012 第二章 エグザイルシステム 遺跡 (一)

ブログと投稿先を、コソコソ修正しませんと・・・。


こっからが、正式! な第2章です(-_-;)


なんかもう話数ごとにタイトルとかつけることが出来なくて単純で申し訳ないですが、ナンバリングで順番ばっちりです。


昔から名前とタイトル考えるのが大の苦手なので、よその小説を拝見すると、どうしてこう的確にサブタイトルとかタイトルつけられるのか感動してます大真面目に。


謎の照れが発生するんです・・・謎です。


2章からキュッリッキさんの召喚能力が大活躍です。けど、『召喚士』とか見てゲームに出てくるような召喚士とか召喚魔法とか想像するとガッカリします(・ω・)


オーソドックスな王道版召喚士でもヨカッタんですが、物語的にそういった系統の召喚士には当てはまらないので、ゲームやアニメ世界の召喚士は頭から除外して下さい(笑) ウチの場合はすでに魔法扱いしてませんし。


なので魔法陣もナイし道具も使わないので、なんか書いてて地味過ぎるんで(笑) いまいち迫力に欠けちゃうのが。そのぶんなんでもアリアリにしちゃってます。


では続きよろしくお願いします。







ALCHERA-片翼の召喚士-
第二章 エグザイルシステム 遺跡(一) 012




 世界は3つの種族、3つの惑星で成り立っている。

 惑星ヒイシはヴィプネン族、惑星ペッコはアイオン族、惑星タピオはトゥーリ族。

 各々の種族が治め、国を興した。

 ヴィプネン族は惑星全土を種族の統一国家”ハワドウレ皇国”としたが、やがて離反し、独自に国を興す者も現れ争いも起き、17の小国と5つの自由都市が確立された。ただし、17の小国に関しては、ハワドウレ皇国の属国という形で、完全に独立国家としては認められていない。表面上は平和な外交が成り立っているが、小石を投げ込んでも戦争に発展しそうな緊張感は常にあった。

 5つの自由都市だけは、3種族の間で自治と不可侵を法的に認められていた。その代わり、どの国からも援助を受けることはできない。他惑星にも自由都市は存在し、自由と自立を愛する者だけが自由都市を支えていた。

 小国の一つソレル王国は、モナルダ大陸の海岸地方の一部を、ハワドウレ皇国から統治を任されたメリロット子爵家によって興された。この土地はとくに遺跡が多く出土し、その遺跡から発見された名を取って国の名としていた。






 小さな建物から外へ出ると、眩しい光とむわっとした空気が押し寄せてきて、自然と不快げに顔が歪んだ。

 湿潤な気候で、夏を前にして気温が高いうえに、とにかく蒸し暑い。おまけに清々しいほどの晴天だった。

「……なんだこの蒸し暑さ、サウナの中にいるようだ」

 普段無口なガエルが、いつになく文句を呟き続けていた。

「やっぱクマさんだから暑いの?」

「俺の育った土地は比較的寒かったし、乾燥していたからな」

「そうなんだ~」

 隣に立つガエルを見上げると、髭のように顔を覆う短い黒い毛が、いかにも暑そうに湿っていた。

 2メートルを越す巨体は、同じように身長が高いヴァルトと違い、重厚な筋肉に覆われていてどっしりとしている。しかしその筋肉を覆った黒い毛は、この湿度の中ではさぞ鬱陶しいだろう。

 あまり口を開かないガエルが、いつになく文句モードに入っているので、キュッリッキにしてみたら珍しく面白かった。

「暑くてしょうがないから、抱きついてくれるなよ」

「はーい」

 話しかければ返事が返ってくる。そんな当たり前のことが嬉しくてしょうがない。

 これまで所属したことのある傭兵団や各国の小隊などでは、うまく仲間に馴染めず溶け込めたことがない。召喚スキル〈才能〉を持っている、それだけで皆ありがたがり、珍獣でも見るかのように扱う。

 キュッリッキ本人に興味があるわけじゃない。召喚スキル〈才能〉に興味があるのだ。それが判るとキュッリッキは途端に不愉快感に包まれ、仲間ともギスギスして長続きしなかった。

 しかしライオン傭兵団の団員たちは、これまで接してきた人間たちとは違う。召喚スキル〈才能〉を珍しがったのも最初だけ。あとは自分たちの仕事の上で、どう役に立つかを研究するために興味を向けてくる。そして、ちゃんと『キュッリッキ』を気にして見てくれるのだ。

 だから仲間たちとの会話が楽しい。冗談や悪ふざけが楽しい。

 嬉しかった。

「ここから半日ほどの距離にある、ナルバ山の麓に例のエグザイルシステムがあるようです」

 二人から少し離れて立っていたブルニタルが、縞模様の尻尾を揺らしながら地図を見て説明し始めた。

「山や周辺地域には、恐らく兵隊たちが配備されているでしょうし、どこか穴を見つけて入り込むしかないでしょうか」

 忙しく頭の中をフル回転させているだろうブルニタルの横に立ち、肩をつつく。

「空から行けば見つからないよね?」

「そりゃあ大丈夫でしょうが、どうやって?」

「こうやって」

 キュッリッキは肩に止まっていた小鳥を指に移らせると、そっと空に放った。

 小鳥は羽ばたいたのち、銀色の光に包まれ、ドスンっという音を立てて地面に降りた。

「………!」

「デカイ」

 ガエルは満足そうに頷いた。

 白い羽根に覆われた小鳥は、ガエル級が10人乗っても余裕が有るほどの大きさになっていた。

「召喚士はなにかと便利なんですね」

 鳥を見上げてメルヴィンは笑った。

 ブルニタルは目を白黒させながらも、その手はしっかりメモ帳に何事かを綴っていた。





 ライオン傭兵団のボスであるベルトルドからの依頼で、傭兵団はソレル王国に出動していた。

 皇国が派遣した研究員を逮捕したソレル王国は、造反とみなされてもいい行為をおこなった。それならば、フリーの傭兵団の出番じゃないのではとメンバーから挙がったが、

「キャラウェイが新しい将軍職に就いたそうです」

 その言葉を聞いて、みな黙った。

「この件の処理をベルトルド卿が引き受けたそうなので、手駒の我々の出番というわけです」

 カーティスはその日依頼の件を伝えたのみで、夕食後ブルニタルとメルヴィンを交えて行動計画をたてると、翌朝皆に伝えて隊をわけた。

 カーティス、マーゴット、ルーファス、ハーマン、ヴァルト、タルコットは陽動部隊。

 ギャリー、ザカリー、ペルラ、ランドン、シビル、マリオンは救出部隊。

 メルヴィン、ブルニタル、ガエル、キュッリッキは確保部隊。

 このように全員出動する機会は稀な方だったが、久々の大仕事とあって、みな気合と興奮でうずうずしていた。

 キュッリッキも傭兵団の皆と一緒の初仕事で、ワクワクしている。一流の腕を持つと高い評価を受ける彼らの仕事ぶりを見られるのは楽しみだった。

 確保部隊は海に近い位置にそびえ立つナルバ山に向かうため、ソレル王国の辺境の村カバダに飛んだ。

 エグザイルシステム、通称『ゲート』と呼ばれる転移システム。誰が作り出したものかも判らない、ただ大昔から存在しているという。

 離れた土地と土地を一瞬で繋ぎ、物でも人でも動物でも送ることができた。場所も自由に選択出来る。そして惑星間でも『ゲート』は存在し、惑星間の移動も全て『ゲート』で行われていた。

 昔から人々は全てこの『ゲート』のある場所を中心にして、町を作り大きくし、国へと発展させていった。

 ソレル王国に『ゲート』は二つだけで、一つは首都アルイール、もう一つは何故か辺境の小さな村カバダにしかなかった。

 恐らく今回の件で首都の『ゲート』は監視されているだろう、という判断で、確保部隊はカバダ村にあるゲートを選択した。幸いカバダ村には兵士たちの姿は見えず、閑散とした侘しさを漂わす寂れた村だった。

 陽動部隊と救出部隊は、事前にベルトルドの調べで、逮捕された研究員たちが首都に送られていることが判ったので、数名にわけて首都アルイールに飛んでいた。

「ねえブルニタル、エグザイルシステムを確保するのよねアタシたち。その場でずっと見張りでもしておけばいいのかな?」

「そうですね。占拠してその場を確保し、後に救出されてくる研究員たちの調査が円滑に続行出来るよう、救出部隊と我々で護衛も兼ねることになります。さすがにあの大きなシステムを持ち帰るのは難しいでしょう」

「んー、持ち帰れないことはないけど、動かさないほうがいいんだよねああいうのって」

 事も無げに言うキュッリッキに、ブルニタルはズズイっと詰め寄った。

「持ち帰れるんですか!?」

「う、うん」

「どうやって!」

「アルケラの子たちに手伝ってもらえば造作もないもん」

 キュッリッキの膝の上で、フェンリルが小さく鼻を鳴らした。隠れている必要もないので姿を現している。

 それなら引越しは一人でも出来たんじゃ、とメルヴィンは思ったが黙っていた。

「召喚スキル〈才能〉とは便利な能力ですね。万能じゃないですか」

 必死にメモをするブルニタルを困ったように見やり、キュッリッキは肩をすくめた。

「あの山がナルバ山ですかね」

 メルヴィンが前方を指すと、頂きに雲をまとわせた緑のない岩肌の、大きな山が見えてきた。

 キュッリッキの召喚した巨大な鳥の背に乗り、歩けば半日はかかる距離を優雅な空の旅で、2時間ほどで目的地手前まで到達していた。

「あの山で間違いないです」

 ブルニタルが断言すると、キュッリッキは鳥の背を軽く突っついた。

「そろそろ目的地だから、下から見えないようになってね」

 鳥は小さく喉を鳴らし、了解の合図とした。

 ブルニタルはキュッリッキに山の中腹辺りに鳥に降りてもらうよう指示をし、キュッリッキはそれを伝えた。しかし巨鳥が舞い降りるような場所が見当たらず、結局麓に着地することになった。

「戦闘が起きてもいいように我々がいますから」

 メルヴィンにそう言われて、キュッリッキはひと安心した。

 潅木が乱雑に生える地面に音もなく着地すると、鳥は背を斜めにして皆を滑り落とした。

「さて…ここはどのへんでしょうか」

 地図を広げて、だいたいの目星をつける。

「報告書にあったエグザイルシステムへの入口は、ここからだいぶ近いようです。恐らく見張りの兵がいる筈ですから、慎重に進みましょう」

 3人とも頷いた。

「様子を確認するために、偵察出しておこう」

 そう提案すると、キュッリッキは何もない方角を凝視する。

 黄緑色の瞳に散らばる虹色の光彩が、より強い光を帯びていった。

 キュッリッキが片手を前方に差し出す。手招きするように掌を広げた。

「おいで」

 そう一言だけ告げると、掌の上に無数の小さな白い綿毛が出現していった。

「タンポポの綿毛……?」

 ブルニタルはキュッリッキの肩ごしに、掌の上に揺蕩う白い綿毛を凝視した。

「この子たちに名前はないの。アルケラで名前があるのは神様たちだけ」

 白い綿毛たちはフワフワ空中を漂いながら、フェンリルを囲むようにして輪を作った。フェンリルは身じろぎせず、目だけを動かし綿毛たちを見ていた。

「タンポポの綿毛よりずっと優秀なんだよ」

 キュッリッキはブリニタルにニヤリと笑ってみせると、しゃがみこんでフェンリルの周囲を舞う綿毛たちに告げた。

「このあたりに武装している人間が居ないか、しっかり見てきてね」

 綿毛たちはフワフワと宙に浮き上がると、羽虫のように飛んで四散した。

「確かに、綿毛はあんな飛び方はせんな」

 ガエルは面白そうに口の端を上げて笑った。

「3人とも、これを頭に乗っけてくれる?」

 キュッリッキの掌には、3つの綿毛がフカフカ浮いていた。

 首をかしげるガエルとメルヴィンと違い、ブルニタルは感極まった表情で、綿毛を頭の上に乗せた。

「恐らく四散した綿毛たちの見た映像が、この綿毛を通じて、一種のテレパシーのようにして私たちの脳裏に浮かぶんですよ。ですよね?」

「ぴんぽーん。正解」

 キュッリッキは嬉しそに笑んだ。

「なるほど~。それは便利ですね」

 メルヴィンとガエルもそれぞれ頭に綿毛を乗せる。

「風で飛んでったりしないか? こいつは」

 ガエルは黒い頭部に小さな糸くずのように乗っている綿毛を指す。

「だいじょーぶ」





 数分も経たないうちに、4人の表情にサッと緊張が走った。

「獲物を、見つけてきたな」

「随分と多いですね…中隊規模でしょうか」

「カーティスさんはここが一番手薄だろうと言っていたんですが、ハズレですかね」

「でもガエル嬉しそう」

「久々に大暴れ出来る」

 野太い指をボキボキ鳴らす。気は充実し、すでに臨戦態勢になっていた。

「ガエルとメルヴィンがいるので戦力は問題ないですが、魔法使いや厄介なスキル〈才能〉持ちもいるかんじです。こちらは回復系魔法の使い手がいませんから、慎重にいかないといけません」

 顎に手をやって考え込むブルニタルをよそに、キュッリッキは楽しそうに笑むと、ガエルの腕を突っついた。

「ガエルはトコトンあいつら殴り倒したいんだよね?」

「当たり前だ。あいつらはオレの獲物だ」

「判った。んじゃこれをガエルとメルヴィンに渡しておくね」

 キュッリッキがパチリと指を鳴らすと、ガラス板のようなものが出現した。

「二人に対して”阻害する意思”のある行為は、全てこの子たちが弾くから」

 ガラス板のようなものは複数枚になると、ガエルとメルヴィンの周囲を輪になって囲んだ。

「二人の動きには干渉しないし、この子たちに当たることもないから気にしなくて大丈夫だけど、視覚的に邪魔になるだろうから、見えないようになってもらうね」

 ガエルはニヤリとして、キュッリッキを見おろした。

「頭上や足元からの攻撃は大丈夫か?」

「変形するから問題ナシ」

 キュッリッキは親指を立てて保証する。ガエルの顔に不敵な笑みが広がった。

「あいつらはオレたちに任せておけ。いくぞメルヴィン」

「ええ。ありがとうキュッリッキさん」

 メルヴィンはキュッリッキに一礼すると、腰の両剣を抜いた。ブロードソードとフランベルジェの二刀剣法だった。

 二人が中隊のいる方へ駆け出すと、キュッリッキはブルニタルを振り向いた。

「ブルニタルは暴れたりするの?」

「私は頭脳戦専門ですし、護身術程度しか戦闘は出来ません」

 顔は強気を貼り付けていたが、尻尾はどこか申し訳なさそうに揺れていた。

「じゃあアタシと変わんないね。フェンリル」

 キュッリッキの合図に、フェンリルは身体を大きくした。

 フェンリルの背に飛び乗ると、キュッリッキはブルニタルに手を差し出した。

「アタシたちは取りこぼしの掃除と見学!」



第二章 エグザイルシステム 遺跡(一) 続く


013 エグザイルシステム 遺跡(一)

011 ライオン傭兵団 仲間(四)

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