008 第一章 ライオン傭兵団 仲間(四)

一旦書くのを中断したせいか、当初考えていた物語構成通りに話が進まず(・_・;) やっぱ勢いって大事・・・。


1章のほうで『仲間』というサブサブタイトルをつけて、話を割って書こうとしていたんですが、1章で出したかったハドリーまで話が書けたので、区切りがちょうどいいので2章に切り替え話を進めようと思います。


なんかいい加減で申し訳ありません(-_-;)


1章で主要メンツの顔見せも終わったので、やっとこ物語が動きます。予定より長引いちゃいましたが。


一気にドバーッと出しちゃったライオン傭兵団の連中も、しっかり活躍させながら再度ご紹介になります。そこを丁寧に書いていけるとイイナ。


ていうか、やっとファンタジーな部分を書ける気が(・ω・) 剣とか魔法とかとか。でもヴァルトさんを出したら「俺の拳が唸って吠える」とか言いながら、魔法も剣も活躍することなく殴り倒して終わりそうなので、ヴァルトさんは・・・



このブログだけじゃなく、投稿しているSNSサイトのほうでも、追加更新をすると読みにきてくださるかたが、ほんの少しずつですが増えてきたように見えます。ありがたいことです。


少しでも面白いと感じてもらえるよう、心がけて書いていきますのでよろしくです。


【第2章:エグザイルシステム】開始しまふ。

(2014/03/07追記):カテゴリー分け修正しました。






ALCHERA-片翼の召喚士-
第一章 ライオン傭兵団 仲間(四) 008





 傭兵団のアジトが多いエルダー街の昼間は、やや人通りが少ない。普通の家庭を営む家族があまり住んでいないこともある。天気のいい明るい日中には、子供たちが元気に遊びまわっているものだ。その風景がこの街には欠けている。

 アジトのほかに傭兵たちの住居はあるが、酒場や妓楼、売春宿、賭博場、換金屋など、あまり明るい雰囲気とは縁遠い世界が街を形作っていた。

 そのため昼より夜のほうが賑わいを見せる。

 露店前や茶屋に人が少ないことを不思議に思って口にしたキュッリッキに、果物の露店を営んでいる老いたオヤジが、豪快に笑い飛ばした。

「朝まで飲んでた連中が、今は大いびきかいて寝てるのさ」

「昼間動いてるような連中は、アタシらみたいに真っ当な人間だけさね」

 小柄で太った女将は、紙袋にオレンジを詰めて、キュッリッキに手渡してくれた。

「ありがと、おばさん」

 オレンジの代金を支払うと、キュッリッキはにこりと笑顔を返した。

「夕方頃になると、ここの広場も賑わい出すよ。今度その頃きてごらん」

「うん、そうしてみる」

 キュッリッキが素直に返事をすると、オヤジは嬉しそうに笑った。

「また来ておくれね」

「またなねーちゃん」

 笑顔の老夫婦に見送られ、手を振りながら露店の前をあとにした。

「頼まれたものは全部買ったよね……」

 紙袋の中を覗き込んで、足元に声をかける。

 銀色の毛並みが美しい仔犬が、キュッリッキの声に応じて小さくのどを鳴らす。

「よし。じゃあ帰ろう」

 アジトの掃除や食事の世話は、アジトの管理を任されている中年のキリ夫婦が行っている。

 戦場に出れば大活躍の傭兵たちも、日常生活はだらしのないことこのうえなく、あまりにも酷いため雇っていた。

 水を飲みに来たキュッリッキは、ちょうど昼食の準備で台所を動けないキリ夫婦の頼みをきいて、買い出しに出かけたのだった。

 ライオン傭兵団に腰が落ち着いて、早二週間が過ぎようとしていた。その間、何も仕事はなかったが、衣食住に困ることのない生活になったことで、のんびりとした時間も好ましく思えていた。

 様々な露店が並ぶ広場とアジトは、さほど離れていなかったので、散歩がてらにちょうどいい距離だ。

「あ、キューリさん」

「キュッリッキです」

「はいはい。でキューリさん、これから出かけますので支度してください」

「……、え? アタシも?」

「ええ。道中お話ししますから、取り敢えず急いでくださいね」

「ああ、はい」

 アジトのロビーでキュッリッキを待っていたカーティスに促され、キュッリッキは急いで台所へ行った。慌てて荷物とつり銭を夫婦に渡すと、ロビーにとんぼ返りした。

「では行きましょうか。留守を頼みますねメルヴィン」

「了解です。いってらっしゃいみなさん」

 朗らかにメルヴィンに見送られ、カーティス、キュッリッキ、ルーファスの3人はアジトを出た。




「我々傭兵団のスポンサーから呼び出しがありまして。キュッリッキさんもお連れするよう言われたんです」

「ベルトルドさん……ですか」

「ええ。詳細は知らされていないので、とにかくすぐ来い、なんですよ」

 カーティスは苦笑を滲ませながら説明した。

「いつもなら使いがくるのに珍しいよな、直接来いとかさ」

 カーティスと並びながら、ルーファスが首をかしげた。

「他言無用とかの裏仕事かねえ。なーんかきな臭い仕事とかじゃね」

「かもしれません」

 肩をすくめるカーティスの後ろをついて歩きながら、二人を交互に見上る。会話の内容はいまいち判らず、キュッリッキはおとなしく口をつぐんでいた。

「ハーメンリンナに入るのも久しぶりだよな」

「あまり近寄りたくはない所なんですがね」

「せっかく宮仕えを脱したのに、ホントめんどくさいよな、あんなとこ」

「同感です」

「ハーメンリンナに行くの?」

「そそ。ベルトルドは宮殿仕えだからね」

 ルーファスがにっこりと答えた。

「キューリさんは初めてですか?」

「………、ええ」

 ヴァルトが言い出した『キューリ』というテキトー極まりないあだ名が、すっかりライオン傭兵団では馴染んでしまっていた。

 キューリと呼ばれるたびに渋面がわいてくる。

 抗議しても訂正しても、現在無駄な努力に終わっていた。

「通行証は大丈夫なん?」

「衛兵には話が通っているはずです。私たちが一緒だから大丈夫でしょう」

「ならいいや」

 アジトから歩くこと30分ほどで、城砦の唯一の入口前に到着した。

 カーティスとルーファスは、ごく普通に歩いていた。しかし二人に比べると歩幅が小さいキュッリッキはついていくのがやっとだった。

 一度も立ち止まることなく、キュッリッキは小走り状態で必死に着いていったのだ。そのため城砦の門の前に着く頃には、すっかり息があがってしまっていた。

「大丈夫? キューリちゃん」

「だ……ぜぇ……だいじょぶ…」

「召喚士は体力なさそうだなぁ」

 そう言って笑いながら、ルーファスはキュッリッキの手を取ると引いてやった。




 まるで、全力疾走でもしてきたかのような様子のキュッリッキを見て、若い衛兵は目を丸くした。

「ベルトルド卿からお話がいってると思いますが、当傭兵団の団員です」

 キュッリッキの様子はスルーして、カーティスが笑顔で話を進める。

 華奢な美少女が息も絶え絶えの様子は、さぞ哀れに見えるのだろう。ほかの衛兵たちも任務にあたりながら、時折痛ましそうにキュッリッキを見ていた。

 ルーファスが腕を貸してくれたので、キュッリッキは遠慮なくルーファスの腕にすがって、どうにか踏ん張り立っていた。気を緩めると、腰から抜けそうだ。

(体力物凄く落ちたわ……てゆーか)

 胸中で忌々しげに呟いた。

(もっとゆーっくり歩いてくれてもいいのにっ! こいつらあ…)

 体力がないというより、30分も小走りしていたらこのくらいなる! と叫びたい衝動にかられていた。

「中に入ったら目的地着くまで歩かなくていいから、もうちょっとガンバ」

「うん……ありがと」

 ルーファスに励まされるものの、誰のせいで…と胸中で毒づく。

「武器の携帯はしていないようですね」

 若い衛兵はカーティスとルーファスのボディチェックをしたあと、今にも倒れそうなキュッリッキを見て破顔した。

 城砦の中に入る者は、たとえ女性であろうと入念なボディチェックが必要である。しかしちょうど女性の衛兵が交替で場をはずしていた。

 キュッリッキは真っ白なノースリーブのワンピースをまとっているだけで、外見では武器の携帯は見られなかった。それにカーティスとルーファスの連れなら安心だ。

 大丈夫だろうという独自の判断で、キュッリッキのボディチェックはせず、衛兵は3人のために道を開けた。

「結構。どうぞ中へお入りください。ようこそハーメンリンナへ」

 衛兵は3人の通行を許可した。


第一章 ライオン傭兵団 仲間(四) 続く


009 ライオン傭兵団 仲間(四)

007 ライオン傭兵団 仲間(三)

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