「皆さん、そろそろです! そこの突き当たりを右に曲がったらそこが動力部になります」

 立体パネルを見ながらブルニタルが声を上げると、皆の表情が引き締まった。

(リッキー……)

 早く助け出し、この腕で抱きしめてやりたい。そして、守れなかったことを謝りたかった。

 メルヴィンはギュッと口を引き結ぶと、より脚を早め、動力部へ飛び込んだ。



 レディトゥス・システムの透明なケースを切なげに見ていたベルトルドは、複数の足音に身体ごと振り向けた。

「ほう、アルカネットをまいてきたのか。やるじゃないか」

 メルヴィンたちを見て、フンッと鼻を鳴らす。

「リッキーはどこです!」

「彼女なら、この中にいますよ」

 激しい闘気に怯むことなく、レディトゥス・システムの傍らにいたシ・アティウスが、指をさして教える。

 透明な柩のようなケース。その中に人が収まっているようには見えない。

 それを訝しむ様子に気づいたシ・アティウスは、ああ、と頷く。

「ケースの中は特殊な亜空間に繋がっているんですよ。だから、外から見るとなんの変哲もない透明なケースです。そして、亜空間はシステムと連動しています。そのため彼女は自力で、ここから出ることが出来ません」

「そんな…」

「この俺を倒し、こいつに助けてもらうしかないということだ、青二才ども」

 こいつ、と呼ばれたシ・アティウスは、小さく肩をすくめた。

「そしてな、リッキーをここから出すことは、この俺が許さん!」

 レディトゥス・システムの台座の上から、メルヴィンたちを睥睨し、ベルトルドは露骨に殺気を漂わせて怒鳴った。

「あなたを殺して、リッキーを助け出すまでです」

 睨み返しながら、メルヴィンは爪竜刀を抜くと、切っ先をベルトルドに向けて構えた。



第九章 戦い アルカネットと仮面(ペルソナ) つづく



113 第九章 戦い ペルソナの声

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Comments 7

八少女 夕

わああ

こんばんは。

(せっかく書いたコメントが消えてしまった……orz)

また一つ誤解していたようです。
人格はペルソナも含めて三つあったのですね。
そして、リッキーを大切にしていて優しかったペルソナがあっさりと消えてしまったと?

さらにこれまでアルカネットにはないからと安心していられたサイ〈超能力〉まで持つようになってしまったと。それって、絶体絶命のピンチでは!

ガエルや画伯の身が、ますます案じられますが、とにかくご武運をお祈りします。

そして、メルヴィンチームの方も、楽ではなさそうな。
リッキーと連絡がとれなかったら、フロちゃんが「重い仔犬」状態のまま?
せめてフェンリルだけでも、なんとか助けてあげて、そうしないと、みんなが危ない。

とにかくドキドキしながら続きを待たせていただきますね。

2016-05-22 (Sun) 04:00 | EDIT | REPLY |   

ユズキ

Re: わああ

八少女さんおはようございますヽ(・∀・)ノ

コメント消えてしまったんですかっ><
以前わたしもありましたねー・・・それ以来、コメント書き込むときは、テキストに一度書くようにしてます。めんどうだけどw

>人格はペルソナも含めて三つあったのですね。

今回明かされたことなので、問題ないでふ。
御大の心を支配していたのはイーヴォ、寝ているキュッリッキさんの身体を撫で繰り回していたのは、アルカネットとイーヴォの合体人格、常に優しく接してくれていたのはペルソナ。
ややこしいですけど><

あっさりペルソナ消えちゃいましたが、”アルカネット”が完全覚醒したときに、一度吹っ飛ばされているので、今回はかろうじて存在を保てていた状態だったのです。

まさかの魔法とサイ〈超能力〉の二つのスキル〈才能〉持ちと判明して、手ごわくなっていきそうです☆

>フロちゃんが「重い仔犬」状態のまま?

本来は主であるキュッリッキさんの命令がないと、力を振るえないし、姿も勝手に狼に戻ってはいけませんが、今回は命令ナシでも姿を戻すことは可能です(・ω・) すでにエルダー街で姿を戻してライオン傭兵団を助けてますしねw
いまは、重い重いと連呼されて、いささか拗ねちゃっているので、お願い聞いてもらえないのです(笑)

まあ、フローズヴィトニルに関しては、感覚がまだ人間世界に馴染んでいませんから(食欲以外)、人間たちから見たら、呑気そうに見えちゃいますw ていうかのんきです・・・w

2016-05-22 (Sun) 06:51 | EDIT | REPLY |   

涼音

今日は^^

私も何とか今日は0時ムーンさまUP分は予約してきた♪
お仕事、休みが多くなったから少しは楽になった^^

連載長くなると書き直したくなるよね~。
それでいまやってるのが、なろう様の「パウリン~」なんですが、私も他の作品全部見なおしかけたい。特に「記憶の~」とか前世絡みなので滅茶苦茶複雑なので^^;

で、おお!早速本編がUPされてる♪と来てみたら……。
アレ?アルカネットさんの中には悪のアルカネットさんイーヴォと元々のアルカネットさんと御大に被されたペルソナと3つの人格って事だったんですね。
で、今回ペルソナ完全に打ち破ってイーヴォの所業がバンバン出て来ちゃったと……。大元のアルカネットさん出て来てくれないと事が解決しない気が……。イーヴォ怖いよ><;
おまけに何々?サイも持ってるって??

御大しっかりしろよ!!
どのみちリッキーへの所業はゆるしてやらないけどさぁ!
このままのイーヴォアルカネットさんは半端なく危険人物だぞ!!

やっとメルヴィンたちも駆け付けたようですが、本当におせーよw!!
フロちゃん、本当にこまののじゃお荷物になっちゃうよ~。
もうちょっと柔軟に……ならないだろうなぁ(笑)
フロちゃん活躍させるには、リッキー奪い返さなきゃならないのか?!
いやいやいや、リッキー奪い返す為に、お願いだからそこは柔軟に行こうよ、フロちゃん♪^^;
マリオン、お疲れさま。よく頑張った。

何かまだまだい色々と複雑そうだけど。
みんなファイト―!!
リッキーはすぐ目の前にいるぞ!
オーッ!!

って、事で私の理解間違ってない?
なんかすごい複雑なお話になって来てるよね~。

続き待ってます♪

2016-05-22 (Sun) 16:26 | EDIT | REPLY |   

ユズキ

Re: タイトルなし

涼音さんこんばんわヽ(・∀・)ノ

>休みが多くなったから少しは楽になった^^

お~w 良かったですね~(´∀`)
お仕事に家事に育児に大変ですよね><

>連載長くなると書き直したくなるよね~。

ですよね・・。
わたしの場合、ちゃんとした連載これが初だから、もう色々荒だらけ~なので、ほんと書き直したく><

>3つの人格って事だったんですね。

ですです。
元は二つだったんですが、元の二つ(主人格アルカネットと、悪のイーヴォ)が精神破綻をきたそうとしていたので、それを守るために、アルカネット自身が新たにペルソナを無意識に生み出していたのを、ベルトルドが発見して引っ張り出したのですね。
それで3つになったんですけど、主人格アルカネットと、悪のイーヴォが、フュージョンしちゃって、ひとつの人格になってしまったので、現在は”アルカネット”とペルソナの二つになり、ペルソナ吹き飛んじゃいました><

ちょっと書き方判りにくかったかもですね~・・・ややこしくてすいません~難しくて><;

>おまけに何々?サイも持ってるって??

このへんについては、もうちょっと先に出てくるのでお楽しみにです(・∀・)

>フロちゃん活躍させるには

目の前に、おやつを山のように並べたら、速攻言うこと聞いてくれます(笑)
食いしん坊バンザイ☆

>御大しっかりしろよ!!

今までとは違う御大になっていくので、ある意味お楽しみに(?)です!

>なんかすごい複雑なお話になって来てるよね~。

ホントですよね・・w
思いついた当初は、ある単純な理由からだったというのになあ(笑)
でも頑張りまする!w

2016-05-22 (Sun) 23:44 | EDIT | REPLY |   

さくら

ユズキさん、こんばんは(*'▽')
これからの展開が
気になるとこです(; ・`д・´)

そして、お知らせです
フリーイラストで、リンクしていただいている
短編掲載のブログから
引っ越しました
また、書きたい衝動が出てきたので
気持ちも新たに、出発です

http://fantamirrorsystory.blog.fc2.com/

2016-05-29 (Sun) 20:58 | EDIT | REPLY |   

ユズキ

Re: タイトルなし

さくらさんおはようございますヽ(・∀・)ノ

リンク修正やっておきますね。

それとこれはお願いなんですが、ブログを消したり変わったりした場合、必ずこちらに一報下さい。
ブロとも登録していたのに、いきなり消えていることが過去2回あって心臓に悪いので。
よろしくお願いします。

2016-05-31 (Tue) 09:35 | EDIT | REPLY |   

さくら

私の事情で、ユズキさんにご迷惑をおかけして
すいませんでした
これからは、今あるブログを
大切にしていこうと思います。

2016-06-01 (Wed) 07:07 | EDIT | REPLY |   

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